
2021年の空力学的規約変更は、レッドブルのような高傾斜角の設計理念を採用しているチームよりも、メルセデスのような低傾斜角の設計理念を採用しているチームに悪影響を与えているように見える。しかし、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフによると、今シーズン、彼のチームの設計理念をレッドブルの理念に近づけるだけでは、シルバーアローの問題の解決策にはならないという。
マシンの傾斜角(フロントからリアに向かうフロアの角度)は、チームの設計理念における重要な側面である。メルセデスは伝統的に、マシンの空力学的効率が高い低傾斜角の設計を好んできた。一方レッドブルのアプローチは、攻撃的な高傾斜角を利用して、アンダーボディのダウンフォースを高めている。これは、最高技術責任者エイドリアン・ニューウィが、1990年代のウィリアムズ時代からのお気に入りの設計理念である。

黄色のマーカーにより、高傾斜角のレッドブル・ホンダRB16Bと低傾斜角のメルセデスW12の違いが識別できる。
シーズン開幕戦のバーレーンでは、ハミルトンとメルセデスが優勝したが、2021年の始まりはレッドブルが有力チームのように見える。しかしトト・ヴォルフは、メルセデスがレッドブルのアプローチをコピーするのは不可能だと述べた。
トト・ヴォルフは「まず第一に、傾斜角だけが我々が苦戦している唯一の影響ではないと思う」と述べた。
「2021年に使っているこのタイヤ(も要因だ)。我々の分析から、高傾斜角の理念は、低傾斜角よりもダウンフォースの低下が少ないことが示されている。昨年の規約では、レッドブルや他のチームが採用しているそのコンセプトを再現することができなかった」

レッドブルは今季メルセデスより速そうだ。
「物理的に不可能だ。我々のサスペンションとセッティングを、レッドブルのように走らせることはできなかった。だからそこから最大限引き出し、使えるものに対してマシン調整する必要があった」
「失われたダウンフォースの一部を取り戻すのはおそらくもっと難しいだろう。しかしこれまでのところ、わたしが見る限り(レッドブルとは)本当に厳しい戦いになるだろう」
一方、メルセデスのドライバー、ルイス・ハミルトンは、昨年彼とチームがチャンピオンシップで七連覇を達成したあと、意図的にメルセデスを遅くするための規約変更だと公言していた。
今年、八連覇を目指すハミルトンは、「もちろん(規約変更は)僕らを押しとどめるためだった」
「もちろん、僕らも同じようにエンジンを変更したが、それは構わない。僕らはチャレンジが大好きだ。こういったことを見下したりしない。最善を尽くすために頑張るだけだ。それが僕らの仕事だ」
-Source: The Official Formula 1 Website
2021年03月19日
2021年の規約変更により、メルセデスからレッドブルにアドバンテージは移ったのか? - 1:F1技術解説
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