ハミルトンのシルバーストン優勝に貢献したメルセデスの2021年最後の大規模アップグレード:F1技術解説

2021年イギリスGPでは、ルイス・ハミルトンがシルバーストンでの8回目のF1優勝を果たし、マックス・フェルスタッペンとのタイトル争いでの劣勢をいくらか回復したが、マーク・ヒューズが、このグランプリにメルセデスが持ち込んだアップグレードを検証する。

メルセデスは数戦前に2021年の風洞プログラムを終了し、2022年マシンの開発専用とした。しかし、その限られた21年風洞プログラムの最後のひとつが、イギリスGPに間に合うよう製造されマシンに搭載された。

それは、フロアのフロント・コーナー周囲のバージボードの全面的な見直し、フロア端の再構築、デフレクターの角度変更だった。

メルセデスW12のオーストリア(上)とシルバーストン(下)におけるメルセデスのバージボードを示すジョルジオ・ピオラのイラスト
メルセデスW12のオーストリア(上)とシルバーストン(下)におけるメルセデスのバージボードを示すジョルジオ・ピオラのイラスト。

ベーンと格子構造の正確な形状変化を図に示しているが、重要なのは、それらが何を達成しようとしているかである。これらは、アンダーフロア気流と、サイドポッドを回ってディフューザーから出ていき最終的にアンダーフロア気流と出会う気流の間で、重点がやや移ったことを示している。

マシンに当たる空気の量には限りがあるので、エアロダイナミシストは、フロア下とフロア周囲に導く空気量の最も効率的なトレードオフに取り組んでいる。

メルセデスは、フロアのフロント・コーナーから空気を引き出し、そこの圧力を下げて、フロア全体を活性化させようとしているように見える。特に、引き出された空気が、サイドポッド周囲の気流に効果的に合流すれば、ディフューザーを出ていく気流と出会うときにもっとエネルギーを与えることができるだろう。

メルセデスのアンダーフロアは、高傾斜角(ハイレーキ)のマシンに比べると比較的角度が浅いので、マシンを地面に吸いつける力が限られている。この最新の変更は、その効果をできるだけ相殺しようとしている。

メルセデスW12のシルバーストンにおけるサイドポッドとバージボードの配置を示す
メルセデスW12のシルバーストンにおけるサイドポッドとバージボードの配置を示す写真

サーキットのレイアウトが、オーストリアとは全く違っているので、これがどの程度有効だったのかは、判断するのが難しい。メルセデスはシルバーストンの予選で最も速かったが、それは、週末で最も温度の低いコンディションで予選が行われたことが大きく影響しているのかもしれない。予選では、レッドブルのフロント・タイヤは、最適温度に素早く達することができなかった。

レッドブルのタイヤ問題を解消するのに十分な高いトラック温度で行われた他のセッションでは、レッドブル・ホンダRB16Bの方が速そうに見えた。

シルバーストンで使用されたメルセデスW12とレッドブル・ホンダRB16Bのリア・ウィング比較
シルバーストンで使用されたメルセデスW12とレッドブル・ホンダRB16Bのリア・ウィング比較

しかし、最新の変更は、リア・ウィングのレベルを比較的低くするというメルセデスの判断に、一役買ったことは間違いないだろう。オーストリアでは、レッドブルよりもウィングが大きかった。

メルセデスはシルバーストンではウィングを減らした(上図)。これは、全く違うトラックにおける、全く違う2台のマシンの最適ドラッグ/ダウンフォースのトレードオフの違いを反映しただけなのだろうか? それとも、メルセデスは最新の変更によって、マシンをより効率的に走らせることができるようになったのだろうか?

全体像は、今後のレースで明らかになるだろう。しかし、メルセデスが「2021年最後の開発」のおかげで、少なくともいくばくかの成果が得られたことは明らかである。

-Source: The Official Formula 1 Website
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