シャルル・ルクレール(フェラーリ)

ハンガリーGPでの奇妙な戦略のように、今季のフェラーリは意思決定と信頼性の失敗により、シャルル・ルクレールから100ポイント以上を奪った。マックス・フェルスタッペンがチャンピオンシップで大差をつけてトップに立っているが、フェラーリのミスがなければ、2022年シーズンは全く違うものになっていたかもしれない…

ある意味、ハンガリーGPはシャルル・ルクレールとマックス・フェルスタッペンのシーズン、そしてフェラーリのタイトルへの挑戦の失敗を完璧に要約していた。

ルクレールとフェラーリは、またしても完全に回避可能なレース戦略で多くのポイントを失う一方で、レッドブルはいつでも襲いかかろうとしていた。

タイトル争いでフェルスタッペンと80ポイント差となり、ハンガリーはルクレールのチャンピオンシップの争いにおいて致命的な打撃だった。今シーズンの彼とマシンのパフォーマンスを考えると、この差は信じられないほどだ。

何が起きたのか? 誰のせいなのか? 戻る道はあるのか? フェラーリが最新の調査を開始した今、我々も調査を開始する時が来た...。

ルクレールのタイヤ交換:2022年F1ハンガリーGP

フェラーリにおける最新のルクレールの「災難」とは?

ルクレールは、ハンガリーで3番グリッドからスタートし、レース中盤にジョージ・ラッセルを見事にオーバーテイクしてトップに立ち、士気を高めるとともに待望の優勝を果たすかに思われた。10番スタートのフェルスタッペンが後方から追い上げる中、ルクレールはすぐに5秒のリードを築き、フェラーリはすべてのカードを手に入れた。

しかし、レースは戦略によって一転し、レッドブルがフェラーリを動揺させミスに陥れたように見えた。

ここまでソフトとミディアムのタイヤを使用してきたフェルスタッペンは、残り32周でピットインしてさらにミディアムに交換した。レッドブルは、ラッセルとルクレールのチームメイト、カルロス・サインツをアンダーカットしようとしているように見えた。

フェラーリは、これに対してルクレールより古いタイヤを履いているサインツをピットインさせるのではなく、レースリーダーをピットインさせることを決めた。さらに奇妙なことに、ルクレールはこれまでミディアムタイヤしか使用しておらず、ソフトタイヤはレースの最後まで持たないため、チームは推奨されていないハードコンパウンドに交換した。

ルクレールのペースは、なぜ他のチームがハードを使いたがらないのかをすぐに証明した。ルクレールはフェルスタッペンの無防備な標的となった。フェルスタッペンはスピンの前と後で2度ルクレールを追い越し、事実上先頭に立った。

タイヤに不満を抱くルクレールは、2位走行中に再びピットインし、そのせいで6位まで後退し、その順位でフィニッシュした。

ルクレールはレース後、スカイスポーツF1に「レース終盤は僕にとって大惨事だった。そこでレースに負けた」と語った。

フェラーリはこれをどう説明したのか?

フェラーリは、チームのマシンがレースに勝つほど速くなかったと主張することで、注目を逸らそうとしているが、チーム最速のドライバーが6位に終わったことについての説明を求められた。

チーム代表のマッティア・ビノットは、フェラーリは他のマシンがハードタイヤで苦労していることを知っていたが、11周後にはハードタイヤが最速のコンパウンドになるという独自の計算をしていたと述べた。

つまり、完璧なシナリオでは、フェラーリはフェルスタッペンのピットストップをカバーし、ルクレールはフェルスタッペンから順位を守るのに十分な速さがあるはずだった。

しかし現実では、ルクレール本人を含め、ハードタイヤが機能しなかったことに誰も驚かなかった。

ビノットはレース後「マシンが思ったように動かなかったからだと思う」と、やはり作戦よりもマシンの問題に焦点を当てようとした。

しかし彼は、チームに全幅の信頼を置いていると続けた。

「何が起こったのか、分析するには少なくとも数時間から数日かかるだろう」

シャルル・ルクレール(フェラーリ)

今シーズン、ルクレールはチームによって何ポイントを失ったか?

勝てる立場を投げ捨てるというのが、今シーズンのフェラーリのストーリーであり、信頼性の低さと作戦によって、ルクレールは、フェルスタッペンとの対戦ではなく、チームによって100点以上のポイントを取りそこなった(失点)というのは、非常に正当な主張だ。

スペインGP
ルクレールはポール・ポジションからスタートし、楽々とトップを走行していたが、エンジンが故障した。
取りそこなったポイント:25ポイント - ルクレールはこのレースで優勝確実に見えたが、無得点に終わった。


モナコGP
ルクレールはフェラーリ1-2を率いていたが、天候コンディションの変化に対応するのが遅すぎ、セルジオ・ペレスが彼をアンダーカットした。ルクレールはピットインのときにサインツの後ろに並んで遅れ、4位でフィニッシュした。
取りそこなったポイント:13ポイント。レッドブルの作戦に出し抜かれなければ、フェラーリは確実に優勝できた。


アゼルバイジャンGP
ルクレールは再びポール・ポジションからトップに立ったが、20周目にエンジンがブローした。
取りそこなったポイント:25ポイント - ルクレールは1ストップ作戦を成功させなければならなかったが、彼には勝てるだけのペースがあった。


カナダGP
ルクレールは前戦のエンジン故障のため、グリッド降格ペナルティを受け、グリッド最下位からスタートしたが、5位でフィニッシュした。
取りそこなったポイント:15ポイント - フェルスタッペンが優勝したが、2位のサインツとは僅差だった。ルクレールはシーズンを通じてサインツよりも優位に立っているので、エンジン・ペナルティがなければ、ルクレールがこのレースに勝てたと言うのは馬鹿げたことではない。


イギリスGP
またしてもルクレールはセーフティカー出動前は先頭を走行しており、セーフティカー出動により、ピットストップが相次ぎ、他チームはフレッシュタイヤに交換した。しかし、フェラーリはサインツをピットインさせて速いソフトに交換したことが初優勝に繋がったが、一方、14周走っていたハードタイヤを履いたルクレールを最後まで走り続けさせた。そのため、彼は後続マシンに対して無防備になった。
取りそこなったポイント:13ポイント - ルクレールは4位でフィニッシュしたが、もしソフトタイヤに交換していれば、間違いなく勝っていただろう。フェラーリは、他のドライバーが走り続けてトップを奪うことを懸念していたと述べたが、ルクレールはオーバーテイクができるペースを持っていたはずだ。


ハンガリーGP
フェラーリは、ルクレールが望んだように、ミディアムで走らせ続け、その後、最後にソフトに交換するべきだった。そうすれば彼はフェルスタッペンを追い詰めることができたはずだ。優勝を逃した? その通り。
取りそこなったポイント:17ポイント


取りそこなったポイントの合計:108ポイント
フェルスタッペンが上記のレースのうち2戦(モナコとシルバーストーン)を除いてすべて優勝し、2回リタイアしたことを考えると、ルクレールはこのチャンピオンシップでトップに立つことができたし、おそらくそうあるべきなのだろう。

シャルル・ルクレール、スピンしてタイヤバリアにクラッシュ:2022年F1フランスGP

ルクレール自身は何ポイントを失ったか?

ルクレールのタイトル争いがおかしくなったのは、フェラーリのせいばかりではないと言わざるを得ない。実際、フランスGPでクラッシュした後、ルクレールは2022年の王座を獲得できなかった場合、非難されるべきは自分自身だと語った。

エミリア・ロマーニャGPでは、ルクレールは3位を走行し、セルジオ・ペレスを追っていたが、シケインでスピードを出しすぎてスピンし、コースアウトした。これで6位に後退し、7ポイントを失った。


そしてフランスGPで、またしてもルクレールの指の間から勝利がこぼれ落ちた。ルクレールはレースをしっかりコントロールしていたが、今シーズン最悪のミスを犯し、スピンして障壁に突っ込み、レースをリタイヤした。これでまた25ポイントを失ったことになる。


だから、もしルクレールが32ポイント以下の差でタイトルを逃したら、彼は当然、自分自身を批判することができるだろう。

しかし、彼のミスはチームのミスに比べると色あせる。

2022年F1後半戦、タイトル争いでルクレールの巻き返しはあるのか?

タイトル争いでルクレールの巻き返しはあるのか?

今シーズンこれまで、純粋なペースでは、間違いなくフェラーリは最速のマシンを持っており、レッドブルより多くポール・ポジションを獲得している。そして上記の通り、もっと多くの勝利を収めていたはずだ。

しかし、フェルスタッペンにとって80ポイントというのは途方もないリードであり、タイトル防衛のために実際にレースに勝つ必要がない(フェルスタッペンは、毎戦ルクレールが優勝しても2位につければタイトル優勝ができる)ことを知った上で、シーズン後半に臨むことができるのだ。

フェラーリのこれまでの戦い方は、間違いなくF1での最大のタイトルへの挑戦となるであろう後半戦に対して、自信を与えてくれるものではない。

それでもレッドブルは警戒している。

レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「大量リードだが、レースはまだまだ続く」と述べた。

「(ハンガリーの日曜日に)クラッチに信頼性の問題があり、リタイヤになる可能性もあったが、幸いにもそうならなかった」

「だから、まだ改善できる部分がいくつかあるし、やるべきレースもまだたくさんある」

-Source: Sky Sports



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2022年F1ハンガリーGPコラムとチーム分析