セルジオ・ペレス(レッドブル)優勝、プールに飛び込む:2022年F1モナコGP

セルジオ・ペレス(レッドブル)優勝、プールに飛び込む:2022年F1モナコGP

スカイ・スポーツF1のマーティン・ブランドルは、最新コラムで、スタートの遅れからフェラーリのシャルル・ルクレールのメルトダウン、セルジオ・ペレスの重要な優勝まで、モンテカルロのドラマを分析する。またマーティンは、批判が高まるFIAとモナコのF1の将来についても判断を下す。

セルジオ・ペレス(レッドブル)優勝:2022年F1モナコGP

モナコGPの良いニュースは、善良な人が本当に勝つということだ

セルジオ・ペレスは、パドックの中で最も実直で親しみやすい人物のひとりなので、多くのF1関係者が表彰台に立った彼と一緒に涙を流したことだろう。セルジオとレッドブル、おめでとう。

過去6戦は、4位フィニッシュが2回、2位が3回、そして今回、輝かしい優勝を飾った。1週間前のバルセロナで、チームメイトのマックス・フェルスタッペンに順位を譲る義務がなかったなら、チャンピオンシップ首位との差は1ポイントになっていただろう。ただしマックスは、ペレスよりも新しいタイヤを使っていたので、バトルを許されたとしても純粋なペースで勝っていただろうと言わざるを得ない。

11年前、ぺレスはモナコGPの予選中にクラッシュし、脳震盪を起こしてレースを欠場した。これは、今やグランプリ220回に出走し、32歳の粘り強さと速さの継続をよく表している。この新しいグラウンドエフェクトの空力学的2022年マシンは、明らかに彼のドライビングスタイルに合っている。



今回、モナコの悪材料は、レース開始をめぐる混乱だった。私の見解では、定刻に始めるべきだった。

赤旗:2022年F1モナコGP

モナコの混乱は、FIAに変化が必要であるというさらなる証拠

天候が悪化するのを見越してレースを中断する必要はない。我々には、バーチャル・セーフティカー、本物のセーフティカー、赤旗、2秒でタイヤを交換できるピットストップ・クルー、天候問題をカバーできる2種類のウェットウェザー・タイヤがある。それがF1レースというものだ。

信頼できる情報筋によると、この行き詰まりの間、我々が何が起きるのか、わからないまま傍観するなか、レース・コントロールでは激しい議論があったと聞いた。おそらくその議論のせいで、無為無策の時間帯や情報不足が起き、いつものようにセーフティカーがトラック・コンディションを確かめなかったのだろう。

FIAは、F1の健全性のために、根本的な組織変更により、全面的に権限を与えられた専任のレース・ディレクターと少なくともひとりの代理、専任のサーキットおよびシステムの検査官、さらに権限を与えられた実動コミュニケーション部門をもつことが緊急に必要である。私は、これが最優先の課題だと考えている。

昨年のアブダビで起きたチャンピオンシップを決定付ける状況は、チャーリー・ホワイティングの死後、数ヶ月、いや数年前から醸成されており、FIAのリソースや体制が十分でないまま、パンデミック中に急遽開催された「ポップアップ」イベントを含む39戦が行われたことを考えると、避けられないものだった。

そして、アブダビの余波でマイケル・マシに起こったことが、この仕事を毒杯にしてしまった。可能であれば、何らかの修正が必要である。マシはチャーリーの代理として適任だったが、正直なところ、F1とFIAはぶっつけ本番でやることもあったので、必要不可欠なレースコントロールと審判に関して、すべてが軌道から外れてしまった。

日曜日のレース終了後、20時3分にFIAから、大雨のためにスタートシステム(スタートガントリー、ライトパネルなど)の電源に問題が発生し、赤旗後にローリングスタートが行われたことを知らされた。もし、我々がシンプルで効果的な WhatsApp(メッセンジャーアプリ)グループを通じて、メディアでこのことを知らされていたら、世界中の何千万という視聴者やトラックサイドの何万というファンに伝えることができただろうし、すべてがもっと合理的になっていただろう。

最初の赤旗の間、レースはカウントダウン・クロックでランダムに進行しているように見え、ラップ(1周)が完了したと表示されていたので、おそらくトリガーポイントがあったのだろう。しかしその後、新しい18インチホイールを履いた2022年のマシンで、濡れて滑りやすいモナコの経験が全くないドライバーによる見事なマシン・コントロールを見ることになった。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)のタイヤ交換:2022年F1モナコGP

フェラーリは再びルクレールを失望させ、フェルスタッペンがリードを広げる

もちろん、モナコなのでオーバーテイクがたくさんあるわけではなかったが、絶えず変化するトラックにおけるドライバーのスキルとコミットメントに畏敬の念を覚えた。ある時点では、スリック・タイヤ、インターミディエイト・タイヤ、エクストリームウエット・タイヤを装着したマシンが走っていたほど、クレイジーなコンディションだった。

みなさんは、地元出身のドライバー、シャルル・ルクレールに同情しているに違いない。彼はポール・ポジションを獲得し、レースを余裕でリードしていたのに、作戦のせいで4位に甘んじた。18周目にピットインしてインターミディエイトに、その3周後にスリックに交換したのだが、無線メッセージの混乱により、チームメイトのカルロス・サインツがスリックに交換するまでしばらく待たされるダブルスタックのピットストップとなった。そのため、当初はペレスに抜かれて2位となり、2回目のピットストップで4位に後退した。

ミック・シューマッハがスイミングプールで大きなクラッシュをして2回目の赤旗が出たとき、ルクレールはチームと同じ気持ちになったことだろう。これは彼が勝つはずだったレースだったので、表彰台にすら立てなかったことは、泣きっ面に蜂だった。

ルクレールとフェラーリの間にある互いの称賛と愛情は、ミハエル・シューマッハと彼のチームとの関係を思い出させるが、この8日間の間に2度も輝かしい優勝を逃し、ワールドチャンピオンシップのリードを奪還するチャンスを無駄にしたことで、ルクレールの側ではそれが厳しく問われることになった。

1位から4位まで超接近戦!(1位ぺレス 2位サインツ 3位フェルスタッペン 4位ルクレール):2022年F1モナコGP

1位から4位まで超接近戦!(1位ぺレス 2位サインツ 3位フェルスタッペン 4位ルクレール):2022年F1モナコGP

ぺレスとサインツのバトル:2022年F1モナコGP

もちろん我々は、すべての無線メッセージを聞くわけではないが、フェラーリのサインツはインターミディエイトを飛ばして直接スリックタイヤに履き替えたいとはっきりと言っていた。これは賢明で、自信があり、勝利につながるかもしれない決断だった。しかし、ハード・コンパウンドのスリックタイヤでウエットのピットレーンを出たサインツは、悲しいことにラティフィのウィリアムズを10コーナー以上追いかけ、16周目から21周目にかけてインターミディエイト・タイヤで優勝をもたらす圧倒的なスピードを出したペレスにトラック順位を奪われた。

終盤、サインツは、全盛期を過ぎたミディアム・コンパウンドのタイヤを履くペレスを追い抜くために粘り強く最大限の努力をしたが、今回も2位に終わった。いずれ彼によい日が来るだろう。

3位は、意外なほど満足していたマックス・フェルスタッペンだった。おそらくチャンピオンシップのライバルであるルクレールが彼より下位だったからだろう。マックスは何らかの理由で、週末中わずかに及ばす、その点でペレスに後れをとっていた。フェラーリの方が明らかに速かったことを考えると、レッドブルにとって1-3フィニッシュは非常に堅実な結果だった。

ルイス・ハミルトン(メルセデス):2022年F1モナコGP

ハミルトンのフラストレーション、フェラーリの抗議、モナコの将来

メルセデスのジョージ・ラッセルは今回も見事な走りで5位になった。彼は、マクラーレンのランド・ノリスにわずか0.2秒差をつけてフィニッシュした。ノリスは、短縮され、時間切れとなった(予定されていた78周ではなく)64周のレースの51周目に交換した新しいミディアム・タイヤで最速ラップタイムを出したが、レース時間は1時間56分30秒という微妙なものになった。

ノリスは、余分のピットストップをする余裕があった。なぜなら、彼のうしろでフェルナンド・アロンソが、着実ではあるが彼にとって必要だったタイヤ温存モードで走り、非常に苛立つルイス・ハミルトンをはじめとして、後続マシンを行列させたからだった。フェルナンドは「あれは僕の問題ではない」と述べたので、2007年にマクラーレンのチームメイトとして過ごしたふたりの間には、まだ刺(とげ)が残っていると感じずにはいられない。

フェルナンドは奇妙なことにしばらくの間調子を上げ、レースで3番目に速いラップタイムを記録して7位を維持した。

前が塞がれていたため、このようなコンディションをいつもは得意とするハミルトンが8位、アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルが10位だった。つまり、アロンソを含め、合計すれば13回のワールドチャンピオンシップを制覇したドライバーが7秒以内に収まっていたが、この日は輝きがなかった。アルファロメオのヴァルテリ・ボタスは9位になり、彼らの仲間入りを果たした。

ミック・シューマッハ(ハース)クラッシュ:2022年F1モナコGP

ミック・シューマッハにとっては忘れたい1日となった。マシンがまっぷたつになり、ハース・チームは損賠賠償の請求書をまたもらう羽目になった。彼は、チーム代表のギュンター・シュタイナーから、怒ったケン・ティレルや(元マンU監督の)アレックス・ファーガソン流の「ヘアドライヤー」行為(顔のすぐ近くで大声で怒鳴りつけること)を受けているところが目に浮かぶ。

モナコのエキスパートとして知られているダニエル・リチャルドにとっても、忘れたい週末だった。彼はマクラーレンでは魔法を見つけることができず、今では緊張とフラストレーションが世間に知れ渡っている。

フェラーリはレース後、レッドブルの両ドライバーが、ピット出口の境界線を越えたとして抗議したが、各種規約文書の文言の意味論や潜在的な矛盾の可能性はともかくとして、ペレスは全く線を越えておらず、フェルスタッペンは線上を走ったが、どのホイールも完全には越えていないと判断され、2022年規約に従って許容された。

モンテカルロ市街地コース:2022年F1モナコGP

オーバーテイクとホイール・トゥ・ホイールのアクションが少ないので、レース日に大勢のファンがイライラしていることは知っている。しかし世界的なワールドチャンピオンシップが各種のサーキットや会場で開催されるなかで、モナコとF1が2023年以降も新しい契約を結ぶ方法を見つけてくれることを期待している。モナコはいつもユニークで、時には完全にクレイジーな3日間になるからだ。

契約が様子見なら、F1オーナーのリバティ・メディアが先に弱気になるとは思わない。彼らは今、他の「至宝」を持っているのだから。

-Source: Sky Sports



2022年F1モナコGPコラムとチーム分析