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Q3の最終アタックでのピエール・ガスリーのアクシデントは、ルイス・ハミルトンのカタールGPでの圧勝を変えることはなかった。しかし、マックス・フェルスタッペンは、イエローフラッグ違反でグリッド5番降格ペナルティを受けたことで、1ポイント1ポイントが大きな意味を持つことになる戦いにおいて、フェルスタッペンに追加ポイントをもたらしたかもしれない。つまり、グリッド降格が彼の有利に働いたのかもしれない。なぜそうなるのか、マーク・ヒューズが解説する。

ロサイル・インターナショナル・サーキットはバイクレース用に設計されているため、縁石は非常に平坦で、通常のF1マシンが遭遇する縁石よりもはるかに平べったい。おかげで、ドライバーはいつものように高い縁石を避けるのではなく、マシン全体で縁石の上を走ることができたが、それが最も速く走る方法だった。そのため、フロントウイングは地面よりも低い位置になり、縁石の上では常にフロントタイヤに擦り付けられていた。これが、ガスリーのQ3最終周回の最後のターンで問題を起こした。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)Q3最終アタックでパンクとフロントウイング破損:2021年F1カタールGP

ウイングはパンクさせるほどの力でタイヤに衝突し、激しく揺れるゴムがウイングを破壊してカーボンファイバーの破片をトラック上に撒き散らした。ガスリーはすでにピット入口を通過していたため、その状態で低速で走行していた。


ガスリーのQ3最終アタックでのパンクとフロントウイング破損
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フェルスタッペンとヴァルテリ・ボタスは、このインシデントでイエローフラッグが出たときにはアタックを終えていた。フェルスタッペンは、(ダブル・イエロー無視で)5番降格ペナルティを受け、グリッド2番から7番に後退した。ボタスは(シングル・イエロー無視で)3番降格ペナルティを受け、グリッド3番から6番になった。

ハミルトンが首位を走るなか、フェルスタッペンはレースの4周目には2位まで追い上げた。ボタスは逆に、1周目を終えて11位となり、予選11位だったレッドブルのセルジオ・ペレスよりもふたつ下位を走っていた。

ハミルトンとフェルスタッペンの間には、耐久性の低いソフトタイヤを履いた遅いマシンが並び、その後ろで速いマシンはペレスとボタスだけという状況だったので、すぐにふたりだけのレースを展開することになった。フェルスタッペンは、3位フェルナンド・アロンソ率いる後続集団との差を大きく広げた。最速ラップタイムのポイントを争う上で、これは非常に重要なことだった。

ルイス・ハミルトンは楽勝したが、ボーナス・ポイントは手に入れることができなかった:2021年F1カタールGP
ルイス・ハミルトンは楽勝したが、ボーナス・ポイントは手に入れることができなかった。

一般的には、最速ラップタイムを出すには、燃料が軽くなった終盤にピットインし、一番軟らかいコンパウンドのタイヤに交換し、古いタイヤよりもかなり速く走ればよい。フェルスタッペンの場合は、ピットストップによる25秒のロスよりも、他のドライバーとの差が大きいため、順位を落とすことなくそれができる完璧な立場だった。

ハミルトンは、フェルスタッペンとの差がわずかに6~9秒だったので、それができる立場になることはなかった。誰もがそれを理解していた。だから、ハミルトンは、フェルスタッペンが先頭を追いかけながら出した暫定最速ラップタイムを更新しようとはしなかった。なぜなら、ハミルトンが何をしようと、フェルスタッペンは終盤にもう一度ピットストップを行うことで、常にハミルトンのラップタイムを上回ることができたからだ。

何が起きたかというと、フェルスタッペンは、最後から2周目にピットインし、最終周回で自身の最速ラップタイムを0.9秒短縮した。だから彼は、ハミルトンに対し、7または8ポイントではなく、6ポイントしか失わなかった。

【動画】F1カタールGP フェルスタッペンのファステストラップ
マックス・フェルスタッペンは依然として総合1位だが、もはや余裕の点差ではない:2021年F1カタールGP
マックス・フェルスタッペンは依然として総合1位だが、もはや余裕の点差ではない。

しかし、ガスリーのインシデントがなく、イエローフラッグも降られず、グリッド降格ペナルティがなければ、どうなっていただろうか? ハミルトンはグリップの高いポール・サイドからスタートしてやはり首位に立ったと仮定しよう。さらに、ボタスはグリップの高い方にいたのでスタートで2位になったとしても、フェルスタッペンが最初の数コーナーでボタスを抜き返したと仮定しよう。

このハミルトン対フェルスタッペン対ボタスのレースでは、フェルスタッペンは余分のピットストップをする立場には決してなれなかった可能性が高い。というのも、ピットストップに必要な25秒以内に、常にボタスがいたはずだから。その代わり、後続に大きく差をつけたボタスが、最速ラップタイム・ポイントを目指してピットインした可能性が高い。

今回のペナルティにより、最終的にフェルスタッペンが1ポイントを追加したことになる。残り2戦でハミルトンとの差はわずか8ポイント。この1ポイントが決定的なものになるだろうか?

-Source: The Official Formula 1 Website


2021年F1カタールGP コラムとチーム分析