F1技術解説:レッドブルの2022年アップグレード、フェラーリが反撃を目指すスペインまでを時系列に解説

マーク・ヒューズが、重要なスペインGPを前に、レッドブルのレースごとのアップデートをジョルジオ・ピオラのイラストとともに紹介する。

今週末のバルセロナで予定されているフェラーリ初の大幅アップグレード・パッケージを前に、チーム代表のマッティア・ビノットは、レッドブルの開発ペースに懸念を抱いていると述べた。マイアミでは、ビノットは、レッドブルRB18がフェラーリF1-75に対して1周あたり約0.2秒のアドバンテージがあると推定した。

マイアミGP後、ビノットは「予算制限もあるので、ある段階でレッドブルが開発をやめると期待している」と述べた。

「レッドブルがどのように開発しているか理解できないと思うが、今後のレースでは、アップデートを導入することで、できるだけマシンを開発するのは我々の番だと言えるだろう…。レース毎にアップデートに使える資金はない… 我々は、シーズン開幕以来、開発していない」

確かにレッドブルは、バルセロナでのシーズン前テストに登場したときから、予算の制約があるにもかかわらず、絶え間ない開発の恩恵を受けてきた。フェラーリよりも誕生が遅かったのは、昨年のメルセデスとのチャンピオン争いにファクトリーのリソースが割かれた結果かもしれない。したがって、フェラーリよりも開発の初期段階で発表されたのは、理にかなっている。

フェラーリはレッドブルのゲインを無効にするようなアップグレードを期待しているが、ここではマックス・フェルスタッペンが完走した3戦すべてで優勝するほどRB18を強力なパッケージにした変更点をまとめてみる。


2022年F1ドライバーズ・ランキング

グランプリ2戦連続でレッドブルに敗れたフェラーリ、スペインGPではアップグレードして巻き返しを図る:2022年F1
グランプリ2戦連続でレッドブルに敗れたフェラーリ、スペインGPではアップグレードして巻き返しを図る。

プレシーズンテスト

バーレーンテストの2日目に、サイドポッドとフロアを全面的に変更するという、最大のアップグレードが行われた。

サイドポッドは、マシンの冷却システムの周囲に、よりタイトにパッケージされ、フロントのフロアの上面を露出させたので、アンダーカットをより漸進的に外側に膨らませることができるようになった。それに伴い、フロアの縁(エッジ)にも変更が加えられ、その縁に沿って、より強力な渦流を誘発する「カール」が新たに設けられた。

このアップデートでは、アンダーフロアの「スケート」(フロアがトラックに近づきすぎて、アンダーボディの気流が失速するのを防ぐために、フロア後方に設置された金属製の穴あき板)が初めて登場したと推測されている。

レッドブルは、公式プレシーズンテストで、従来のサイドポッド(下)とは異なる新しいサイドポッド(上)を搭載して注目を集めた:2022年F1
レッドブルは、公式プレシーズンテストで、従来のサイドポッド(下)とは異なる新しいサイドポッド(上)を搭載して注目を集めた。

ジェッダ

レッドブルは、サウジアラビアのトラックで要求される低ドラッグに対し、深さを浅くした下部ビーム・ウィングと、それに伴う新しい設計のリアウィング・エンドプレートのデザインを採用した。フェラーリは対照的に、フラップ部分の面積をわずかに縮小しただけで、標準のリア・ウイングを継続した。


F1技術解説:レッドブルとフェラーリ、ジェッダの挑戦に対して大きく異なる解決策
レッドブルがジェッダで使用した下部ビームウィング・フラップ(左)と、バーレーンで使用したもの(右矢印):2022年F1
レッドブルがジェッダで使用した下部ビームウィング・フラップ(左)と、バーレーンで使用したもの(右矢印)。

メルボルン

オーストラリアでは、レッドブルは新しいフロントウイングのエンドプレートを導入した。フロントの隅(コーナー)を斜めにカットし、外壁にS字型のダイブ・プレーンを新たに設置した。レッドブルは最低重量を10kg上回るとされる余分な重量を減らそうと努めており、この変更によって、気流の調整だけでなく、軽量化もされた。

オーストラリアに持ち込まれたレッドブルのS字型フロントウィング・エンドプレートと、斜めのエンドプレート(円内図)の比較:2022年F1
オーストラリアに持ち込まれたレッドブルのS字型フロントウィング・エンドプレートと、斜めのエンドプレート(円内図)の比較。

イモラ

イタリアのトラックでもレッドブルの開発は続いた。(以前と同じ構成だが、カーボン・レイアップが変更された)新しいフロアと、再設計されたブレーキ・キャリパーのおかげで、さらに軽量化された。

空力学的には、フロア前縁に、キール・スプリッタにフェラーリのようなウィングレットが追加された。これは、フロアのその部分に直接ダウンフォースを導くことに貢献するだろう。


F1技術解説:開発レースが始まる/レッドブルとメルセデスのイモラでのアップグレード
イモラでは、レッドブルのキールスプリッターの上にフェラーリのようなウィングレット(赤矢印)が導入された:2022年F1
イモラでは、レッドブルのキールスプリッターの上にフェラーリのようなウィングレット(赤矢印)が導入された。

マイアミ

マイアミでは、見た目には大きな変化はなかったが、さらに軽量化が進んだ。時間的制約のため、本来は塊として製造されていた部品の一部をくりぬいたのだ。

このように、レッドブルはこれまでのすべてのレースで、パフォーマンス・パーツをマシンに導入してきたが、フェラーリはほとんど変化がなかった。

開幕戦のバーレーンでは、レッドブルがリタイヤする前でも、シャルル・ルクレールがフェルスタッペンの挑戦を封じるほどフェラーリは速かった。マイアミまでにフェルスタッペンは予選のトラブルを乗り越え、ルクレールに追いつき、追い越し、引き離すことができた。最初のピットストップ直前、フェルスタッペンはフェラーリに対して8秒もの大差をつけていた。

今週末、フェラーリは大幅なアップデート・パッケージでパフォーマンスの方程式をリセットしたいと願う一方で、レッドブルの開発プログラムが予算の関係で勢いを失うことを期待している。

-Source: The Official Formula 1 Website

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