ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペン:2021年F1カタールGP

F1タイトル争いが激化する中、重要な局面で調子を取り戻したルイス・ハミルトン、「厳しい」ペナルティにもかかわらず、ハミルトンについていくマックス・フェルスタッペン、そしてその他の大きな話題について、マーティン・ブランドルがカタールGPのドラマを掘り下げる。

このF1ワールドチャンピオンシップは、非常に激しく、感情的で、時に個人的なものになってきており、カタールGPはその傾向を強めた。

わたしは、これほどの激しさを経験したことはない。このシーズンは、相反する意見、カメラアングル、画像、データ、情報、誤報、ソーシャル・メディアの投稿、そしてかなりの敵意や不信感などの上に展開している。日曜日は自動車レースというよりも、まるで映画のようだった。

わたしが、チャンピオンシップのふたりの主人公はたいていゲームをさらに高い次元に引き上げ、すべてのコーナー、すべての周回でペダルを踏み、ホイールを回すたびに最大限の力を発揮できるオーバードライブギアを見つける、と言っているのをみなさんはよく聞いているかもしれない。

カタールの投光照明の下、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンは、まるで別のカテゴリーのレースをしているかのようで、ワールドチャンピオンシップの重要なポイントを獲得するために、先頭で容赦ないペースで走っていた。このふたりのドライバーは、意外なことに、時おりチームの中で最も冷静なメンバーに見えることがある。

F1は、メキシコ/ブラジル/カタールのトリプルヘッダーは、かなりのぶっつけ本番だった。我々が「うまく乗り切った」と言うのはフェアではないだろう。なぜなら、このパンデミックの最中に「39戦」を開催しようかというF1には、膨大な組織力とやればできるという姿勢があるからだ。しかし例えば、フェラーリとメルセデスのクルーが、どちらがレース・グリッドの5番からスタートをするのか言い争っているのを見ると、亀裂が露わになっていた。


ブランドルは「グリッド5番論争」の現場写真をTwitterに上げている。

わたし自身、この3戦のために41時間も空を飛んだが、ひとつのレースから次のレースへと直接移動し、自分のことだけを心配していたので、誰よりも気楽だったと思う。カタールとサウジアラビアというふたつの新しい会場を含み、6週間で5戦を行うのは、この大ヒット作の実現に関わったすべての人にとって無理難題である。そして来年の夏休み以降は、13週間で10戦が行われる…

月曜の早朝、帰宅途中にF1チームで働く友人たちと話していると、彼らは飛行機から降りると、火曜のデブリーフィング・ミーティングに備えてファクトリーに直行した。その献身ぶりには感心させられたが、同時に残酷さも感じた。


ドライバー
01. 351.5 マックス・フェルスタッペン 9勝
02. 343.5 ルイス・ハミルトン 7勝
コンストラクター
01. 546.5 メルセデス 8勝
02. 541.5 レッドブル 10勝

チャンピオンシップの重要な局面で、ハミルトンとメルセデスが腕を上げたことは疑いの余地がない。ハミルトンは、ファクトリーシミュレーターを改めて信頼し、トラックで夜遅くまで作業をしている。感心させられることに、彼は、相対的な年齢、トロフィーキャビネット、多額の預金残高にもかかわらず、8回目のタイトル獲得に向けて新たなモチベーションを見つけたのだ。

メルセデスには、強力なマシン・セッティング・ツールがあり、今シーズン残りのレースでは新しいエンジンを搭載しているので、非常に速いことは間違いない。そして、特に空力学的規約の解釈について、2チームはお互い厳重に見張っていることは間違いないだろう。カタールでは、両チームともリア・ウイングのエレメントについて、お行儀よくしていたと感じずにはいられなかった。


メルセデス「ハミルトンがカタールであれほど先行した理由がわからない」
ハミルトンは古いエンジンで圧倒的な速さを見せた



最後から2戦目のサウジアラビアでチャンピオンシップ優勝を決めることができるのはフェルスタッペンだけだが、高速のトラック・レイアウトと、メルセデスの驚異的なパフォーマンスを考えると、フェルスタッペンの優勝が実現するのは、ハミルトンに問題が発生したときだけだろう。

フェルスタッペンは "Sky F1" に、アゼルバイジャンでのタイヤトラブルやハンガリーの第1コーナーでの衝突などの「もしも」のことや、少なくとも9勝しているにもかかわらずタイトルを逃してしまうことを、くよくよ考えたりしないと語った。つまり、彼はわたしよりも強い人間なのだ。

日曜日、彼とヴァルテリ・ボタスに対するグリッド降格ペナルティは厳しいと思った。非常に複雑なF1の世界で、全体的に素晴らしい仕事をしているFIAは、ブラジルでのチャンピオンシップ争いをしているふたりの悪名高いターン4でのインシデントをスルーして以来、苦しく優柔不断な数週間を過ごしていた。

わたしは、イエローフラッグは絶対に尊重されるべきだと全面的に主張するが、土曜日のドライバーたちは、予選の最後のアタックで最終コーナーを抜けるところだった。目に見えるフラッグもなく、ステアリングホイールにインシデント警告灯も点かず、ピットウォールからのメッセージもなく、フィニッシュ・ラインでは、夜の空を背景に予選セッション終了を示す赤信号(赤信号ひとつとチェッカーフラッグがあれば十分だろう)が点灯し、再び使えるようになったDRS活性化ラインを見てギアを上げながら、右側にいる問題のマシン(三輪走行しているピエール・ガスリーのアルファタウリ)が実際に何をしているのかを確認していただろう。

控えめに言っても、緩和的な状況があった。トラックサイドに黄色の警告パネルがなく、ピットレーン計量ブリッジのためにピットウォールに緑色のパネルがあったため、わたしなら、トラックの左側で、1本あるいは2本の旗を正しく振っている比較的照明の乏しい唯一のマーシャル・ポストを毎回見落としていただろう。

カルロス・サインツは、停止したマシンの後ろでスロットルを離したため無罪放免になったという事実は、この混乱を強調するものだった。しかしルールはルールである。ここは、F1カレンダーに遅れて組み込まれた会場だった。それがはっきりと現れたのだ。

9月30日:カタール、2021年F1カレンダーに追加

結局、最初のコーナーでハミルトンに追いつくチャンスを失った以外は、フェルスタッペンにとって、ペナルティを受けても違いはなかった。ボタスは、ピレリのフロントタイヤが攻撃的な補助縁石によるダメージに対して、30周までしか耐えられないことを知った最初のドライバーでなければ、難しいスタートを切ったにもかかわらず3位になっていただろう。

ウィリアムズのジョージ・ラッセルとニコラス・ラティフィ、そしてマクラーレンの900回目のレースで9位に入ったランド・ノリスなども、パンクに苦しんだドライバーだった。

フェルナンド・アロンソは2014年ハンガリーGP以来のシャンパンファイトを楽しんだ:2021年F1カタールGP
アロンソは2014年ハンガリーGP以来のシャンパンファイトを楽しんだ。

1週間前のブラジルと同様、レッドブルはメルセデスの速さに対応できなかった。一方、アルピーヌのフェルナンド・アロンソは終始絶好調で、グリッド降格ペナルティの恩恵を受け、3番スタートから3位フィニッシュという素晴らしい成績を収めた。誰を応援しているにせよ、ハミルトン、フェルスタッペン、アロンソの3人が表彰台に上がれば嬉しいはずだ。

セルジオ・ペレスは、グリッド順位の悪さと2ストップ作戦により、レース中絶え間ない渋滞に巻き込まれて4位となったが、少なくともレッドブルはコンストラクターズ・ポイントでメルセデスとの差を5ポイントに縮めることができた。残り2戦でチームが獲得できるポイントは最大88ポイントだ。

アルピーヌは、ピエール・ガスリーと角田裕毅を擁するアルファタウリとの戦いで、エステバン・オコンが5位になり、チームにとって非常によい結果を手にした。アルファタウリは、予選ではタイヤをしっかりと温めていたが、レース・モードではタイヤを破壊していた。

ランス・ストロールが6位、セバスチャン・ベッテルは最初のコーナーのバトルで膨らんだが10位となり、アストンマーティンは、大いに必要としていたダブルポイント・フィニッシュを果たした。

カルロス・サインツとシャルル・ルクレールのフェラーリデュオは、無線トラブルのために2台続けてピットストップを行うなど、レースの大半で接近して走っていた。しかし、今回はほぼ1周遅れで7位と8位でフィニッシュした。その結果、4位マクラーレンに39.5ポイント差をつけることができた。

2023年にF1がカタールに戻ってくるときには、大幅に改良されたサーキットになっているだろう。ドライバーたちは概して、ファンや多くの壊れたマシンよりも、このレイアウトを楽しんでいた。あるいはドライバーが楽しんだのは、ダウンタウンにある遊歩道「コーニッシュ」にあるサーキットだったのかもしれない。次戦はジェッダ・コーニッシュ・サーキット、これは見逃せない。

-Source: Sky Sports

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