
土曜夜の大雨の後、マイアミGPでは雨が降る可能性が高かった。結局、雨は降らなかったが、マーク・ヒューズが説明するように、レース当日の天候は、特にメルセデスとレッドブルのドライバーにとって重要な要素であった…。このマイアミでのレースをマーク・ヒューズが解説する。
メルセデスW14はマイアミでの予選で、今シーズンこれまでで最も競争力が低く、フェラーリやアロンソのアストンマーティンから大きく引き離されたが、メルセデスの戦略チームは、レース当日にはこれらのチームに対して優位に立てるかもしれないと考えていた。
計画は、割り当てられたハードタイヤの両セットを温存することに基づいており、フリー走行ではどちらのマシンでもそれらを使用することを避けた。これは明らかに、メルセデスは大半のチームのように、標準的な1ストップレースになるとは思っていなかったことを意味する。
彼らがそう考えたのは、フリー走行でミディアムタイヤがとてもひどかったからだった。再舗装されたばかりのトラック、そして異常に高い温度のおかげで、フロントタイヤは、数周走っただけでボロボロになり、トレッドがひどく裂けたのだ。
ミディアムタイヤは、新しい路面では必要な接着力がなく、グリップするのではなく横滑りしてタイヤ自体が引き裂かれていた。

マイアミではラッセルとハミルトンは違う作戦で走った。
ソフトはさらにひどく、レース用タイヤとしては使えないとされていた。ミディアムは10周も持たず、57周のレースを最短で走るには、ミディアム1回、ハード2回のスティントで走るというのがメルセデスの予想だった。もし、そのような展開になれば、メルセデスはアストンマーティンやフェラーリに対して戦略的に優位に立つことができただろう。
しかし、フリー走行は42~49℃のトラックで行われていた。曇天の日曜日、路面温度は36℃まで下がった。これにより、タイヤの状況が一変した。突然メルセデスはミディアムタイヤの問題が解消した。
タイヤはややデリケートで、まだ右フロントがグレイニングしやすかったが、2ストップ作戦にするほどではなかった。フェルナンド・アロンソのアストンマーティンは、ミディアムのセットで25周走った。17周目にはジョージ・ラッセルがピットインしたが、これはカルロス・サインツのフェラーリをアンダーカットするための試みだった。ルイス・ハミルトンはハードでスタートし、37周後にミディアムに交換した。
非常に異なるトラック・コンディションのため、レースを先導するセルジオ・ペレスは、ミディアムタイヤがグレイニングを起こしたので、ペースを制御しなければならなかった。チームメイトのマックス・フェルスタッペンは、ハードタイヤで9番グリッドからスタートしたが、長く速く走ることができた。フェルスタッペンはペレスに追いつき、追い越すことができ、ワールドチャンピオンシップのリードを拡大することができたのは、この戦略的アドバンテージが要因だった。

フェルスタッペンは、ハードでスタートした後、よりよい作戦であることがわかり、それを自分のアドバンテージとした。
しかし、これはメルセデスには関係のないことで、彼らとのペース差は大きかった。メルセデスはフェラーリよりもタイヤ劣化が優れており、ラッセルがサインツを抜いて4位、終盤にハミルトンがルクレールを抜いて6位になった。
ハミルトンは、長い第1スティントの約半分を中団のDRSトレインに巻き込まれたにもかかわらず、ハードからスタートするというフェルスタッペンのような作戦が結果的に功を奏した。彼の作戦は、先にピットストップを行なったラッセルの作戦と重なっため、彼を先に行かせるよう求められた。
そのおかげで、ラッセルは最終的にサインツに追いついたが、フェラーリに追いつく前にエステバン・オコンのアルピーヌを抜かなければならなかった。オコンはこのバトルの防御で遅れ、その後ハミルトンに対して弱くなった。これがなければハミルトンは最後までガスリーやルクレールに追いつくことができなかったかもしれない。
そのためメルセデスにとってレース日は予選よりもよかった。ただしそれは彼らが予想していた理由ではなかった。
-Source: The Official Formula 1 Website