先週木曜日(7月14日)に、FIA、F1、各チームのテクニカル・ディレクターを交えた技術諮問委員会が行われ、上下動を削減するために2023年レギュレーションの調整がいくつか提案された。F1技術専門家のマーク・ヒューズが、来年に向けた提案、そしてそれがチームに与えるであろう影響を考察する。
(先週ここで説明したように)スパから実施されることになったマシンの垂直振動測定とそれに伴うフロアプランクの柔軟性に関する変更に加えて、FIAはその後、上下動問題にさらに対処するために、(世界モータースポーツ評議会の承認を条件として)2023年に4項目のレギュレーション改正(規則改正)を行うことを発表した。
フロアの端(エッジ)が25mm高くなる
フロアの両端を高くすることで、チームはベンチュリトンネルの後方部分を、周囲の気圧に対して物理的に密閉することが難しくなる。現時点では、この方法でアンダーボディのダウンフォースを増加させることが可能だが、それに付随して、気流の失速と、多かれ少なかれ全マシンが悩まされているポーポイズ現象(ポーポイジング)の開始という危険性がある。
2023年F1はフロアの端が25mm高くなる。
ディフューザーの喉部分が高くなる
アンダーフロアトンネルのなかで最も狭い部分を「喉(のど)」と呼ぶが、この部分で圧力変化を起こすことで、気流を加速させ、ダウンフォースを増加させる。
喉は、トンネルの後方、ドライバーの座っている場所のすぐ下の位置にある。気流速度は、この喉と地面との間にある数ミリの隙間で指数関数的に増加する。しかし、特定のポイントではその隙間が小さくなりすぎて、流れ(気流)が止まることがある。
規則によってディフューザーの喉位置を高くすることで、動的な車高の変更に対するマシンの下側全体の耐性が向上するだろう。
横方向のフロアたわみ試験
フロアの横方向のたわみ量を制限すると、高くしたエッジとともに、フロアの外縁を利用してアンダーボディを密閉する可能性が低下する。
F1TVテック・トーク:ポーポイズ現象に対するFIAの対応 | Crypto.com<この記事ソースにある動画>
垂直加速度に対するより正確なセンサー
スパ以降、マシンの垂直加速度は、すでに搭載されているセンサーによって測定される。このセンサーの当初の目的は、事故の衝撃を記録することだった。したがって、これらのセンサーは、今シーズンはふたつの役割を果たすことになるが、2023年は垂直方向の跳ね返り力をより正確に記録する特別なセンサーが搭載される予定である。
これらの措置は、オーストリアGP翌週の木曜日(7月14日)に開催されたF1技術諮問委員会の後に、FIAから発表された。FIAは声明で、その立場を次のように要約した。
「安全性の問題に介入するのは、FIAの責任と特権であり、レギュレーションがこのような措置をとることを認めているのは、まさに各チームが置かれた競争上の立場に左右されることなく、決定を下すことができるようにするためだ」
「F1チームにとって、自らのマシンを設計するためのレギュレーションを明確にすることが重要であるため、これらの措置は、近いうちに世界モータースポーツ評議会に提出され、検討と承認を受ける予定である」
-Source: The Official Formula 1 Website