マーク・ヒューズが、ジョルジオ・ピオラの技術イラストとともに、メキシコシティGPで明らかになったフェラーリがシーズン終盤に導入したアップデートを考察する。
シーズンのこの段階では、マシンの空力学的開発プログラムはすべて終わっている。しかしそれでも、各チームは理解を深める努力を続けている。
先週末のメキシコGPで、フェラーリは2022年規約に向けたプロトタイプとなる、新しいフロントブレーキダクト・アセンブリを導入した。この規約の主な目的は、クルマの空力学的後流を整えることで、空気の乱れを少なくし、後続マシンの追従やオーバーテイクを容易にすることである。
その一環として、規約は吹きつけホイール(ブローホイール)が禁止された。現在、吹きつけホイールは、ブレーキダクトから空気をホイールに導き、気流を強化してダウンフォースの増大に貢献しているが、それによってマシンの上を通過する空気がさらに乱されている。
2022年のブレーキダクト:規約によって、開口部が大幅に制限されている
2019年に禁止されるまで、吹きつけ車軸(ブローアクスル)がこの仕事をしていた。そこで、エアロダイバミシストは、ホイールハブのデザインを利用して同じことをする方法を見つけた。来年は、ホイールにはブランキングカバーが必要となるので、この行為は不可能となる。
その開発方法の抜け道を閉ざす一環として、規約は、ブレーキダクトの開口部のサイズも制限している。そのため、ブレーキダクトが本来の役割である適切なブレーキ冷却を実行できるようにすることが課題になっている。
フェラーリの標準的な2021年ブレーキダクト:青い矢印は、キャリパーとディスクの冷却用空気の入口を示す。赤い矢印は、空気はタイヤ温度の管理に利用される「ケーキ缶」の覆いとホイールの間を通る空気を示している。
標高が高いため空気が薄いメキシコは、ブレーキ冷却の課題が、年間で最も大きくなる。そのため先週末は、開口部のサイズが制限された2022年版ブレーキを使っても、適切に冷却できるかどうかを確認する、完璧な「最悪のシナリオ」実験だった。ブレーキサプライヤーのブレンボの代表者も実験に参加した。
最初のフリー走行セッションで、シャルル・ルクレールが標準的な2021年ブレーキダクトを装着し、カルロス・サインツJr.が2022年版を装着した。これは、開口部が制限されていたが、2021年と同じ空力学的効果があった。
チームは、2022年仕様のブレーキが完璧に機能し、十分に適切な冷却レベルが得られたことに喜んでいた。このブレーキは、週末の残り、両マシンに装着された。
-Source: The Official Formula 1 Website
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