フェラーリの2台:2022年F1ハンガリーGPスタート

トラック外での大きな決断からトラック上での不可解な決断まで、スカイF1のマーティン・ブランドルがブダペストの週末に専門家の目を向け、現ワールドチャンピオンの重要な追い上げを受けてマックス・フェルスタッペン対シャルル・ルクレールについて意見を述べる。

ハンガリーGPはトラック内外で期待を裏切らなかった。メルセデスが上位で純粋な競争力を発揮したことで、非常に面白いレースが繰り広げられた。一方で重大な発表が行われ、我々を驚かせた。

過去には、このタイトで比較的低速のサーキットでは、非常に退屈な行列ができたこともあったが、車列が延びる高速コーナーがないため、2022年マシンはノーズ・トゥ・テールやサイド・バイ・サイドでよい走りをすることができた。

レース中、何度か素晴らしいオーバーテイクがあったが、そのほとんどはブレーキング中に行われ、本来あるべき姿だが、完全にコントロールする必要があった。

セバスチャン・ベッテルの2007年と2022年の写真

ベッテルの引退、アロンソのサプライズ:F1の重大な決断を分析する

トラック外では、今シーズン末での引退を発表したセバスチャン・ベッテルに注目が集まるイベントになった(最終戦アブダビが彼のグランプリ出走300回目になる予定)。BMWの金曜ドライバーを務め、その後トロ・ロッソのマシンでグリッドに並び、若々しい顔で人生を楽しむ大学生のように見えた15年前が、ついこの間のように思える。

彼は4度のF1ワールドチャンピオンになり、レース優勝は53回でF1歴代3位、依然として史上最年少チャンピオンの座についている。まだ35歳ではあるが、無理をしてきた。

セブのレース優勝のうち14回は、6シーズン在籍したフェラーリで挙げたものだが、その冒険が計画通りにいかなかったことを考えると、これはおそらく予想よりも多いだろう。スカイスポーツF1でクリスチャン・ホーナーに、セブは2014年末にレッドブルからフェラーリに移籍したのは間違いだったと思うかと尋ねたことがあるが、彼は、当時のセブにとって、その移籍は正しかったと感じたと断言した。

セバスチャンは家庭生活と、ここ数シーズンで彼が支持してきたグローバルなイニシアチブや大義のいくつかを追求したがっている。同じ日にインスタグラムのアカウントを開設し、すでに210万人のフォロワーがいる一方で、F1は前しか見ないスポーツなので、F1という世界的な舞台から離れ、認知度を維持するのは難しいだろう。例えば、今年、キミ・ライコネンについてどれだけの人が言及しただろうか?

セバスチャンは真のチャンピオンであり、根っからの善良な人間である。彼のキャリアについてコメントすることができて、とても光栄だった。



セバスチャン・ベッテルのInstagram
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(グランプリ翌日)月曜日の朝にフェルナンド・アロンソが意外にもベッテルのシートを引き継ぐことが発表されたので、彼の引退宣言ビデオのタイミングがさらに意味を持つようになった。アルピーヌはアロンソに2年契約を提示できなかった、もしくは提示しなかったようで、アストンマーティンとの契約は複数年と公式に説明されている。

アロンソはまた、アルピーヌのチームメイトであるエステバン・オコンが、ライバルに戦意を向けるのではなく、自分に激しく向かってくることにひどくがっかりしていた。

フェルナンドはトラック内外で計り知れない力を持っており、チームを激しく駆り立てるだろう。最近の彼は少し丸くなったが、ストロールのファミリー「企業」に加わることになるので、花火が上がるかもしれない。

2018年アブダビGPのグリッドでフェルナンドにインタビューしたことを覚えているが、彼は本当にF1キャリアを終えることに納得していた。しかし、今は少なくとも2024年末、43歳、F1参戦400回になるまではグリッドに並ぶつもりだ。途方もないことだ。



ジョージ・ラッセル、初のポールポジション獲得:2022年F1ハンガリーGP予選

レースの組み立て:ルクレールがラッセルに迫る

ジョージ・ラッセルのアタック / ポールポジションラップは前触れなしの素晴らしいものだった。セクタータイムやスピードトラップはトップではなかったが、タイヤを非常にうまく準備し、見事な走りでフェラーリのフロント・ロー独占を阻止した。マックス・フェルスタッペンのレッドブルが最終予選でパワーユニットが問題を起こしたので、フェラーリは確実にフロント・ローを独占しそうだった。

フェラーリの両ドライバーは、ウェットでもドライでも素晴らしいペースを見せており、前週のポールリカールと同様に、カルロス・サインツがシャルル・ルクレールよりもわずかに好感触で速いように見えたのだ。

フェルスタッペンはレース序盤ではなく、予選終盤にエンジンが故障したことが幸いしたが、10番スタートだったので、表彰台に近づくという野心を持っていた。また、ハミルトンも予選でDRSリアウイングが故障し、同様に順位をを落としているため、興味をそそるグリッドになった。

アルピーヌが3列目を独占し、マクラーレンのランド・ノリスも4列目に並んだ。この3人のドライバーとヴァルテリ・ボタスは、「ベスト・オブ・ザ・レスト」を目指してお互いを打ち負かそうと、好かれていないハードタイヤを使って、積極性に欠けるがおそらく必要な作戦を実行した。結局7位になったのはランド・ノリスだった。アロンソが8位、オコンが9位、ベッテルが10位で最後のチャンピオンシップ・ポイントを獲得した。

ボタスは残り2周でリタイヤしたが完走扱いとなったため、出走レース完走記録でF1史上13位になった。

ラッセルは、ソフトコンパウンド・タイヤのスタートセットで見事に16周を走り、果敢にトップをキープした。不思議なことに、サインツはその1周後にミディアムコンパウンドのタイヤを同じミディアムに交換し、21周目にはフェラーリのチームメイト、ルクレールも再びミディアムに交換するためにピットインした。ルールの下では、雨が降らない限り、両ドライバーは義務付けられたふたつ目のコンパウンドを使用するために再度ピットインしなければならず、選択肢がある程度制限された。

一方、ルクレールは古いタイヤでチームメイトより速く走り、サインツをオーバーカットして先頭のラッセルを追いかけ、31周目にオーバーテイクした。今回もルクレールが優勝するレースのように見えた。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)のタイヤ交換:2022年F1ハンガリーGP

フェルスタッペンとハミルトンが大活躍するなか、フェラーリはどこで間違ったのか

レッドブルは、フェルスタッペンを16周目と38周目にピットインさせたので、他チームのピットストップは、追い上げているフェルスタッペンをカバーするために行われた。するとマックスはピットストップ直後、驚異的なペースを見せた。

彼は滑るクラッチに苦労していたが、ハンドルについているある種の神頼み的なセンサー(ブードゥーセンサー)のデフォルト設定が軽減に役立った。

フェラーリは対応に追われ、39周目にルクレールをピットインさせた。彼は、レース終了まで持たないであろうソフトタイヤか、他のマシンではかなりひどそうに見えたハードコンパウンドに交換しなければならなかった。フェラーリはハードタイヤに交換し、ルクレールは6位に後退し、いたるところで横滑りしていた。

フェラーリのチームは、このところ頻繁に起きているミスについて、互いにサポートし合っているが、彼らはグリッド2番と3番からスタートした速いマシンを、どういうわけか4位と6位でフィニッシュさせた。雨模様の寒い日のソフトコンパウンドのペースが驚くほど悪かったことで、状況はさらに悪化したが、レース距離の半分を少し超えた時点での2回目のピットストップで、ミディアムからミディアム作戦は無意味だった。

マックス・フェルスタッペン、360度スピン:2022年F1ハンガリーGP

マックスはターン13で360度スピンをして、首位を失いながらも、ルクレールを追いかけ、再び抜き返した。結局2位に8秒差をつけて優勝したマックスのドライビングは、まさにトップの走りだった。レース中ずっと雨は降りそうで降らなかった。

ハミルトン、フェルスタッペン、ラッセル:2022年F1ハンガリーGP表彰台

同様に印象的だったのは、7番グリッドから2ストップ作戦を採用したルイス・ハミルトンだ。メルセデスは終盤にソフトタイヤをうまく使いこなし、ルイスはいつものように底力を発揮して、5戦連続で表彰台に立った。彼とチームは、51周目にピットインすることで、ミディアム/ミディアム/ソフトの作戦を成功させ、フェラーリをさらに苦しめた。

ラッセルは別の作戦のハミルトンに追いつかれ、追い抜かれて3位になったことにとてもがっかりしたことだろう。しかし、彼は先頭でチームのために非常によい役割を果たした。メルセデスは、時々他のマシンよりもうまく機能する理由について、まだかなり混乱しているように見えるし、今回もそれを利用しようとして大変な週末を過ごした。彼らにこの問題を解決できないのなら、他人がその理由について意見を述べても無意味だ。

残り9戦で、フェルスタッペンは80ポイント差をつけている。これは優勝3回と最速ラップタイム3回を合計したよりも多い。メルセデスはコンストラクターズ順位で、フェラーリに30ポイント差まで迫っているので、マラネロでは夏休みがとても長く感じられるだろう。

今月末のスパでまたお話をしよう。

-Source: Sky Sports





2022年F1ハンガリーGPコラムとチーム分析