元F1ドライバーのジョリオン・パーマーが、カナダグランプリの最も劇的な瞬間を詳しく語る。

以前から予想されていたマクラーレン同士のクラッシュがついに起きた。ランド・ノリスがオスカー・ピアストリに追突し、カナダGPでリタイアとなったのだ。明らかにランドのミスであり、彼は即座に自身の責任を認めたが、その顛末を振り返ってみよう。
カナダでは、ノリスがピアストリよりも概ね速かった。マクラーレンのマシンは、今年の他の多くの開催地で見られたような圧倒的な競争力を見せることはなかったものの、ノリスはフリー走行で競争力のあるラップタイムを記録し、予選最初の2セッションでは好調な走りを見せた。
一方、オスカーはややまとまりがなく、タイムを短縮するのに苦労していた。
しかし、プレッシャーが加わるとすべてが一変した。ポールポジションを狙うノリスは、最初のアタックで最終コーナーのシケインを不通過。そして、新タイヤでの2回目のアタックでは、ターン7の出口でアンダーステアに陥り障壁に接触した。上位スタート順位を獲得するチャンスを逃した。
彼のベストタイムは、最初のタイヤセットで2回目に走ったバンカーラップだった。
ランドは大一番のプレッシャーに苦しんでいるように見える。カナダでマクラーレンが彼に施したフロントサスペンションのアップグレードは、マシンの感触を向上させるための試みだったが、それでも彼はまだ、今年は予選ではあまり見られなかったミスを犯し続けている。

ランド・ノリスの問題は予選で始まった。
レースでは、自らに課したプレッシャーの下で、またしても誤った判断をしたように見えた。
日曜日もノリスは2台のマクラーレンの中ではより強く、グリッド7番から猛烈な勢いで突き進み、3番スタートから精彩を欠くレースをしていたチームメイトに迫った。
これは4位争いだった。この戦いの勝者には表彰台すらなく、ポイント獲得もわずかだったため、大きなリスクを冒す必要はなかった。それでも、ノリスがピアストリに勝てるかどうかは重要なポイントだった。もしノリスがピアストリを抜けば、ランキングでチームメイトに2ポイントだが差を詰めることができただろうし、さらに重要なのは、彼にとって大きな自信になったことだろう。
しかし、大きなタイヤのアドバンテージがないとオーバーテイクはかなり難しそうに見えた。そのため、ランドがターン10でオスカーのイン側を巧みについて力ずくで抜こうとしたとき、彼はこれが唯一のチャンスだとわかっていたはずだった。

ノリスは週末のほとんどでピアストリよりも速く、レースの終盤ではオーストラリア人を追いかけていた。
オスカーは素晴らしいホイールトゥホイールのレーサーだ。今では日常的にその姿を見るようになったが、最終シケインではブレーキを遅らせて順位を維持し、しっかりと防御していたが、出口では妥協した。
これがランドの最後のチャンスだった。ターン1で成功しなければ、ターン10までオーバーテイクのチャンスはない。ランドが手の内を見せた今、オスカーは彼の試みをかなり意識しているだろうと確信した。
ランドがイン側の本来は存在しない隙間を狙ってしまい、これまでのレースでの好調を台無しにしてしまったのは、まさに最後のチャンスという絶望的な感覚だったように、私には思えた。外から見ると、タイトル候補としては最も不器用なミスのひとつに見えたし、実際そうであることは否定できない。
しかし、コックピット内では、これらの瞬間はあっという間に過ぎ去る。地面すれすれに座り、心拍数は高鳴り、アドレナリンが全身を駆け巡る。66周もの間待ち望んでいたこの瞬間こそ、タイトル争いのライバルに挑み、トラック上で差をつけるチャンスなのだ。
ランドは、オスカーがわずかに右側に動いたのを見たと思ったので、オーストラリア人がもっと動いてターン1のインサイドにスペースが空くだろうと予想したと語った。
もちろん後知恵だが、彼は右側に留まるべきだった。そうすればブレーキングゾーンまでの走行距離が短くなり、チームメイトのアウトサイドを回るチャンスもあったのだが、前のターンで抑えられたばかりだったため、どんなことがあってもインサイドに入ろうと決心していたのは明らかだった。
まるでスペースが空くのをただ望んでいるかのようだったが、実際にはピアストリはそれを許さないほど賢いレーサーだった。
2011年にモントリオールで起きたマクラーレンのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンの衝突と比較する人もいる。両方の事故をざっと見てみると、同じ出来事だが、両者が衝突に至った経緯は決定的に異なっている。

マクラーレンの同士討ち:2025年ピアストリとノリス、2011年ハミルトンとバトン。
2011年、ハミルトンはバトンとオーバーラップしていたため、チームメイトの隣にスペースを確保する権利があった。ノリスは必死に同じ動きをしようとしたが、スペースは確保できず、並びもしなかった。彼はオスカーに追突した。
2011年の動きはより物議を醸し、結果は全く異なるものだった。パンクに見舞われたにもかかわらず、バトンはF1史上最もドラマチックなレースの一つを制し、一方ハミルトンはマシンのダメージによりリタイアした。
2025年、マクラーレン、そしておそらくノリスも、このインシデントで両マシンがリタイアにならずに済んだことを喜ぶだろう。ノリスはチャンピオンシップで抜いていたら12ポイント、5位のままでも10ポイントを失ったとはいえ。オスカーが実際に恩恵を受け、ノリスが即座に謝罪したという事実は、チームが内紛に陥ることなく済む可能性を示唆している。

事故後、マクラーレンのガレージまで孤独に歩いて戻るノリス。
それでも、これはノリスがチームメイトとレースをする上でリスクを負うという、真の意思表示と言えるだろう。チームワークを装う時代は終わり、シーズン残りは間違いなく手加減なしの攻防戦となる。ピアストリはこれまでで最大のポイントアドバンテージを次のレースに持ち越し、ノリスはまたしても、もし自分が何をすればよかったのかを悔やむ1週間を過ごすことになる。
彼にとっての唯一の救いは、ペースがあったことだ。接触まではノリスにとって2025年最高の走りのように見えたし、彼はそれを自信に繋げるだろう。ただ、プレッシャーのかかる場面でミスが多すぎるのが気になる。
昨年のアブダビでの優勝はコンストラクターズチャンピオンシップのプレッシャーの中でのものだったが、彼がポールポジションを獲得したモナコほど熾烈な予選はない。だから、彼がプレッシャーに対等できることはわかっている。あとは勢いに乗るだけだ。今回はまたしても汚点となったが、チャンピオンシップはまだ終わっていないことは間違ない。
-Source: The Official Formula 1 Website

以前から予想されていたマクラーレン同士のクラッシュがついに起きた。ランド・ノリスがオスカー・ピアストリに追突し、カナダGPでリタイアとなったのだ。明らかにランドのミスであり、彼は即座に自身の責任を認めたが、その顛末を振り返ってみよう。
カナダでは、ノリスがピアストリよりも概ね速かった。マクラーレンのマシンは、今年の他の多くの開催地で見られたような圧倒的な競争力を見せることはなかったものの、ノリスはフリー走行で競争力のあるラップタイムを記録し、予選最初の2セッションでは好調な走りを見せた。
一方、オスカーはややまとまりがなく、タイムを短縮するのに苦労していた。
しかし、プレッシャーが加わるとすべてが一変した。ポールポジションを狙うノリスは、最初のアタックで最終コーナーのシケインを不通過。そして、新タイヤでの2回目のアタックでは、ターン7の出口でアンダーステアに陥り障壁に接触した。上位スタート順位を獲得するチャンスを逃した。
彼のベストタイムは、最初のタイヤセットで2回目に走ったバンカーラップだった。
ランドは大一番のプレッシャーに苦しんでいるように見える。カナダでマクラーレンが彼に施したフロントサスペンションのアップグレードは、マシンの感触を向上させるための試みだったが、それでも彼はまだ、今年は予選ではあまり見られなかったミスを犯し続けている。

ランド・ノリスの問題は予選で始まった。
レースでは、自らに課したプレッシャーの下で、またしても誤った判断をしたように見えた。
日曜日もノリスは2台のマクラーレンの中ではより強く、グリッド7番から猛烈な勢いで突き進み、3番スタートから精彩を欠くレースをしていたチームメイトに迫った。
これは4位争いだった。この戦いの勝者には表彰台すらなく、ポイント獲得もわずかだったため、大きなリスクを冒す必要はなかった。それでも、ノリスがピアストリに勝てるかどうかは重要なポイントだった。もしノリスがピアストリを抜けば、ランキングでチームメイトに2ポイントだが差を詰めることができただろうし、さらに重要なのは、彼にとって大きな自信になったことだろう。
しかし、大きなタイヤのアドバンテージがないとオーバーテイクはかなり難しそうに見えた。そのため、ランドがターン10でオスカーのイン側を巧みについて力ずくで抜こうとしたとき、彼はこれが唯一のチャンスだとわかっていたはずだった。

ノリスは週末のほとんどでピアストリよりも速く、レースの終盤ではオーストラリア人を追いかけていた。
オスカーは素晴らしいホイールトゥホイールのレーサーだ。今では日常的にその姿を見るようになったが、最終シケインではブレーキを遅らせて順位を維持し、しっかりと防御していたが、出口では妥協した。
これがランドの最後のチャンスだった。ターン1で成功しなければ、ターン10までオーバーテイクのチャンスはない。ランドが手の内を見せた今、オスカーは彼の試みをかなり意識しているだろうと確信した。
ランドがイン側の本来は存在しない隙間を狙ってしまい、これまでのレースでの好調を台無しにしてしまったのは、まさに最後のチャンスという絶望的な感覚だったように、私には思えた。外から見ると、タイトル候補としては最も不器用なミスのひとつに見えたし、実際そうであることは否定できない。
しかし、コックピット内では、これらの瞬間はあっという間に過ぎ去る。地面すれすれに座り、心拍数は高鳴り、アドレナリンが全身を駆け巡る。66周もの間待ち望んでいたこの瞬間こそ、タイトル争いのライバルに挑み、トラック上で差をつけるチャンスなのだ。
【動画】ピアストリとノリス、バトル、接触、リタイヤ。Piastri and Norris come together in Canada! 😱
— Formula 1 (@F1) June 15, 2025
Here's the collision between the two McLarens 💥#F1 #CanadianGP pic.twitter.com/sKo3GRQ63Q
ランドは、オスカーがわずかに右側に動いたのを見たと思ったので、オーストラリア人がもっと動いてターン1のインサイドにスペースが空くだろうと予想したと語った。
もちろん後知恵だが、彼は右側に留まるべきだった。そうすればブレーキングゾーンまでの走行距離が短くなり、チームメイトのアウトサイドを回るチャンスもあったのだが、前のターンで抑えられたばかりだったため、どんなことがあってもインサイドに入ろうと決心していたのは明らかだった。
まるでスペースが空くのをただ望んでいるかのようだったが、実際にはピアストリはそれを許さないほど賢いレーサーだった。
2011年にモントリオールで起きたマクラーレンのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンの衝突と比較する人もいる。両方の事故をざっと見てみると、同じ出来事だが、両者が衝突に至った経緯は決定的に異なっている。

マクラーレンの同士討ち:2025年ピアストリとノリス、2011年ハミルトンとバトン。
2011年、ハミルトンはバトンとオーバーラップしていたため、チームメイトの隣にスペースを確保する権利があった。ノリスは必死に同じ動きをしようとしたが、スペースは確保できず、並びもしなかった。彼はオスカーに追突した。
2011年の動きはより物議を醸し、結果は全く異なるものだった。パンクに見舞われたにもかかわらず、バトンはF1史上最もドラマチックなレースの一つを制し、一方ハミルトンはマシンのダメージによりリタイアした。
2025年、マクラーレン、そしておそらくノリスも、このインシデントで両マシンがリタイアにならずに済んだことを喜ぶだろう。ノリスはチャンピオンシップで抜いていたら12ポイント、5位のままでも10ポイントを失ったとはいえ。オスカーが実際に恩恵を受け、ノリスが即座に謝罪したという事実は、チームが内紛に陥ることなく済む可能性を示唆している。
56周目
ピアストリ、3位アントネッリに迫ってきた。
61周目
4位ピアストリ、5位ノリス:チームメイトバトル!
66周目
ノリス、ピアストリを抜いたが、ピアストリが抜き返した。
67周目
マクラーレン同士接触、ノリスが障壁に接触してストップ。
セーフティカー出動。
ノリス「ごめん、僕が悪かった。全部僕のせい、バカだった」

事故後、マクラーレンのガレージまで孤独に歩いて戻るノリス。
それでも、これはノリスがチームメイトとレースをする上でリスクを負うという、真の意思表示と言えるだろう。チームワークを装う時代は終わり、シーズン残りは間違いなく手加減なしの攻防戦となる。ピアストリはこれまでで最大のポイントアドバンテージを次のレースに持ち越し、ノリスはまたしても、もし自分が何をすればよかったのかを悔やむ1週間を過ごすことになる。
彼にとっての唯一の救いは、ペースがあったことだ。接触まではノリスにとって2025年最高の走りのように見えたし、彼はそれを自信に繋げるだろう。ただ、プレッシャーのかかる場面でミスが多すぎるのが気になる。
昨年のアブダビでの優勝はコンストラクターズチャンピオンシップのプレッシャーの中でのものだったが、彼がポールポジションを獲得したモナコほど熾烈な予選はない。だから、彼がプレッシャーに対等できることはわかっている。あとは勢いに乗るだけだ。今回はまたしても汚点となったが、チャンピオンシップはまだ終わっていないことは間違ない。
-Source: The Official Formula 1 Website
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