F1技術解説:カタールでのレッドブルの揺れるリアウィングはどうなっていたのか?

カタールでは、レッドブルの揺れるリア・ウィングが注目を集めた。マーク・ヒューズが、ジョルジオ・ピオラの技術イラストとともに、このウィングが、ストレートで見たところ奇妙な動きをする理由を考察する。

レッドブルはカタールGPで難しい週末を過ごした。マックス・フェルスタッペンはそのダメージを最小限に抑え、圧倒的な強さを誇るメルセデスのルイス・ハミルトンに次ぐ2位と最速ラップタイムを獲得した。F1初登場のこのサーキットにおける2台の決定的な違いは、コーナーの序盤でどれだけマシンを回転できるか、そしてそのことがタイヤの使い方にどのような影響を与えるか、ということだった。

全員にとっての制限要素は、左フロントタイヤであることがわかった。それがパフォーマンスのボトルネックであり、それをいかにうまく回避するかで、マシンのポテンシャルにアクセスできるかが決まった。

フロント制限のトラックではよくあるように、メルセデスの方がレッドブルよりもうまくこの問題を回避した。フェルスタッペンはマシンを「回転」させる(ステアリングに対してマシンの理想的な初期反応を実現し、フロントタイヤとリアタイヤの両方を最適なスリップアングル(スリップ角)で走らせること)に常に苦労していた。

2021年F1GP 154
レッドブルはフロント制限のロサイル・インターナショナル・サーキットで苦戦した。

メルセデスのフロントはレッドブルよりも大きな負荷をかけることができるが、レッドブルのリアはメルセデスよりも強いので、しばしばリアタイヤをうまく扱うことができる。

土曜日のFP3と、夕方の予選の間に、大きなリアウィングに変更せざるを得なくなったことで、レッドブルのバランスの問題はさらに悪化した。オースティンやブラジルと同様、レッドブルの標準的なリアウィングは、DRS使用中にフラップが揺れるという問題があった。

DRSは、油圧式のアクチュエータによって制御されている。このアクチュエータは、ウィングフラップにかかる空気圧に抗して、フラップを後縁のポイントを中心に回転させる(そのため、故障した場合は、デフォルトで閉位置に戻る)。

これにより隙間が開き、ドラッグを低減させ、直線スピードを増加させる。この圧力は速度に比例するので、ストレートの終わりにおけるマシンの最高速度では、アクチュエータは、隙間を開いたままにするため、非常に大きな力に対抗している。


フェルスタッペンのリアウィングが揺れている:2021年カタールGP FP3
<この動画は外に飛びます>
レッドブルはフリー走行中に何度もリアウィングを修正していた:2021年F1カタールGP
レッドブルはフリー走行中に何度もリアウィングを修正していた。

限界力に達すると、レッドブルのフラップは自励振動を起こすように見える。つまり、アクチュエータが隙間を安定させることができないことによって生じた非常に大きく変動する力が、共振を増幅させるのだ。

オースティンやインテルラゴスのようにバンピーなトラックでは、おそらく、取り付けが弱くなり(両会場で修復が行われた)、振動が始まる臨界周波数の両方によって、この問題が発生したのだろう。

カタールは特にバンピーではなかったが、フロントタイヤを悩ませた縁石が、今回も取り付けが弱くなる一因になったのかもしれない。

レッドブルは、軽量化とウィング構造自体のタイトな輪郭のため、非常に細いアクチュエータを使っている(下図)。

レッドブル・ホンダRB16Bのリアウィングにある細いDRSアクチュエータ
レッドブル・ホンダRB16Bのリアウィングにある細いDRSアクチュエータ

彼らにはふたつの選択肢がある。DRSアクチュエータは、昨年、コスト削減のために発行された承認パーツリストに掲載されている。新しい設計のDRSアクチュエータは、開発トークンを使用しなければならない。レッドブルは、認められているふたつのトークンを、新しいギアボックスに使うことを選んだ。

したがって、新しいアクチュエータを設計することは不可能である。カタールの金曜日、問題が発生したとき、チームは土曜日に向けて、下図に示すように取り付けポイントを強化した。しかし、週末の残りに大きなウィングを選んだことで、この解決策は無意味になった。



カタールの金曜日におけるレッドブルのDRS配置。赤い矢印が取り付けポイントを示す
カタールの金曜日におけるレッドブルのDRS配置。赤い矢印が取り付けポイントを示す。
レッドブルはFP3のためにDRS取り付けポイントを強化した
レッドブルはFP3のためにDRS取り付けポイントを強化した。

ウィングは同じのように見えるし、アクチュエータも変わっていないのに、揺れるフラップ問題が、シーズン序盤ではなく残り数戦になって発生した理由は不明である。

チームは、高速走行時にはドラッグを減らし、ダウンフォースが必要な低速時には剛性を維持するために、ウィングに柔軟性を導入する方法を、永遠に探し求めるものだ。

ウィングは、シーズン序盤に使ってたものと同じ構造かもしれないが、求められる挙動を実現するために、カーボンファイバーの積層が異なっているのかもしれない。もしそうなら、短期間でのトリプルヘッダーでは、ウイング構造の仕様が変更されてトラックに持ち込まれる時間はないだろう。

-Source: The Official Formula 1 Website
レッドブル・ホンダRB16B技術解説 関連記事