F1レース解説:ダニエル・リカルドがメキシコで本調子を取り戻した狡猾な戦略 - 2022年F1メキシコGP

メキシコGPでマクラーレンのダニエル・リチャルドは見事な走りを見せ、7位入賞を果たし、2022年の低迷期を脱した。7位というのは、いつものトップ3チームに次ぐトップ入賞であり、彼の絶頂期を思い出させた。このメキシコシティでのレースをマーク・ヒューズが解説する。

最初のミディアムタイヤで長く走ったため、短い第2スティントでソフトタイヤを使うことができ、その余分なグリップを利用して、ヴァルテリ・ボタスのアルファロメオ、チームメイトのランド・ノリス、そしてフェルナンド・アロンソとエステバン・オコンのアルピーヌ2台を次々と抜くことができた。タイヤ温存、ペース、手ごわい終盤のアタックの組み合わせは、レッドブル時代の彼の最高の走りを彷彿とさせた。

しかしこれは、戦略ゲームの展開によってもかなり助けられた。

レース前、このレースで最も速いのは1ストップなのか2ストップなのか、誰も確信がなかった。路面温度やグリップの変動が激しいこのトラックで、タイヤの劣化がどれほどひどいかにすべてがかかっていた。レースは暑い最中に始まったが、気温はすぐに下がり、ソフトタイヤとミディアムタイヤはかなりよく機能した。劣化率は比較的少なかったため、1ストップが一番速い方法になった。

リチャルドが2ストップ作戦を採用していればピットストップのタイミングで、大半のマシンとの差をこれほど埋め合わせることはできなかっただろう。

ダニエル・リカルドがチームメイトより上位でフィニッシュしたのは、メキシコで3回目:2022年F1
リチャルドがチームメイトより上位でフィニッシュしたのは、メキシコで3回目。

彼はグリッド11番から、序盤は13位を走り、アルファロメオの周冠宇とアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルに挟まれていた。しかし、彼はアルファロメオよりもペースがよく、11周目にDRSを使って周を抜き、そのまま後続を引き離した。レースのこの段階で、彼はブレーキをもたせるために(誰もがしなければならなかったように)定期的にクルージングしながら、ペースとタイヤの使い方の組み合わせに優れていた。そして、すぐに周を4秒以上引き離し、その後も徐々にその差を広げていった。

つまり、リチャルドは後方からのアンダーカットの脅威にさらされることなく、可能な限り長く走ることができた。長く走れば走るほど、より遅いハードタイヤではなく、ソフトタイヤに交換できる可能性が高まる。気温が下がったことで、ソフトの競争力は上がり、ハードの競争力は下がった。しかし、ソフトの走行可能距離は30周程度。つまり、第2スティントでハードを回避するためには、スタート時のタイヤで40周程度走る必要があった。

リチャルドは、そのタスクを理解して実行に移した。

対照的に、何番か先では、チームメイトのランド・ノリスがピエール・ガスリーのアルファタウリと激しいバトルを繰り広げていた。マクラーレンは、アルファタウリのアンダーカットを阻止するため、ノリスをピットインさせた。これは31周目のことで、まだ40周残っていた。

角田裕毅とダニエル・リカルドの接触、角田のタイヤが乗り上げた:2022年F1メキシコGP

角田とリチャルドの接触、角田のタイヤが乗り上げた:2022年F1メキシコGP
リチャルドとの衝突後、角田はレースをリタイヤした。

そのため、ノリスは第2スティントでハードを使うことになった。リチャルドは彼より14周後にピットストップすることができ、ノリスよりもふたつ後ろで合流したが、彼よりもかなり速いタイヤに交換した。新しいだけではなく、コンパウンドふたつ分軟らかいタイヤだった。ふたりの間には、古いタイヤを履く角田裕毅のアルファタウリが走っていた。

リチャルドのすぐ前には、彼より硬くて古いタイヤを履いた5台のマシンが密集していたので、彼にとって完璧だった。リチャルドの新しいソフトとノリスの古いハードのパフォーマンス差は、1周あたり1秒以上あった。

リチャルドはすぐに角田に追いつき、52周目のターン6で角田のインサイドに飛び込んだ。角田は、マクラーレンがそこにくるとは思わず、ターンインしたので、両者のホイールが絡み、角田はサスペンションを破損してリタイアした。リチャルドにとって幸運だったのは、マクラーレンがダメージを受けなかったことだった。しかし、このインシデントで10秒ペナルティを受けることになった。

その直後、彼はルイス・ハミルトンとセルジオ・ペレスに周回遅れにされた。ペレスはリチャドのソフトより22周も前のミディアムタイヤを履いていたため、リチャルドは彼についていくことができた。そのため、時おりDRSを使ってノリスに近づいていった。ノリスはチームの指示で減速し、リチャルドはボタスとアルピーヌ2台を追いかけることができた。

したがって、リチャルドはアンダーカットのプレッシャーがないことによる妥協のない戦略で、戦略的に妥協したチームメイトの前に出たのだ。しかし、リチャルドはそこで終わらなかった。残り15周での目標は、アルファロメオと2台のアルピーヌを追い越し、さらに10秒以上の差をつけることだった。

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マクラーレンでの最後の2戦に向かうオージーにとって、メキシコは自信回復となったはずだ。

古いタイヤを履いていたボタスは簡単に標的にされ、リチャルドはストレートの終わりでDRSの助けを借りてアルファロメオを抜き去った。突然のパワー損失に見舞われたアロンソは、オコンとリチャルドの餌食になり、ピットストレートで一度に抜かれた。当初の5台のグループで、抜くべき相手はオコンだけになった。リチャルドは次の周でDRSを使ってオコンをオーバーテイクし、残る9周で古いタイヤのアルピーヌに14秒差をつけた。

レース後ノリスは「ハードタイヤで裕毅をカバーするのが少し早すぎた。ダニエルはラッキーな位置にいて、そのまま走り続け、好きなことができた。モンツァなど他のレースでは、僕がその立場だった。もしどちらかがその立場にいたら、というプランは最初からあったし、今回はダニエルだった」と淡々とコメントした。

レース後、リチャルドはこのシナリオがレース前に検討されていたことを認めた。

「そういうプランがあった。もし僕らがグループの一番後ろだったら、特に誰かが早目にピットインすれば、チャンスがあるかもしれないというプランが。ミディアムですごく速いというわけではなかったが、タイヤの劣化は良かったし、長く走れる自信はあった。確かにそれについて話していた」

ダニエル・リチャルド本来の輝きを見ることができたのは素晴らしかった。

-Source: The Official Formula 1 Website




2022年F1メキシコGPコラムとチーム分析