メルセデスとレッドブルは、2021年のF1シーズン後半も激しいタイトル争いを続けることになる。"RacingNews365.com" は、どのサーキットがタイトル争いをしている2チームのどちらに有利なのかを見ていく。
メルセデスとレッドブルの戦いは、F1の歴史のなかでも最も激しい場面を生み出している。
シーズンの半分を過ぎた時点で、ルイス・ハミルトンがマックス・フェルスタッペンに8ポイント差をつけて首位に立っている。
一方、コンストラクターズ順位では、メルセデスがレッドブルに12ポイント差をつけてトップに立っており、チャンピオンシップの行方は微妙である。
公式には2戦が中止になり残り10戦とされているが、キャンセルされたオーストラリアGPの代わりに、1つのイベントが発表される予定である。どちらのチームが優勝するのか、今後の開催地を見ていこう。
ベルギーGP
タイヤ選択: C2-C3-C4
今年の数多くのグランプリで、メルセデスとレッドブルのどちらが優位に立つかを予測するのは非常に難しいが、全体的に見ると、1周についてはレッドブルがわずかに優位に立っている。
過去2回のレースではメルセデスが勝ったが、だからこそ、今週末のスパには明確な本命がいない。1周目で決着がついても意外ではない。ハミルトンとフェルスタッペンがフロント・ロウに並んだ場合、ラ・スルス、オー・ルージュ、ラディオン、ケメル・ストレートを通過する最初の30秒間はドラマチックな展開が約束されている。
2チームが非常に接戦を演じているため、そこから先はバーレーンGP、スペインGP、フランスGPのようなレース中のバトルが展開される可能性がある。直線スピードとダウンフォースの間の妥協点を見つけることが鍵となるだろう。スパは勝敗の予測がつかない。
オランダGP
タイヤ選択: C1-C2-C3
ザントフォールトは、高速性トラックであるため、どう見てもレッドブルに有利である。
フェルスタッペンにとってはホームグラウンドでもあるので、ポール・ポジションを獲得するために予選に全力を尽くすだろう。バンクつきの最終コーナーが新設されたとはいえ、オーバーテイクが難しいと思われるサーキットでは、予選が重要になるかもしれない。
今季のメルセデスW12は、C1とC2のタイヤでよりよく機能しているので、硬めのタイヤコンパウンドはメルセデスに役立つはずだ。とはいえ、機械的グリップと素早くスピードを引き出せるレッドブルRB16Bの能力が、36年ぶりにF1が開催されるザントフォールトでは重要な役割を果たすだろう。
イタリアGP
タイヤ選択: C2-C3-C4
シーズン後半に控えているすべてのトラックの中で、理論的にはモンツァは、メルセデスとレッドブルの差が比較的大きくなる会場になるだろう。
スパやザントフォールトで、レッドブルの直線スピードがメルセデスに及ばなかった場合、モンツァでは圧倒的な強さを誇るハミルトンが勢いと自信を得るだろう。
また、フェルスタッペンは4基目のパワーユニット使用によるグリッド降格ペナルティを受ける予定なので、レッドブルはイタリアGPでそのペナルティを受けることを選択するかもしれない。
ロシアGP
タイヤ選択: C3-C4-C5
ロシアGPがカレンダーに登場して以来、メルセデスはすべてのロシアGPで優勝しており、9月末のロシアGPでもこの素晴らしい連勝の延長を願っている。
連続する直角ターンと滑らかな路面は、常にメルセデスの特性に合っているため、メルセデスはソチの本命になるはずだ。
スパと同様、ターン2の最初のブレーキングゾーンまで非常に長い距離があるスタートは興味深いものになるだろう。フェルスタッペンとレッドブルにとっての最大のチャンスは、最初の一連のコーナーでトラック位置を確保し、リードを奪うことだろう。
10月以降は?
現在のF1スケジュールは、トルコが英国のレッドリストに掲載されているなど、不確定要素が多くある。英国在住の人員(F1パドックの大半)が帰国する際に、ホテルで10日間の隔離を受ける必要があることを意味しており、チームには多大なコストがかかるのだ。
オースティンでのCOVID-19感染率によりアメリカGPが危うくなり、メキシコGPも危機的である。理論的には、レッドブルは高地を得意とするので、メキシコでは非常に強いはずであり、ブラジルのサンパウロでも強い立場になるだろう。
チャンピオンシップ争いはレースごとに変化してきているので、10月以降に何が起こるかを分析するのは単なる推測に過ぎない。
開発状況、アップグレードが功を奏したかどうか、タイトルレースの性質、勢いなどによって4週間後には多くのものが変わる可能性がある。
例えば、オーストリアではレッドブルが圧倒的に強かったが、その数週間後のハンガリーではメルセデスが余裕を持ってリードしているように見えた。
優劣つけがたい
レッドブルとメルセデスの差がほとんどないため、タイトル争いは今後も紆余曲折が予想される。
両チャンピオンシップが1桁の差で決まる可能性があるので、悪い日があっても大惨事にならないようにすることが重要だろう。
天候(暑いか寒いか、雲があるかどうか)、最適なセットアップ、完璧な戦略などの単純な要素は、チームがどのトラックでレースをするかよりも重要である。
シーズン序盤、レッドブルは気温の低い場所を好んでいたようだが、シルバーストーンとハンガロリンクではそれが変わったように見えた。
予選でアウトラップを正しく設定し、タイヤを適切な温度範囲にもっていき、信頼性に問題がないことが、タイトルレースでも鍵となる。F1には無限の変数があるが、レッドブルとメルセデスがいかに接近しているかを考えると、これからのレースではそのひとつひとつが重要になってくるだろう。
すべてはドライバーにかかっている
最終的にマシンのハンドルを握るのはドライバーであり、今年はハミルトンとフェルスタッペンが最終的な違いを生み出している。
開幕戦のバーレーン以降、ほぼすべてのイベントでそれぞれのチームメイトを打ち負かしているふたりは別格である。
スペインGPとフランスGPでは、レース終盤にお互いを追い詰めてオーバーテイクするという大胆な戦略をとったが、これは彼らにしかできないことだった。フェルスタッペンが優れたドライバーであることは間違いなく、ハミルトンが8度目のワールドチャンピオンシップを獲得するためには、絶好調に戻らなくてはならない。
タイトル争いをするふたりは、チームラジオや予選で駆け引きが激しくなることはほぼ間違いない。わずかな利益を得るためにあらゆるチャンスを狙うことになるだろう。
プレッシャーが高まり、ここぞというときに誰が力を発揮できるかが重要になってくるだろう。また、最初の11戦におけるハミルトンのように、運も重要な要素となるだろう。このような状況はすぐに変わる可能性があるが、すべてのことが、よりエキサイティングで、後世に残る非常に面白いシーズンになることを示している。
-Source: RacingNews365
2021年08月27日
レッドブルとメルセデスの2021年タイトル争いを決めるウィング・レベル:F1技術解説