
シャルル・ルクレールはサウジアラビアで、フェラーリの現在の競争力を考えると、グランプリでの3位表彰台は「夢のような結果」だと認めた。しかし、ルクレールはどのようにして今シーズン初の表彰台を獲得したのだろうか? そして、なぜ彼のマシンは期待通りに機能していないのだろうか?
最初のスティントでミディアムタイヤを長く履いて走行していた彼は、前を走っていたジョージ・ラッセルがピットインしていなくなると、マシンバランスが大幅に改善されたことに気づいた。
「ここではクリーンエアが本当に重要だ」と、ルクレールはレース後クールダウンルームでマックス・フェルスタッペンやオスカー・ピアストリと会話していた。そのクリーンエアのおかげで、彼は第1スティントでラッセルよりも9周長く走行することができ、第2スティントでは新タイヤのグリップのアドバンテージを十分に活用し、トラック上でメルセデスをオーバーテイクして引き離すことができた。

2025年F1サウジアラビアGPタイヤ履歴
ルクレールは「今日はクリーンエアとタイヤ管理のおかげで調子が良さそうに見えた」と語った。「僕らにはとてもよいレースカーがあったが、ダウンフォースが足りなかった。それが予選でこの順位になった理由だ」
フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは「予選で最初の2コーナーで0.35秒を失い、アタックの残りで速かった理由を理解する必要がある」と付け加えた。

ルクレールはジェッダで頑張り、今シーズン初の表彰台を獲得した。
GPSデータから、予選での大きなロスは、ターン1-2の低速 (時速59マイル | 時速94km) の3速シーケンスで発生したことが確認された。
通常、アタックの最初のコーナーで大きなタイムロスが発生する場合、原因はフロントタイヤの温度不足である。しかし、ジェッダでは非常に柔らかいC5コンパウンドを使用していたので、そうならなかった。フェラーリを含め、このタイヤでウォームアップの問題を経験したドライバーはいなかった。
ルクレールの予選アタックでは、ターン15、5速、時速120マイル(時速193km)のリターンレグの左コーナーでさらに0.13秒のロスがあった。
アタックの残りのコーナーのほとんどは(全てではないが)、超高速でほぼ全開に近い。(すべての上位マシンが必要とする)ダウンフォースというよりは、空力学的効率、つまり必要なダウンフォースレベルを得るためにどれだけのドラッグを誘発するかが試される。
この基準から判断すると、フェラーリは明らかに非常に競争力が高い。しかし、ダウンフォースを必要とする低速コーナーがふたつ残っているが、フェラーリのパフォーマンスは驚くほど良好で、ターン1-2とターン15で失うタイムとは一致しない。

シャルル・ルクレール3位、ミディアムタイヤでの最初の長いスティントが彼のレース戦略を成功させる鍵となった。
ダウンフォースが要求されるコーナーでタイムをロスするフェラーリが、比較的遅いターン 4 (5速、時速111マイル | 時速177km) と、最終ターン27(3速、時速70マイル | 時速113km)で、どうやってまだ十分な競争力を維持できるのだろうか?
その答えは、ルクレールがここ数戦で辿り着いた異例のセットアップにあるようだ。彼は、マシンの難しい、そしてコーナー通過時の不安定なバランスを克服しようとしてきた。
機械的セッティングと空力学的セッティングの組み合わせは、彼自身の言葉を借りれば「極端」であり、このマシンの運転は非常に要求が厳しい。ジェッダのアタックの最低速地点(ターン1-2)では、マシンの反応が鈍く、アンダーステアがひどく、ルクレールはかなり遅くなるまでアクセルを踏むことができない。
しかし、その機械的バランスは、あそこでは大きな障害となるものの、空力学的が優位になるコーナーでの進入時のオーバーステアを抑制するのに役立っている。そして、ルクレールはブレーキ、スロットル、ステアリングを巧みに組み合わせることで、進入時のマシンの動的重量を巧みに操る卓越したスキルを持っている。

フェラーリの次のアップグレードはイモラに届く予定で、両ドライバーを喜ばせるだろう。
ターン4では、彼はブレーキングフェーズとスロットルをわずかにオーバーラップさせているが、これは進入時のオーバーステアを抑制する効果がある。ターン27では、ブレーキングフェーズを非常に穏やかかつ段階的に導入することで、マクラーレンとレッドブルのマシンと同等の勢いを維持しているが、マクラーレンとレッドブルは、このコーナーにははるかに攻撃的に進入している。
ターン15は、ダウンフォース不足を彼のテクニックで克服するには少し速すぎるように見える。ターン1-2は、ルクレールがアタック全体の最適バランスをとるために私用している機械的バランスによって支配されすぎている。
フェラーリはバーレーンで導入された新しいフロアによって実現可能なバランスの枠を広げたようだが、それでもまだ狭すぎてダウンフォース不足をもたらしているようだ。
チームはこれらの問題に対処するためのアップグレードの開発に懸命に取り組んでおり、イモラに間に合うようリリースされる予定である。
マーク・ヒューズ
-Source: The Official Formula 1 Website