F1レース解説:フェルスタッペンの優勝はペースと巧みなタイヤ管理も重要な要素だった - アメリカGP

サーキット・オブ・ジ・アメリカズにおけるマックス・フェルスタッペンの優勝は、戦略よりもむしろペースに基づくものだった。レース中盤2回目のピットストップでホイールガンに不具合が生じ、ルイス・ハミルトンやシャルル・ルクレールに順位を奪われたが、最終的に彼のパフォーマンスによってそれを乗り越えた。このオースティンでのレースをマーク・ヒューズが解説する。 

しかし、ピットレーンでの遅れが出る前から、フェルスタッペンはハミルトンのメルセデスから大きなプレッシャーを受けていた。2度目のセーフティカー出動後、2回目のピットストップのウィンドウが開かれた。セーフティカー出動前、フェルスタッペンはメルセデスに5秒差をつけていた。セーフティカーが導入されたことで、フェルスタッペンはその差を縮められただけでなく、(完全な作動温度に達する前に、あまりに負荷をかけすぎると一般的にタイヤ寿命が大きく低下するため)リスタート時にタイヤをどこまで酷使するかという難しいジレンマに直面することになった。

セーフティカーの速度では、タイヤのゴムの温度がかなり低下するので、かなり緩やかに温度を上げる必要がある。フェルスタッペンのリスタート時の課題は、DRSは2周後に使用可能になるので、ハミルトンのDRS範囲から抜け出すことだった。彼はそこで間違った。しかし彼はその後、それを修正するだけのパフォーマンスがあった。

フェルスタッペンの勝利は巧みなタイヤ管理に基づいていた:2022年F1アメリカGP
フェルスタッペンの勝利は、巧みなタイヤ管理に基づいていた。

2台とも、1回目のピットストップでハードコンパウンドのタイヤに交換し、2回目のリスタートではハミルトンが14周、フェルスタッペンが13周走行済みだったが、セーフティカー先導中の8周が含まれていた。フェルスタッペンは全力で攻め、リスタートの終わりには1.5秒の差をつけた。

ハミルトンにとって、リスタートでの課題は異なっていた。一旦引き離されると、すぐに飛びかかるチャンスはなかった。その代わり、彼はタイヤを優しく使うことに集中した。先行マシンにぴったりと張り付くように走りながら、それをするのはさらに難しい。

そのため、ハミルトンはもう1台のレッドブル、セルジオ・ペレスの前で安全な距離を保つに十分なだけ後退した。数周後、フェルスタッペンがハードコンパウンドのC2タイヤに苦戦し始めたので、ハミルトンはその見返りを得ることになる。クリスチャン・ホーナーも「我々はハードよりもミディアムの方が競争力があったかもしれない」と認めた。

ハミルトンは、2秒あった差を1.5秒まで縮め、34周目の終わりにはメルセデスがアンダーカットを試みるほど近づいた。レッドブルはこれに反応し、1周後にフェルスタッペンをピットインさせたが、ハミルトンが前に出るかどうかはギリギリ。しかし、レッドブルがホイールガンに手間取ったため、その結果はわからずじまいだった。

フェルスタッペンはハミルトンを楽々と追い越し、ミディアムタイヤが最終スティントにおいて正しいコンパウンドであることがわかった:2022年F1アメリカGP
フェルスタッペンはハミルトンを楽々と追い越し、ミディアムタイヤが最終スティントにおいて正しいコンパウンドであることがわかった。

フェルスタッペンが9秒のロスをしたことで、ハミルトンが先頭に立った。ハミルトンのハードに対し、ミディアムを使うフェルスタッペンは、新しいタイヤで激しく攻めすぎないことが重要だった。ホーナーは「我慢比べだった」と説明した。「マックスはピットレーンを出るとすぐに苛立ちをコントロールし、タイヤを過熱することなく、作動温度まで上げてシャルルを追い越し、ルイスを追い詰めた。そしてひとつのチャンスが決定的となり、仕事をやり遂げた」

フェルスタッペンは、このチャレンジを次のように説明した。「高速コーナーで後ろにいると、常に少し多く回らなければならないので、タイヤにとってはあまりよくない。でも、クリーンエアのなかでは自動的にタイヤが少し冷える」

このときのフェルスタッペンは、タイヤの適切な準備によって初めてレッドブルの高いパフォーマンスを表現することができた。特に重要なのは、レッドブルのストレートラインのアドバンテージだった。「DRSを使えば、彼らは僕らより時速35km速い」とハミルトンは説明した。「でも、僕らが彼らの後ろにいてDRSが使えたとして、バックストレートではDRSを使っても時速22kmしか速くならない。だから(彼が僕を抜いたとき)彼はずっと後ろから来た。でも、DRSがなくても、彼らは僕らより時速8kmほど速いと思う」

「僕らは現実的になる必要があると思う。レッドブルのマシンは、1年を通して圧倒的に速かった。そして今でも一番速いマシンだ。だから今日の僕らは… 多くのレースを通じて、信頼性のおかげで今の順位になった。たとえば、シャルルやペレスがいれば、また違ったレースになっていただろう。なぜなら彼らの方が僕らよりも上位で、僕らはグリッド3列目にいたはずだからだ。だから、今日は3番からスタートし、優勝争いができる順位を走れたのは素晴らしかった。しかし、本当のペースでは、週末中彼らの方が僕らよりも上だった」

-Source: The Official Formula 1 Website