F1分析:フェルスタッペンはラッセルとルクレールと接触したが、そもそもなぜ彼らは互いに競いあっていたのか?

スペインGPのレース残り6周でセーフティカーがピットに戻り、全マシンは、オスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン2台、そして大胆な3ストップ作戦でマクラーレンに戦いを挑んでいたマックス・フェルスタッペンのレッドブルが先導するリスタートに備えた。

しかし、フェルスタッペンのレースはひどい下り坂を迎えようとしていた。3ストップのせいで、彼はミディアムC2とソフトC3のタイヤをすべて使い切っていた。セーフティカー導入下で上位陣は全員ピットインし、新品のタイヤに交換した。しかし、フェルスタッペンはハードC1を履かざるを得なかった。

このハードタイヤはバルセロナではうまく機能せず、ウォームアップに長い時間を要した。そのため、リスタート時にレッドブルはすぐ後ろを走るシャルル・ルクレールとジョージ・ラッセルのソフトタイヤのマシンに対して無防備になってしまった。

案の定、フェルスタッペンは高速最終コーナーを抜けてピットストレートに入った瞬間、大きなオーバーステアに見舞われ、ルクレールのフェラーリが横に並んだ。ふたりは時速320kmに近い速度でサイドバイサイドで走り、タイヤが擦れ合う場面もあったが、どちらも後退する気配はなかった。しかし、ターン1に差し掛かると、イン側をリードしていたのはフェラーリだった。

レッドブルとフェラーリの間には隙間があったが、ラッセルがそこに入り、メルセデスはアペックスで他の2台と並んだ。

激怒したフェルスタッペンが終盤でラッセルと接触。

レーシングガイドラインでは、コーナー進入権を得るには、イン側から追い越そうとするドライバーは、少なくともアウト側の車両のミラーに前車軸を並べる必要がある。ラッセルはそれを達成したようだ。フェルスタッペンは、ターン3出口へのより速いルートとなるランオフを走り、メルセデスより前に出た。

この時点で、フェルスタッペンとチームの見解は異なっていた。フェルスタッペンはルクレールが接触して追い抜いたと主張し、3位を自分に戻すべきだと主張した。一方、レッドブルは、フェルスタッペンがラッセルより先にトラックに復帰したことでペナルティを受ける可能性を懸念していた。

チームはレースコントロールに問い合わせたものの返答はなかった。しかし、画面上ではインシデントが記録されていたことが確認できた。セーフティカー退場直後の大混戦の中で、ペナルティを受けると大きく順位を落とす可能性を懸念し、チームは難しい立場に置かれた。

ルクレールとフェルスタッペンはリスタート時にホイールをぶつけた:2025年F1スペインGP
ルクレールとフェルスタッペンはリスタート時にホイールをぶつけた。

クリスチャン・ホーナーは「レースディレクターが、そのまま続けるか、それとも順位を返せと言ってくれていたらよかったのに」と説明した。

「歴史的な前例を踏まえ、スチュワードやレースディレクターの考えを先取りしなければならないので、チームとして主観的に判断するのは難しい」

「尋ねてみたが、何も返答がなかった。そのため、スローモーション映像を全部見て、五分五分だと思った。それで『その順位を明け渡す必要がある』と無線で伝えた」

フェルスタッペンは、3位を取り戻せず、4位も譲るよう求められるという二重の打撃に激怒した。こうした状況下で、彼はターン5でラッセルのマシンと接触した。この件でフェルスタッペンに10秒のペナルティが科された理由を説明するFIAの文書には、この両方のインシデントについて言及されている。


マックス・フェルスタッペン、10秒タイムペナルティと3ペナルティポイント(12ヶ月間累積11点に):2025年F1スペインGP(6月01日)
マックス・フェルスタッペン、10秒タイムペナルティと3ペナルティポイント(12ヶ月間累積11点に):2025年F1スペインGP(6月01日)

フェルスタッペンはスペインGP終盤のペナルティにより5位から10位に降格
フェルスタッペンはスペインGP終盤のペナルティにより5位から10位に降格。

「無線通信から、1号車(フェルスタッペン)のドライバーは、チームが1号車がコースアウトして永続的なアドバンテージを得たと認識したため、63号車(ラッセル)に『順位を返す』ように求められたことは明らかだった(実際、我々はレース後、このインシデントについてはそれ以上の措置を取らないことを決定した)」

「1号車のドライバーは、チームから順位を譲るよう求められたことに明らかに不満を抱いていた。ターン5へのアプローチで、1号車は大幅に減速し、その結果、63号車に追い越しを許したように見えた」

「しかし、ターン5の進入で63号車が1号車を追い抜いた後、1号車が急加速し、63号車と衝突した。この衝突は紛れもなく1号車の行動によるものだった。そのため、1号車に10秒のタイムペナルティを科した」

これにより、フェルスタッペンは5位から公式順位10位に後退した。つまり、ドライバーズタイトル五連覇を目指すフェルスタッペンは ランキングトップのオスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレンコンビからさらに離されてしまった。

マーク・ヒューズ
-Source: The Official Formula 1 Website


61周目
レース再開
ルクレール、フェルスタッペンを抜いて3位に:ソフト対ハード!
62周目
ルクレールとフェルスタッペン、審議に。
64周目
レッドブル、フェルスタッペンに「ラッセルに譲れ」
フェルスタッペンとラッセル、接触。
フェルスタッペン、ラッセルを前に行かせる、ラッセル4位に
65周目
フェルスタッペンとラッセルの件、審議に
66周目 ファイナルラップ
ピアストリ、トップ走行
2位ノリス、3位ルクレール、4位ラッセル、5位フェルスタッペン、6位ヒュルケンベルグ、7位ハミルトン。
ピアストリ、優勝!
レース終了
フェルスタッペンに10秒ペナルティが出た、順位は5位フィニッシュから10位に。

スペインGPはフェルスタッペンが受賞。