F1分析：レッドブルはいかにしてフェルスタッペンにモナコでの逆転優勝のチャンスを与えたのか : F1通信jp

レッドブルがマックス・フェルスタッペンのためにオフセット戦略を採用したため、フェルスタッペンは最終周回から2周前に義務付けられた2回目のピットストップを行うまで、首位を守り続けた。これは、レッドブルにとって勝利を掴む唯一の望みだった。というのも、レッドブルは、バンプや低速コーナーのある市街地トラックでは高速サーキットほど競争力がなかったからだ。

その戦略は、スタート順位の4位からハードタイヤで最初のスティントを長く走り、その後、最後から2周目までミディアムタイヤで非常に長い（50周）スティントを走るというものだった。

今週末の特別なルールでは、レースを通して少なくとも3セットのタイヤを使用し、少なくとも2種類の異なるコンパウンドを使用することが義務付けられた。C6ソフトタイヤは数周以上のスティントには適さなかったため、レース戦略はC4ハードタイヤとC5ミディアムタイヤを中心に立てる必要があった。

マクラーレンとフェラーリは、両マシンに3セットのレース用コンパウンドを用意していた。レッドブルはフェルスタッペンに2セットしか用意していなかった。

フェルスタッペンはモナコで代替戦略を実行した。

彼らは予選に向けてソフトタイヤセットを最大数活用することに決め、フリー走行中にミディアムタイヤを1セット余分に使っていた。レースに臨む時点で、使用可能なハードとミディアムのセットは以下の通りだった。

ノリス：新ハード2セット / 新ミディアム1セット

ルクレール：新ハード1セット / 新ミディアム1セット / 中古ミディアム1セット

ピアストリ：新ハード2セット / 新ミディアム1セット

フェルスタッペン：新ハード1セット / 新ミディアム1セット

ハミルトン：新ハード1セット / 新ミディアム1セット / 中古ミディアム1セット

2025年F1モナコGPタイヤ履歴

理論上、これはレッドブルにとって戦略的に理想的とは言えなかった。なぜなら、ハードとミディアムにそれぞれ2つのロングスティントを課したからだ。規定で3セットのタイヤを使用する必要があるにもかかわらず、ハードタイヤとミディアムタイヤが2セットしかなかったため、レースのどこかの時点で不向きソフトタイヤを使用せざるを得なかった。

対照的に、フェラーリとマクラーレンはソフトタイヤを使用する必要がないため、必要に応じてスティントの長さを変える柔軟性があった。

フェルスタッペンは、レース終盤に首位を走っていたにもかかわらず、最終的に4位でチェッカーフラッグを受けた。

しかし、理論上の不利は現実には起きなかった。レッドブルはマクラーレンやフェラーリに対する競争力不足、そして（ハミルトンがフェルスタッペン妨害によるグリッド3番降格ペナルティで追い越しを余儀なくされ、遅れをとったため）後方からのアンダーカットの脅威もなかったことを考えると、とにかく非常に長いスティントが絶対に必要だった。

つまり、他のマシンがピットインする前にセーフティカーか赤旗が出ることを期待して、ピットインせずに走り続けることができたのだ。こうして、少なくとも予想外の優勝のチャンスはあった。しかし、それは実現しなかった。フェルスタッペンは最終ピットストップで4位に後退した。

予選でハミルトンが（皮肉なことにフェルスタッペンに対する）走行妨害でグリッド降格ペナルティを受けていなければ、フェルスタッペンは5位からスタートし、おそらく5位でフィニッシュしていただろう。

しかし、予選でフェルスタッペンより0.286秒速かったハミルトンのフェラーリは、レースではまずフェルナンド・アロンソのアストンマーティンよって、続いて人工的に低速化された渋滞を周回遅れにすることによって大きく遅れ、フェルスタッペンにとって脅威にはならなかった。

モナコではレッドブルは不本意な結果となったが、来週末のスペインはもっと彼らの強みを生かせるだろう。

これはチャンピオンシップの観点から見ると、レッドブルにとってダメージをうまく抑える結果となり、フェルスタッペンはチャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリに対してわずか3ポイントしか失わなかった。

レッドブルは最近の改良にもかかわらず、根本的に低速で凹凸のあるコースには適していないが、今度はそれより適していると思われるバルセロナのサーキットに向かう。

ポールポジションから0.7秒遅れで予選を終えたフェルスタッペンは、「予選では昨年よりも遅かった。ここのレースで改善したいと思っていたことを実現できていないと思う… 毎年、この新世代マシンではここで苦戦している」と語った。

「ペース面で圧倒的なアドバンテージがあった2023年のみ、このレースに勝てた。でも、それ以外の年はずっと苦戦していた。毎年挑戦しているが、どういうわけかここはうまくいかない」

レースでは競争力がなかった。

「トップ3のマシンに追いつけないペースだった。彼らに追いつこうとするたびに、タイヤが少しオーバーヒートしすぎてしまった。ここは僕らのトラックではない」

マーク・ヒューズ
-Source: The Official Formula 1 Website

「セーフティカーや赤旗でラッキーなことがあるかどうか、そのために、ただひたすら走り続けた」
「ここではオーバーテイクが不可能なので、レースで何が起こるかは運次第」
「とてもシンプルだが、このトラックは僕らのマシンには合わない」