アストンマーティンが中団争いに戻るためにAMR21をどのように開発しているか:F1技術解説

アストンマーティンがワークスチームとしてF1に復帰してから4戦が終わったが、その取り組みの結果はわずか5ポイントに留まっている。しかしマーク・ヒューズとジョルジオ・ピオラが説明するように、チームは順位を上げるための努力において、技術面ではあらゆる手を尽くしている…

アストンマーティンはスペインで無得点であり、マシンはグリッドのQ2 / Q3付近をうろついているが、2021年の規約変更によって生じた損失を取り戻すための膨大な取り組みがある。おそらくレッドブルを除けば、彼らのマシンは開幕戦から最も大きなアップデートされたマシンである。

イモラで導入された、新しいサイドポッドとエンジンカバー、そしてポルティマンで登場した新しいフロア、ディフューザー、ベーンの組み合わせは、1周当たり0.5秒の短縮に相当する。しかしアルピーヌ、マクラーレン、フェラーリもこの間にパフォーマンスを見出しているので、アストンマーティンの順位は比較的動いていない。

セバスチャン・ベッテル(アストンマーティンAMR21)
ベッテルはスペインでアップグレードを受けた。

取り組みの対象となっている不足の核心は、特にこのような低傾斜角のマシンでは、規約変更によってディフューザーへの気流が弱められていることである。

規約によって、リアブレーキ・ダクトの上にあるウィングレットの幅が短くなり、ディフューザーの外側ストレーキの長さが半分になったので、リアホイール内側の気流をフロア下に吸い込ませて、そこの気流を妨害し、ダウンフォースを低下させるのが特に難しくなる。

ブレーキダクトのウィングレットから来た気流をディフューザーのストレーキに合流させるのは、気流が側方に吸い込まれるのを防ぐのに有用である。ストレーキのサイズを縮小すると、気流を合流させるのが難しくなる。これは特に低傾斜角のマシンにおいて当てはまる。高傾斜角のマシンでは、(ディフューザーも含め)フロアが高い位置でブレーキ・ダクトと合流しているからである。

アストンマーティンは、ふたつの面からこの問題に対応しようとしている。第一に、改良されたエンジンカバーとサイドポッドである。サイドポッドは以前ほど急な傾斜ではなく、フロアとの合流点が後方に延長されたので、マシンの重要な後方4分の1という違う場所に収束している。これは、リアホイールの内側とブレーキダクトに対して、気流をより協調的に整えるためである。

バーレーンにおけるアストンマーティンAMR21のサイドポッド
バーレーンにおけるアストンマーティンAMR21のサイドポッド
アストンマーティンAMR21:スペインでストロールとベッテルが使用したサイドポッド。傾斜がかなり緩やかになった。
スペインでストロールとベッテルが使用したサイドポッド。傾斜がかなり緩やかになった。

マシンのこの部分に到達する気流の角度を変え、ディフューザー外側のストレーキの形状を変えるのは、短くなる前は可能だった、ブレーキダクトのウィングレットとディフューザーストレーキの間で合流する気流を再現しようとする試みだろう。

第二に、フロアを密封し、この気流が重要な場所で下に吸い込まれるのを防ごうとすることが、これまで以上に重要になった。チームは明らかに、ここに大きく注目している。メルセデスと同様、アストンマーティンは、ほぼ普遍的になったZフロアを採用した。

フロアを密封するのに役立つ渦流を作り出すため、フロアの外縁がZ字型に切り取られているので、Zの後方の縁の長さが直線のままで、フロアの中央段差部分に平行になるので、密封するのが容易になる。

アストンマーティンAMR21:アストンマーティンとメルセデスは、今やほぼ標準となったZフロアを開幕時から使用していた
アストンマーティンとメルセデスは、今やほぼ標準となったZフロアを開幕時から使用していた。

アストンマーティンは、継続的にこのフロア縁(フロアエッジ)を開発しており、バーレーンの開幕戦では、Zの前縁に余分の切り欠きがあった。そしてポルトガルではランス・ストロール、スペインではセバスチャン・ベッテルのマシンに、アップグレードの一環として、Zの前に3つ目の切り欠きがあるさらなる強化バージョンが導入された。

一連の切り欠きは、Zに向かう気流を準備を整え、渦流の強さを高めるのだろう。アンダーフロア内で発生する陰圧が大きくなればなるほど、フロアの密封を保つために渦流を強くする必要がある。

スペインGP後にチームは大量のデータを分析するが、今後のレースでアストンマーティンがハードワークによって順位を上げることができるのかどうかわかるだろう。

-Source: The Official Formula 1 Website
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