F1レース解説:オーストリアGPでフェラーリがレッドブルを逆転した謎を解く

シャルル・ルクレールは、ポール・シッターのマックス・フェルスタッペンに追いつき追い抜き、オーストラリアGP以来の優勝を果たした。この日、フェラーリはリアタイヤの劣化が大きく改善されたが、レッドブルはその理由をまだ理解していない。このシュピールベルクでのレースをマーク・ヒューズが解説する。

ルクレールは3周目あたりからフェルスタッペンを激しく追い上げ、最終的にフェルスタッペンはターン3を抜けるために必要なトラクションが足りず、ターン4で順位を守ることができなかった。ルクレールは簡単にオーバーテイクし、フェルスタッペンはその1周後に最初のピットストップを行なった。ルクレールは、それほど離れていないチームメイトのカルロス・サインツのバックアップを受けて12周を走った後、ピットインする必要に迫られた。

フェラーリはレッドブルの2ストップ作戦に対応するべく切り替えたが、タイヤ交換のタイミングをかなり遅らせたことで、よりよいスティント間隔を確保することができた。タイヤの使い方のため、レッドブルはそれができなかった。

フェルスタッペンが12周分新しいタイヤで走ったとき(フェルスタッペンの1回目のピットストップとルクレールのピットストップの間)のルクレールに対するペースの優位性と、ルクレールが12周分新しいタイヤで走ったとき(ルクレールの最初のピットストップとフェルスタッペンの2回目のピットストップの間)のフェルスタッペンに対する優位性を比較すると、フェルスタッペンの問題の大きさが分かるだろう。

フェルスタッペンが12周新しいタイヤを履いた時
フェルスタッペンが12周新しいタイヤを履いた時:2022年F1オーストリアGP

見てわかるように、古いタイヤでのルクレールに対する、フェルスタッペンの新しいタイヤのアドバンテージは0.59秒に過ぎない。しかし、フェルスタッペンに対するルクレールの新しいタイヤのアドバンテージは、1.34秒である。前者の比較ではルクレールがミディアム、フェルスタッペンがハードであるのに対し、後者の比較では両者がハード・コンパウンドであるため、厳密には同列ではない。

ルクレールが12周新しいタイヤを履いた時
ルクレールが12周新しいタイヤを履いた時:2022年F1オーストリアGP

この日のミディアムはハードよりも速かったが、フェルスタッペンの摩耗率の高さから、長く使い続けることができなかった。勝利をもたらしたアドバンテージの絶対的な基盤は、ルクレールがフェルスタッペンの2倍近い時間、最初のミディアム・タイヤを使い続けることができたことだった。

クリスチャン・ホーナーは「昨日のスプリント・レースでは、最初はやや激しく攻め、終盤は少し控えていたが、スティント全体でのタイヤ劣化は、我々の分析によると、フェラーリと同じだった」と述べた。

ルクレールの勝利がタイトル争いを盛り上げる:2022年F1オーストリアGP
ルクレールの勝利がタイトル争いを盛り上げる

「一晩で変わったのは、雨と気温と燃料搭載量だけだ。だから、最初のスティントでなぜ我々のタイヤ劣化がシャルルやカルロスよりかなり悪かったのかを理解する必要がある。あの順位になると、すぐに2ストップ作戦に切り替えた。でも、彼らには十分なペースがあったから、2ストップでカバーすることができた」

それは、熱劣化と摩耗というふたつのタイヤ劣化メカニズムが、土曜日と日曜日の異なるコンディションで、相対的に重要度が変化したことが大きいだろう。熱劣化とは、タイヤが熱で飽和状態になり、構造的に荷重を支えきれなくなることである。土曜日はこれが主なタイヤ劣化メカニズムだった。

しかし日曜日はトラック温度が下がり、路面へのゴムの堆積が少なくなったため、摩耗が支配的な劣化メカニズムになった。この変化の中に、レッドブルが失った速さの秘密があるのかもしれない。

-Source: The Official Formula 1 Website



2022年F1オーストリアGPコラムとチーム分析