F1レース解説:バルセロナでのレース当日、各チームのストラテジストが直面するジレンマを分析する

スペインGPの9周目、マックス・フェルスタッペンが突風にあおられてターン4のグラベル・トラップにはまると、彼が優勝するためには、シャルル・ルクレールのフェラーリのパワーユニットの故障とレッドブルのチームメイト、セルジオ・ペレスのコンプライアンスが必要だった。ペレスは完璧なチームプレーを演じ、フェルスタッペンは優勝、そしてもちろんワールドタイトルを目指すフェルスタッペンの追い越しを2度も許した。しかし通常であれば、フェルスタッペンのコースアウトとルクレールのリタイアによって、ペレスの勝利への道が開かれるはずだった。このバルセロナでのレースをマーク・ヒューズが解説する。
<ストラテジスト(戦略担当者)>

レースの状況は、フェルスタッペンのDRS機構に不具合があったこともあり、レッドブルにとっては戦略的に難しくなった。

ターン4の突風で、フェルスタッペンはルクレールのすぐ後ろの2位から4位へ後退した。彼はペレスの直後でグラベルからトラックに合流した。ペレスはジョージ・ラッセルのメルセデスと2位争いを繰り広げていた。このバトルは、ペレスがフェルスタッペンの追い越しを許すよう指示されたため、一旦中止となった。ペレスは、自身の2ストップ作戦を成功させるために、あとでフェルスタッペンを抜くことができるという保証を得た。今のところ、フェルスタッペンは3ストップ作戦の予定だった。

ペレスはバルセロナでチームプレーを発揮し、チームメイトを先に行かせた:2022年F1スペインGP
ペレスはバルセロナでチームプレーを発揮し、チームメイトを先に行かせた。

ペレスが指示に従ってチームメイトに順位を譲ると、フェルスタッペンは全力でラッセルにアタックしたが、レッドブルのDRS機構の故障、ラッセルの激しい防御、メルセデスの非常に強いストレートエンドのスピードが組み合わさり、マックスはトラック上で抜くことができなかった。この時点で、ペレスは妨害された、それゆえ作戦が損なわれたと感じていた。

レース後ペレスは「どの作戦が最善になりそうか、その時点ではわからなかった」と述べた。

「最初のスティントではそう感じていた。マックスにポジションを譲ったときに、取り返せると言われた。僕が2ストップ作戦で走っているとき、作戦を成功させるために、マックスとジョージをもう少し早く抜くことができたと感じた。しかしおそらく、それだけでは十分ではなかったのだろう」

ペレスは、フェルスタッペンの3ストップがよい作戦だったと感じた。結局のところ、彼はそれで勝ったのだから。しかし、そうだったのだろうか? チェコが言ったように、タイヤの劣化画像を頼りに、事前に判断することは不可能だった。超高温のサーキットでは、タイヤが飽和状態になるほどのエネルギーがかかる。余分のピットストップのために21秒のタイムをロスしても激しく攻めることができる方が速いのだろうか? それとも、少し控えて2回だけピットインする方が速いのか?

数学的な理論上の最速タイムよりも、トラックでのポジションやその時々の戦術的な偶発性の方が、結局のところ重要なのだ。しかし、その理論的な世界では、ピットストップのために必要な21秒を稼ぐには、2ストップよりも3ストップの方が1周あたり平均0.32秒速くなければならない。もし、1周0.32秒以下の減速で2ストップのタイヤを長持ちさせることができれば、2ストップの方が速いということになる。少なくとも上位車はそうなるようだ。

チームにとっては1-2フィニッシュだったが、ペレスはチームの作戦決定を悔やんだのだろうか?:2022年F1スペインGP
チームにとっては1-2フィニッシュだったが、ペレスはチームの作戦決定を悔やんだのだろうか?

本物の3ストップ作戦と、2ストップ作戦のレースだが、追加としてフリーの3回目のピットストップを行うものを区別する必要がある。フェルスタッペンが3ストップ作戦に切り替えたのは、トラックでのポジションを失ったからだが、カルロス・サインツJr.が3ストップ作戦になったのは、ディフューザーが破損し(フェルスタッペンと同じく彼はターン4で突風によりコースアウト)、タイヤが消耗していたためだった。これにより、メルセデスはラッセルをフリーで(つまり順位を落とさずに)3度目のピットインをさせ、レッドブルはペレスに3度目のピットインをさせてソフトタイヤに交換し、ルイス・ハミルトンから最速ラップタイムのポイントを奪った。

しかし、ラッセルもペレスも、ハミルトンと同様、名目上は2ストップ作戦だった。3回目のピットストップをフリーで行うことができたので、セーフティカーによるリスタートがあれば、古いタイヤで走ることを避けることができるはずだった。

メルセデスのデータでは、2ストップの方が実際に速く、1周あたり0.3秒を切ることが可能だったと示していた。しかし、トラックでのポジションはそれを凌駕する。フェルスタッペンは「レース中にその判断をする」と説明した。

「チームは早い段階で3ストップに変えた。DRSの問題で、前を塞がれていたので、少し違うこと、つまり攻撃的な作戦に切り替えることに決めた。もしDRSの問題がなければ、もっと早くジョージをクリアできただろうし、また差を広げることができただろう。そのときは別の(つまり2ストップ)戦略を取っていたかもしれないが、少し行き当たりばったりにならざるを得なかった」

ペレスの寛大な協力が必要だったとはいえ、彼らは完璧にそれをこなしたのだった。

-Source: The Official Formula 1 Website


2022年F1スペインGPコラムとチーム分析