モントリオールでは、フェルナンド・アロンソが、優勝したレッドブルのマックス・フェルスタッペンから9秒遅れの2位になったが、彼が乗ったアストンマーティンは、サイドポッドの配置が大きくアップデートされていた。
上面に深い「ウォータースライド」チャンネルがあるアストンマーティンAMR23のサイドポッド配置は、すでにかなり独特だった。新しいボディワークは、基本的なレイアウトを維持しているが、サイドポッドの前下縁のアンダーカットが強化され、「ウォータースライド」の形状が狭く、深くなった。
アンダーカットとウォータースライドが調和して働き、マシンのリアに向かって気流を加速させる。ふたつの気流が合流することで、より強力な気流が後輪の間に導かれ、ディフューザーの壁を越えて回り込むように流れ、アンダーフロアのパフォーマンス(性能)を向上させる。
アンダーカットからの気流は、フロアの縁にある各種の切り込みを通過して渦を起こし、フロアの密閉性を高めるのに役立つ。
アンダーカットは背後に低い気圧を作り出し、そこに向かってくる空気(対向空気)が低圧部分をすぐに満たす。アンダーカットを大きくするなど、その圧力差を高めることが望ましいと判断される。同様に、サイドポッド上面のウォータースライダーを狭く、深くすることで、その気流に勢いをつけることができる。
サイドポッド上面の「ウォータースライド」気流と、前部のアンダーカットからフロア縁に沿って流れてきた気流は、後輪底部の直前で合流する。この隙間に流れ込む気流をいかに速く、安定させるかが、マシンのパフォーマンスの差別化要因である。
アストンマーティンのテクニカルディレクター、ダン・ファローズは、サイドポッドの変更は、視覚的に大きく違っていることは認めたが、その重要性を否定していた。
彼は「物理的には非常に大きなアップデートだが、これまでマシンに施した、あまり目に見えないものも、かなり重要だ」と述べた。
「我々は、数レース後に大きなアップデートを行うのではなく、着実に開発するようにしている。今回は、必ずしも性能面でマシンに最大のアップデートをしたわけではない」
「サイドポッドは、マシンの後方への気流を調整するフローチューニングの機能を持っているが、同時にフロアの機能にも役立っている。我々が採用した理念は、グリッド全体で採用されつつあるものであり、フロアのこのコンセプトが機能するのを助ける。それ自体、おそらくボディワークのパフォーマンスの向上はそれほど大きくないかもしれないが、他のすべての機能を助けてくれる」
アロンソのアストンマーティンAMR23:スペインGP(上)とアップデートされたボディワークのカナダGP(下)
「マシンの操作範囲を改善しようとしている。我々には弱いサーキットや強いサーキットがあるので、できるだけ多くのサーキットで、操縦可能、使用可能にするようにしたい」
オーストリアのレッドブル・リンク、イギリスのシルバーストン、ハンガリーのハンガロリンクなど、さまざまな構成のサーキットが登場する中、今年ここまで8戦全勝しているレッドブルの優位性を、アストンマーティンが削り続けることができるかどうか、興味をそそられる。
-Source: The Official Formula 1 Website