F1レース解説:ルクレールはリタイヤがなければバクーで優勝したのだろうか?

レース開始からわずか20周でフェラーリのシャルル・ルクレールがパワーユニットをブローさせるという展開になったため、9周目のバーチャル・セーフティカー中にレッドブルがピットインしてタイヤ交換をしなかったことは問題にならなかった。しかし、ルクレールのマシンが壊れなければ、これが大きな意味を持ち、もしかしたらレッドブルがレースで負けていたかもしれない。レッドブルが、完全なレーシング・コンディションにおけるピットストップに対し10秒短縮できる機会を活用せず、走り続けた理由は何だったのだろうか? このバクーでのレースをマーク・ヒューズが解説する。

バーチャル・セーフティカー(VSC)は、カルロス・サインツの壊れたフェラーリのためだった。車列の前半分は、1ストップ・レースになるはずだったので、ミディアム・タイヤでスタートしていた。9周目は、ハード・タイヤに交換するのに十分なタイミングで、最後まで余裕で走ることができただろう。しかし、理想よりは早かった。VSCがなければ、理論的にふたつのタイヤのパフォーマンスに基づいた最速の作戦は、20周ごろにピットインすることだった。マックス・フェルスタッペンはまさにそのあたり(18周目の終わり)でピットインした。

VSCにピットインすることは、全マシンにとって少ないタイムロスとトラック順位につながる。これは明らかに、理論上の理想的な最速タイムよりも重要になる。

スタート直後からレースの首位に立ったセルジオ・ペレスは、ルクレールとフェルスタッペンの前を走っており、VSCのタイミングでは不運だった。彼が時速200マイル(321km)以上でピット進入口とほぼ並びかけたところで、VSCが発動した。彼のエンジニアは即座に反応し、切羽詰まってペレスに「ボックス、ボックス」と指示した。しかしペレスがピットインするには約1秒遅かった。理想を言えば、レッドブルはペレスをピットインさせていたはずだ。

ルクレールはレースをリードしていたが、エンジンが故障してしまった:2022年F1アゼルバイジャンGP
ルクレールはレースをリードしていたが、エンジンが故障してしまった。

ペレスはもっと準備ができていたのではないだろうか? おそらくそうだろう。サインツが、(もちろんペレスより後ろで)マシンを脇に止めたことについて、つまりVSCの可能性について、無線通信はなかった。この周回で、ペレスと彼のエンジニアは、悪化するトラクションの対処法を議論していた。今にして思えば、VSCの可能性に焦点を合わせる必要があった。彼は、この時点でルクレールに対して十分な差をつけており、警告を受けていれば、ピットインの選択肢を残しておくために、やや減速することができただろう。

対照的に、ルクレールは、トラックサイドとコックピットのVSCライトが点灯するとすぐに、ピット進入レーンに向かった。彼のエンジニアがそうするよう指示をしていたが、彼はすでにピットに戻りつつあった。

フェルスタッペンは、ストレートエンドでのスピードが速くても、さらにDRSの助けを借りても、最初の8周はルクレールを抜く方法を見つけることができなかった。3位の彼が、この時点でルクレールと同じことをするのは無意味だった。

彼は、ルクレールの後ろに留まり、タイヤのオフセットがないため、最初の8周と同じ問題に直面したことだろう。走り続けて、ルクレールが抜けたのでクリアなトラックの恩恵を受け、いつも通りの長さのスティントを走る方がよかった。そうすれば、彼がピットストップしたあとは、ルクレールよりも新しいタイヤを使うことになり、それを利用して抜くことができるかもしれない。したがって、彼はルクレールと反対のことをするよう指示を受けた。フェラーリがピットインするのを見て、フェルスタッペンは走り続けた。

ルクレールのリタイア後、レッドブルにとって比較的簡単なレースだった:2022年F1アゼルバイジャンGP
ルクレールのリタイア後、レッドブルにとって比較的簡単なレースだった。

だからレッドブルの2台は、違う理由で走り続けた。ペレスはタイミングが不運だったから。フェルスタッペンは失うものがなかったから。

レーシングが再開されると、ルクレールはフェルスタッペンの13秒後ろを走っていた。ピットストップが約20秒かかるので、レッドブルが最終的にピットインすれば、フェラーリが首位に立つことは確実だった。実際にレースの展開はそうなったが、フェルスタッペンはその前にペレスに追いつき、簡単に抜くことができた。

なぜそうなったか? ペレスのリアタイヤは劇的にグリップを失っていた。彼は序盤に激しく攻め、すでにトラクションの問題について話していた。さらに、VSCで急激に冷えたことも、タイヤにダメージを与えたようだった。そのため、走り続けることがさらに高くついたように見えた。というのも、VSCが1秒ほど早く始まっていれば、彼はそのダメージを受けたタイヤを交換できたはずだったからだ。

フェルスタッペンが18周目のピットストップからレースに合流すると、彼はルクレールに13秒差をつけられていた。残りは43周だった。フェルスタッペンの課題は、タイヤをあまり消耗することなく、この13秒を取り戻すことだった。そうすれば、彼がルクレールに追いついたとき、ルクレールよりもタイヤの状態がよいはずだった。これは可能だったかもしれない。フェルスタッペンはその時にはマシンを非常にうまく扱っていたからだ。しかし確実ではない。結果は、フェラーリのエンジンの煙が立ち込める中で確定した。

-Source: The Official Formula 1 Website

ルクレール、リタイヤ後のレース中のインタビューで「つらい。再発しないよう調べる必要がある。これを言い表す言葉を見つけられない。とてもがっかりしている。理由はわからない。本当に調べる必要がある」


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