

スカイF1のマーティン・ブランドルは、最新のレース後コラムで、マックス・フェルスタッペンがエンジン・ペナルティにもかかわらず圧勝し、フェラーリが再びつまずいたベルギーGPを振り返る。ブランドルはまた、ルイス・ハミルトンのミスを受けたアロンソの「不公平なコメント」についても意見を述べる。
スポーツの生中継はわからないものだ。スパで行われたベルギーGPのスターティング・グリッドは、間違いなくスリリングなレースを約束するものだったが、マックス・フェルスタッペンの見事な追い上げがあったとは言え、結局のところ普通のレースだった。
内情に通じた利口な人々がレース日の朝に「昨夜5000回のシミュレーションをしたが、たいしたことは起きなかったので、あなたは解説でどんな話をするのかね」と言っても、エキサイティングなレースになることもある。
20台中8台がパワーユニットとギアボックスのグリッド・ペナルティを受け、さらにピエール・ガスリーが電気系トラブルでピットレーンからのスタートとなったため、フェルスタッペンはかつてのチャンピオンシップ・ライバル、シャルル・ルクレールと並んで実質13番手からのスタートとなった。その後、フェルスタッペンは序盤のトラブルを避け、1周ごとに他のマシンを追い抜き、レースの首位に立った。
ポール・ポジションからスタートしたフェラーリのカルロス・サインツは、トラブルなく順調に走行して3位となったが、首位との差は30秒に近かった。同じフロント・ロウからスタートしたレッドブルのセルジオ・ペレスは、終盤は比較的クルージングしていたが、マックスから18秒遅れだった。
もちろんレッドブルとマックスの勝利のレベルを評価するよりも、ミハエル・シューマッハやルイス・ハミルトンのように、ひとりのドライバーが圧勝していることに不満を持つ人も出てくるだろう。
これはトラック特有のものであり、フェラーリとメルセデスは今後の数戦で接戦を演じると期待している。フェラーリは、スパで空力学が機能するようにマシンのサスペンションを硬くして、オー・ルージュのふもとの高速セクションで、アンダーフロアが地面にたたきつけられないようにしたため、バンプやコーナーの内側にある縁石に乗りにくいマシンになってしまった。




アロンソ、ハミルトンに対するコメントは「判断ミス」
メルセデスは、予選ではタイヤのスイッチを入れることができなかったが、気温の高いドライ・レースでは間違いなくよくなるはずだった。ルイス・ハミルトンはレ・コンブのシケインで珍しくミスを犯し、アウト側に回り込もうとしてフェルナンド・アロンソのサイドに接触して宙を舞ったため、そのチャンスを得ることはできなかった。
ルイスは、死角にいたフェルナンドが見えなかったが、彼はどこかにいるはずだったと正直に述べた。アロンソは、インサイドに留まり、スペースを残すために最善を尽くした。ルイスは映像を見ると、すぐに自分に全面的な責任があると認めた。
ルイスはポール・トゥ・ウィンしかできないというフェルナンドの無線コメントは、怒りとアドレナリンに焚きつけられたとしても、わたしの意見としては、全く不正確で不公平だ。ルイスは、F1史上最も公平でクリーンなドライバーのひとりであり、その容赦ないスピードを考えれば、ペナルティ覚悟の反則を多く犯す必要はない。昨年のブラジルを思い出してほしい。彼は後方から2度も追い上げることができたのだ。
この判断ミスは、ルイスの注意を引いたことだろう...

メルセデスの午後の運命は、優秀なジョージ・ラッセルに委ねられた。彼は見事な走りで、サインツとフェラーリから表彰台を奪おうとした。結果は4位、遅かったストレートでもかなり安定した走りを見せ、スパのサーキットを走るのがまったく気が進まないようなマシンで、表彰台まで2秒差まで詰め寄った。

フェラーリとルクレールの失態は「見ていて痛々しい」
シャルル・ルクレールは悲しいことに、またしても忘れてしまいたいレースをした。ハミルトンのメルセデスが宙を飛び、ニコラス・ラティフィがヴァルテリ・ボタスをグラベル・トラップに追いやってセーフティカーが出動したが、マックス・フェルスタッペンが捨てたとされるバイザー・ストリップがルクレールのブレーキダクトに挟まり、セーフティカー出動中にピットインせざるを得なかった。
このような捨てバイザーは規制する必要があるし、少なくとも1枚1枚にドライバーの名前を入れることを義務付けるべきだろう。車載カメラは、スピードウェイのライダーのように、オイル、虫、スプレー、泥などから視界を回復するために、プラスチックのスライド式フィルムカセットが使用されているが、これはF1のバイザーには重すぎるだろう。
捨てバイザーは、コックピット内にあるマジックテープつきのポケットか容器に入れなければならなかったと記憶している。これらを捨てて、誰かのレースを台無しにするのはフェアなことではない。
ルクレールは、レースのリズムから外れたが、タイヤに苦労していたとはいえ5位を走行していた。すると(おそらく)チームが、最速ラップタイムのポイントを狙うことに決め、彼はアロンソの後ろになり、彼をオーバーテイクしなければならなくなった。そして、マックス・フェルスタッペンの最速ラップタイムに0.6秒及ばず、さらにピットレーン速度超過ペナルティを受け、6位に終わった。見ていて痛々しかった。
フェラーリは、ピットウォールの判断を変える必要はないと主張しているが、同じことをし続けていれば、同じ結果が出ても不思議ではない。テレビでは、選ばれた無線通信しか聞けないことは承知しているが、フェラーリチームは、ドライビングに忙しいためタイヤに関するフルセットのデータを持たないルクレールに、最終的な決断を迫っているように見える。
おそらく彼は、誰が同じタイヤを使っているのか、そのタイヤのパフォーマンスがどうなのかを知らないまま、ハード・コンパウンドに関する最終判断を下すことはできないだろう。ルクレールは残り8戦で、チャンピオンシップ3位、首位とは98ポイント差である。すべての条件が同じだとすると、このチャンピオンシップの行方は誰もがわかっていると思う。

アルピーヌ・チームは、元気のよいアロンソが5位、エステバン・オコンが7位と健闘し、コンストラクターズ・チャンピオンシップで、マクラーレンに20ポイント差をつけた。マクラーレンは今シーズン4回目の無得点のレースであり、このコラムを書いている時点で、オスカー・ピアストリの2023年契約を争っている。日曜日、アストンマーティンでとても着実なレースをしたセバスチャン・ベッテルが引退を発表して以来、中団ドライバー市場はかなり荒れている。
アレックス・アルボンはウィリアムズを感心させ続けており、見ていて嬉しい。
そして、素晴らしいスパは2023年のカレンダーにも加わることになったが、それが復活となるのか、それとも執行猶予となるのか、様子を見なくてはならないだろう。
-Source: Sky Sports
2022年F1ベルギーGPコラムとチーム分析