F1技術解説:RB18のポーポイズ現象を軽減したレッドブルの巧妙なアンダーフロア

マーク・ヒューズが、ジョルジオ・ピオラの技術イラストとともに、レッドブルのアンダーフロアの設計が、アゼルバイジャンでチームのポーポイズ現象(ポーポイジング)を軽減させた方法に注目する。

バクーでは、多くのマシンがポーポイズ現象に苦しめられていることが明らかになったが、優勝したレッドブルは、シーズン開幕時からそうであったように、この現象に大きな影響を受けていないことが特筆される。

そのため、ライバルであるフェラーリとは理念も詳細も著しく異なっているRB18のアンダーフロアは、モナコ予選におけるセルジオ・ペレスの事故のあと詳細が明らかになったので、今や大きな注目を浴びている。

フロアの具体的詳細を見て行く前に、その設計の最も重要な点は、トンネルの屋根が他のフロアの屋根よりも高く、アーチ型になっていることだろう。これは、本質的に失速しにくい可能性がある。

レッドブルRB18のアンダーフロアのキールは、他のマシンほど洋梨型ではなく、特殊な輪郭をしている(1, 2, 3)。そのため、レッドブルのトンネルは車速に応じて車高が上下することで、圧力のより大きな変動を可能にしているようだ。また、トンネルの長さが異なることから、トンネル前方部分の圧力を均等化するために、トンネルの屋根と慎重に対応していることが示唆される。「アイススケート」(4)は、金属製のアンダーフロア・ウィングである
レッドブルRB18のアンダーフロアのキールは、他のマシンほど洋梨型ではなく、特殊な輪郭をしている(1, 2, 3)。そのため、レッドブルのトンネルは車速に応じて車高が上下することで、圧力のより大きな変動を可能にしているようだ。また、トンネルの長さが異なることから、トンネル前方部分の圧力を均等化するために、トンネルの屋根と慎重に対応していることが示唆される。「アイススケート」(4)は、金属製のアンダーフロア・ウィングである。

速度が上がるとマシンは地面に近づき、トンネル最下部の小さな隙間から後方の気圧の高い場所に空気が流れ込むことで得られる地面効果(グラウンドエフェクト)はより強力になる。この隙間(ギャップ)が最後の数mmになると、気流の速度が上がり、したがってダウンフォースも指数関数的に増大する。

だが地面との距離が非常に近くなるので、気流が失速してポーポイズ現象が発生する危険性がある。屋根が高ければ、理論上のピークダウンフォースは低くても、ダウンフォースは高さの影響を受けにくくなるはずである。トンネルと路面の間の小さな隙間の後ろにある大きな容積の空気が膨張することで、隙間の後ろに低い圧力が発生し、それを空気が埋めようとする。

車高が下がると、この屋根は空気をより大きく膨張させ、したがって、過剰(余分)な圧力で隙間がふさがれる可能性が低くなるように見える。

フェラーリF1-75の平坦なセンターキールは、均一な洋梨型で、レッドブルのキールほど複雑ではない
フェラーリF1-75の平坦なセンターキールは、均一な洋梨型で、レッドブルのキールほど複雑ではない。

しかし、その一般的なレイアウトの中にも、レッドブルのフロアには非常に特徴的なものがいくつかある。

エイドリアン・ニューウィは、フロアの下にはさまざまな気流があり、それらをうまく組み合わせることが重要であると指摘している。フロア前部の吸気ストレーキは、トンネルの形状に合わせて長さを変え、圧力を均等にし、気流がトンネルを通過する際にエネルギーを与えるような形状になっている。また、車高が変わってもできるだけ容積を一定に保つため、横方向と縦方向の形状を一致させるために、多くの努力がなされているようだ。

同様に、フラット(平ら)なセンターキールも、他のマシンのように均一な洋梨型ではなく(比較のためにフェラーリを参照)、トンネルの高さが長さ方向に変化することと連動した形状になっていると思われる。車高が低くなると、空気が入るトンネルの容積は明らかに小さくなる。この形状は、さまざまな車高におけるトンネルの容積変化を、長さ方向に沿ってより均一にするのだろう。

モナコで持ち上げられるセルジオ・ペレスのレッドブルRB18。丸印は「アイススケート」の場所
モナコで持ち上げられるセルジオ・ペレスのレッドブルRB18。丸印は「アイススケート」の場所。

また、トンネル内には、少なくともふたつの異なる「ミニベンチュリ」がある。車高が変わるとディフューザーを形成し、気流を再活性化させるのだ。これはレッドブル独自のものではないが、レッドブルのアンダーフロアの効率性を高める、もうひとつの詳細部分である。

最後に、リアホイールの前でフロアが内側に向かって細くなり始めるところに「アイススケート」と呼ばれるものがある(上図)。規約では、リアホイール前方にフロアのミニウィングを設けることを認めているが、それがフロアより上でなければならないとは明記されていない。レッドブルはこれを、アンダーフロアに追加のストレーキ(金属製で傷つきにくい)を形成できると解釈し、トンネルの出口に向かってより積極的に空気を流すことができるようにした。

レッドブルのフロアは、他のマシンに比べ、見るからに複雑で洗練された設計である。ポーポイズ現象の影響を受けにくく、かつ優れたダウンフォースが得られるのは、おそらく偶然ではないだろう。

-Source: The Official Formula 1 Website


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