F1レース解説:モナコでのペレスの重大な予選クラッシュ後、フェラーリの不意を突いたレッドブルの戦略

先週末のモナコGPでは、フェラーリとレッドブルだけが、3番目に速いメルセデスをはるかにしのぐパフォーマンスで、完全な競争力を発揮した。その4人のドライバーのうち、それぞれがモナコGP優勝の現実的な可能性を持っていたが、その可能性を実現したのはセルジオ・ペレスだった...。このモナコでのレースをマーク・ヒューズが解説する。

その優勝までの道のりは、他人の失敗やミスがいくつもちりばめられていたが、彼自身のたったひとつのミス(予選終了時のクラッシュ)が、皮肉にもレース日の優勝に貢献したのである。このような状況のなかで、ペレスはほぼ完璧なドライビングを見せ、フェラーリにプレッシャーをかけて重大な戦術的ミスを誘った。

その土台となったのは、GP2時代(クリスチャン・ホーナー率いるアーデンチーム)から常に高い競争力を発揮してきた、このトラックにおける彼のスピードだった。彼は週末を通じてチームメイトのマックス・フェルスタッペンよりわずかに速いタイムを常に記録し、予選ではフェルスタッペンより上位の3番手となった。

マシンは、フロント・タイヤのスイッチが入りにくかったため、特に1周の始めはバランスがアンダーステアとなった。フェルスタッペンはこれが気に入らなかったが、ペレスはそれほど問題視しなかった。

インターミディエイトタイヤをはいたペレスのペースが、モナコにおけるフェラーリの破滅の原因となった:2022年F1モナコGP
インターミディエイトタイヤをはいたペレスのペースが、モナコにおけるフェラーリの破滅の原因となった。

しかし、結局のところ、Q3最後のアタックでフェルスタッペンはその欠点の最悪の部分を回避する方法を見つけたように見えた。サン・デボーテと、マセネとカジノの複合コーナーで足りなかったグリップを得るために、何周も準備走行をしていた。彼の最後となるアタックでは、セクター1ではペレスやフェラーリのカルロス・サインツよりも速く、トラックはまだ速くなっていたので、やっとチームメイトよりも速いタイムを出しそうに見えた。



しかし、ポルティエでのペレスの事故のため、フェルスタッペンはそのアタックを終えることができなかった。これによりペレスの3位が確定し、彼の方がレースで前を走るレッドブルとなった。結局、これが非常に重要になった。

シャルル・ルクレールとカルロス・サインツがフロント・ローを独占したため、先頭4台はレース序盤はグリッドの並び順のまま、全員ウェット・タイヤで走った。トラックが乾き始めると、作戦上の難問は、ウェットを長持ちさせて、直接スリック・タイヤに交換するか、それとも、ウェットよりはるかに速いが、余分なピットストップが必要なインターミディエイト・タイヤで中間段階を走るかだった。

ペレスとレッドブルは、渋滞の中に隙間ができると、16周目という早い段階にピットインしてフェラーリにこの難問を押しつけた。彼が合流したとき、先頭のルクレールとの差は8秒だった。フェラーリは何をするべきかという問題を抱えた。反応してルクレールをピットインさせるか? ピットインさせれば、ウェットから直接スリックに交換する作戦の方が速いとわかり、フェルスタッペンがそれを利用してフェラーリを抜く恐れがあった。

ピットストップ後に首位に立ったペレスは、チェッカーフラッグまでそれを維持した:2022年F1モナコGP
ピットストップ後に首位に立ったペレスは、チェッカーフラッグまでそれを維持した。

フェラーリはこの時点で、ルクレールではなくサインツをピットインさせるのが理想的だった。しかし、そうすればサインツはすぐにペレスに順位を奪われるだろう。さらにサインツはウェットで走り続けようとしており、インターミディエイトを使いたくなかった。フェラーリは、8秒差があったので、ペレスのピットストップから1周は決定を遅らせることができると感じていた。しかしそれは、インターミディエイトがどれだけ速いかを過小評価していた。

フェラーリはペレスの1周後ではなく2周後にルクレールをピットインさせたので、ペレスはルクレールをアンダーカットして抜いた。インターミディエイトに交換した直後のペレスのペースが、フェラーリの不意打ちの重要な部分であり、それゆえその後の優勝に貢献した。

それでもサインツには勝ち目があった。彼は古いウェットで首位を走り続け、21周目にピットインしてスリックに交換した。ペレスはインターミディエイトでペースを維持しつつ、サインツに恐ろしいほど迫ったが、それでもスリックに交換するため、ピットインする必要があった。

当然の勝利で、ペレスはチャンピオンシップでの差を縮めた:2022年F1モナコGP
当然の勝利で、ペレスはチャンピオンシップでの差を縮めた。


サインツがピットから出るなか、ペレスはインラップで全力を尽くしたので、ふたりは接戦になるはずだった。重要なことに、フェラーリは加速していく途中でニコラス・ラティフィのウィリアムズに抜かれた。つまりラティフィは周回遅れを解消したのだ。これによってサインツは、トンネルに入るまで抜き返すことができず、ひどく遅れた。さらにタイヤの温度を素早く上げることができず、さらに遅くなった。

これらはすべてペレスが必要としていた助けになり、彼はサインツがサン・デボーテを出ようとしたとき、ピット出口から加速していた。サインツがウィリアムズの後ろで1.5~1.7秒遅れたことが、大きな違いをもたらした。

もうピットストップをする必要がなく、互角のマシン同士ではオーバーテイクがほぼ不可能な場所で首位を確保したので、ペレスは基本的にレースを終え、見事な優勝に向かっていった。

-Source: The Official Formula 1 Website


2022年F1モナコGPコラムとチーム分析