
土曜日のスプリント・レースを最後尾からスタートし、さらにメイン・イベントでグリッド5番降格ペナルティを受けながらも、サンパウロGPで優勝したルイス・ハミルトンの素晴らしいパフォーマンスの裏には、インテルラゴスのトラックで並外れてよく機能したメルセデスのマシンがあった。マーク・ヒューズが解説する。
1週間前のメキシコでは、レッドブルがメルセデスを完全に圧倒した。ここでは、同じマシン、同じドライバーなのに、立場が入れ替わった。
ハミルトンは「前戦では、彼らは僕らよりもずっと前を走っていた」と述べた。
「ここは、前回のレースがあった2019年、彼らがとても強かった。日曜日は気温が高くなること、そしてそれが僕らのアキレス腱になる可能性があることはわかっていた。でも、どういう理由か、今週末のマシンは素晴らしくうまく機能した」
「今週末は、僕らふたりとも結局ひとつの方向を選んだが、それが本当にうまく機能した。こういったコンディションでマシンを本当に最適化できたのだと思う」
基本的に、フロントタイヤとリアタイヤの使い方について、メルセデスはレッドブルよりもバランスがとれていた。ハミルトンが参照したセットアップは、メルセデスのチーム本部のかなり綿密な分析から生まれたものだ。2019年、メルセデスは圧倒的に強いマシンを持っていたが、インテルラゴスではレッドブルにかなり簡単に負けていた。

集団の中でスタートし、ダーティエアの中で追いかけていたにもかかわらず、ルイス・ハミルトンはレースを通じてタイヤを維持した。
トラックサイド・エンジニアリング責任者のアンドリュー・ショヴリンは「エアロパッケージ(空力学的パッケージ)、メカニカルパッケージ(機械的パッケージ)、パワーユニットを見ても、2019年は我々があれほど弱かった理由を見つけることができなかった」と述べた。
「だから、セットアップがすべてだった。我々は、考え直し、ポール・ポジションを獲得できるマシンを用意してここに来るという決意を固めた」
(ハミルトンはリア・ウィング違反のため予選から除外されたが、予選が1位のままで)彼がそのままスプリントでも1位なら、エンジン交換ペナルティを受け、日曜日は6番からスタートするはずだった。土曜日のスプリント・レースでは、彼のペースのアドバンテージは非常に大きく、わずか24周で20番スタートから5位へスリル満点な走りをしたおかげで、エンジン交換後の予定していた順位から4つ後ろの10番からレースをスタートした。
日曜日はトラックの路面温度が高かったため、メルセデスにとっての課題はいつもならば、リアタイヤの温度をコントロールすることだっただろう。これは、メルセデスがレッドブルに後れを取ることが多い分野である。しかしここでは、マシンは見事にバランスがとれており、特にトラクションが優れていた。
レッドブルは、フロントタイヤがオーバーヒートする傾向があったため、今回は制限を受けていた。パフォーマンスはすべてライバルに対する比較であり、レース中にマックス・フェルスタッペンの見せたペースでは、メルセデスW12のタイヤは正しい温度範囲に収まり、マシンのバランスは維持され、リアタイヤはオーバーヒートしなかった。そしてハミルトンは、ターン12とターン3でトラクションがあった。オーバーテイクと防御に関して、このトラックで重要なのが、このふたつのコーナーである。

ルイス・ハミルトンは素晴らしい走りをして、スプリントとグランプリを合わせて合計25の順位を上げた。
また、今年のメルセデスの強化されたディフューザー失速によって、チームは通常よりも大きなリア・ウィングで走ることができ、それにより、リアタイヤはさらに温存できたのかもしれない。
レッドブルよりもタイヤの使い方がうまかったメルセデスは、戦略的にも選択肢が多かった。ハミルトンは、フェルスタッペンにアンダーカットのプレッシャーをかけるために、かなり接近して走ることができただけでなく、必要であれば長く走ることもできた。フェルスタッペンはレースの第2コーナーから先頭に立ったが、19周目からはハミルトンがすぐ後ろについていた。
フェルスタッペンは、メルセデスが1周早くピットインしたことで、どれだけ時間をロスしたかを目の当たりにし、チームはできるだけ早く2回目のピットインをするべきだと主張した。40周目は、フェルスタッペンのタイヤ劣化にしては早すぎることがわかった。ハミルトンがレッドブルにプレッシャーをかけて、早目に2回目のピットインをさせたことが優勝の決め手となった。これは確実に、バランスのとれたメルセデスのタイヤの使い方によって可能にしたことだった。
ハミルトンのマスタークラスは、残り12周でフェルスタッペンの追い越しに成功して最高潮に達したあと、彼はさらに驚いた。
「マックスを抜いても、まだタイヤが残っていたし、走り続けることができた。今年の僕らにしては普通ではないので不思議だった。でも構わない。とても満足している」
-Source: The Official Formula 1 Website
2021年F1サンパウロGP コラムとチーム分析
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