
絶好調の卓越したドライバーふたりによる素晴らしい対決:スカイF1のマーティン・ブランドルが、F1が米国復帰を喜ぶ中、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンのタイトル争いを揺るがす可能性のあるアメリカGPの戦いとその他の大きな話題を分析する。
日曜日のアメリカGPは、今年の素晴らしいワールドチャンピオンシップを最終的に振り返った時に、大きな分岐点だったと見なされることは間違いないだろう。
絶好調の卓越したドライバーふたりによる素晴らしい対決で、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンのどちらが勝っても、事実上14ポイントの差となった。
決勝レース日のサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、14万人の熱狂的なファンで溢れかえっていた。シルバーストンやスパを彷彿とさせるように、観客が早い時間からサーキットに集まり、個人的にはアメリカでは見たことのないようなF1への情熱を感じた。あるファンが空港で話してくれたのだが、土曜日にはレッドブルのグッズは完売しており、それ以外の商品も飛ぶように売れていたという。
そしてレースは最後まで行方がわからなかった。唯一足りなかったのは、最後の数周におけるホイール・トゥ・ホイールのアクションだった。

元気を取り戻したレッドブルがメルセデスに反撃
金曜の最初のフリー走行後の順位表を見ると、メルセデスが別格だった2014年の初期ハイブリッド・パワーユニット時代を思い出した。このセッションではメルセデスは、レッドブルなどに比べ、高いパワーを長く激しく使っているように見えたが、バックストレートでのトップスピードを見ると、マシンも素晴らしく見えた。
レッドブルのクリスチャン・ホーナーは心配しているように見えたが、本当に重要な予選に向けた「収束」を待っていると述べた。そして彼は正しかった。
レッドブルは一夜にして、セットアップを大幅に変えた。この楽しいバンピーな路面のため、マシンとドライバーはトラックリミットを超えないように、そして正しい方向を向くように頑張っていたが、そのセットアップ変更が成功したことがすぐにわかった。
逆にメルセデスは、マシンの下側の完全性を守るために、より保守的なセットアップと車高に移行したように見えた。もちろん、チームは、フロアとベンチュリーを密閉し、下向きの空力を生み出すために、できるだけ低く走らせる必要があった。予選でのメルセデスは、路面への接着性が見るからに少なく、バランスも欠けていた。
それまでの週末の大きな話題は、メルセデスが高速でフロアをどのようにして失速させ、不要なダウンフォースとそれに伴うドラッグを捨てているか、だった。チームは何十年もの間、ラップタイムを短縮するために、あらゆる種類のシステムを使ってトラックのさまざまな場所でダウンフォースの生成と損失をコントロールしてきた。
シルバーストンでメルセデスに搭載され、その後も改良を重ねていたアップデートされた空力学と、空力学的負荷が大きくなった時にリアサスペンションを縮めるメカニズムが、非常に効果的であるように見える。
このシステムは、DRSリアウィングが開いた状態では、それほど強力ではない。なぜなら、システムを止めるにはダウンフォースが必要で、メキシコやブラジルなどでは、高い標高とそれに伴う薄い空気のため、効果が低下する可能性があるからだ。
その結果、チェッカーフラッグが振られた後、パンチとカウンターパンチが繰り出され、最速ラップタイムが続出するという、古典的な予選フィナーレになった。
最終コーナーで小雨が降る中、フェルスタッペンは素晴らしいアタックを行い、ポール・ポジションを獲得した。チームメイトのセルジオ・ペレスは、キャリア初のポール・ポジションを獲得してレッドブルのフロントロウ独占かと思われたが、フェルスタッペンよりも少し後ろを走っていたために、さらに小雨にさらされてしまった。


レース当日の激しいバトル
今シーズン、フェルスタッペンとハミルトンが「フロントロー(最前列)」に並ぶのは7回目だった。しかし、ポール・ポジションは2番グリッドより8mも先なので、「列」というのは間違っている。
だがルイスは、素早い反応と完璧な最小限のホイールスピンで飛び出し、この8mを稼いだ。マックスはチャンピオンシップ・ライバルを締め出そうと最善を尽くしたが、譲らざるを得なかった。3位がチームメイトのペレスだったのは幸運だった。そうでなければ、さらにひとつ順位を落としていただろう。

43周目:5位リチャルドと6位サインツ、何周に渡ってバトルをしている。
その後方では、フェラーリとマクラーレンの4人のドライバーたちが、お互いに集中して激しいバトルを繰り広げていた。1周目のターン12では、ランド・ノリスに分別があったので、四重衝突が回避された。最終的に、ルクレールが10秒差の4位に入り、リチャルドのマクラーレンとサインツのフェラーリがバトルを繰り広げることになった。この2チームの点差は、残り5戦でわずか3.5ポイントである。

19周目:角田裕毅、ヴァルテリ・ボタスを抑えている。
角田裕毅は、今回もワークス・メルセデスを抑えた。今回はヴァルテリ・ボタスで、角田裕毅は、レースのかなりの部分でボタスを遅らせた。ボタスはエンジン交換ペナルティを受けて9位からスタートし、最終周回でカルロス・サインツJr.を抜いて6位でフィニッシュした。
レースを通じて、元ワールドチャンピオンのキミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソの激しいバトルなどがあり、脇役も活躍した。このトラックは、現代のF1マシンにとてもよく合っている。
レッドブルは、攻撃的なレースをすることを決め、10周目にピットインして首位を奪還した。タイヤの劣化が激しく、連続コーナーが多数あるため、早目にピットインすればどのコンパウンドの新しいタイヤを履いても、クリーンなピットストップであれば2~3秒は速くなるという「アンダーカット」があった。
メルセデスはルイスのタイヤをさらに3周延ばし、その後、ルイスが3秒のアンダーカット範囲に入るいう緊迫した状況の中、29周目にレッドブルが2度目の、そして最後となるピットストップを行った。残りの周回数は37周となり、メルセデスはすぐにルイスのピットインを8周延長した。


壮大なフィナーレとタイトル争いへの影響、そしてグリッドウォーク!
ルイスの最後のピットストップが終わってすべてが落ち着くと、レッドブルには8.8秒のアドバンテージがあった。メルセデスは速いマシンに新しいタイヤを装着し、ルイスがハンドルを握っていたのだから、終盤で必ずトップに立つのではないだろうか? そしてレッドブルもまた、今年のバルセロナを思い出して非常にナーバスになっていた。
このトラックの特に最初のセクターの曲がりくねったレイアウトのため、周回遅れにされるドライバーが、先頭ドライバーに与える影響がいつもよりも大きかったように見えた。しかし、最終周回に入るとき、マックスはDRSを使ってミック・シューマッハのハースを周回遅れにし、ターン11のヘアピンでリアタイヤから十分なグリップを引き出し、1.3秒差で勝利を手にした。わたしはこのふたりの職人の仕事を見ることができて光栄に感じている。

ふたりは後続に40秒もの差をつけたが、セルジオ・ペレスはグリッドに向かう途中でドリンク・システムが故障してしまい、体調不良になったのだから、これは少し不公平だろう。猛烈に体力を消耗するレースで、「飲むなら乗るな」と表示された橋の下を56回も通過したのもよくなかったのだろう。
次戦から6週間で5戦が行われるが、ルイスはもう1基の内燃エンジンを搭載する必要があるかもしれず、その場合はグリッド5番降格ペナルティを受けることになる。次の2戦は標高の高い場所で開催されるので、レッドブルに搭載されているホンダ製パワーユニットのターボ構造が有利になる傾向があるが、様子を見てみよう。そのあとはカタールとメルセデスに合いそうな超高速のサウジアラビアという2つの新しいトラックである。最終戦のアブダビは、もちろんよく知られたトラックであり、昨年はレッドブルが圧勝した。しかしトラックは変更されており、1周あたり10秒速くなると見られている。



マーティン・ブランドル、メーガン・ザ・スタリオン*にインタビューを試みたが、無視され、さらに黒人と白人のボディガードに追い払われた。<* ラッパー>
<Twitter>以前もグリッドでプレッシャーを感じたことはある。でもそれはセナ、プロスト、シューマッハ、マンセル、ピケなどがいたからだった。初めてグリッドを訪れたボディガードは気にならない。誰にだってするべき仕事がある。でも彼らはおそらくF1でマナーや敬意を学ぶことができたかもしれない。I have felt under pressure on the grid before but by people called Senna, Prost, Schumacher, Mansell, Piquet and so on. Bodyguards visiting the grid for the first time don’t bother me, everyone’s got a job to do, but they could maybe learn some manners and respect on our patch 🤔
— Martin Brundle (@MBrundleF1) October 25, 2021
わたしは月曜日に思い出し笑いをした。血と汗と涙と骨折、輝かしい勝利と悲惨な失敗、強烈なクラッシュ、危険な雨の夜のル・マンでの4回のスティント、1250馬力のマシンで空を飛んだモナコの予選、そして25年間の放送活動を経て、わたしはセレブに無視されると同時に、山のような男に片方に押しやられ、初めてF1レースに参加したと思われるマルフォイ*のそっくりさんに叱られたことで、やっと少しばかり有名になれたようだ。<* ハリー・ポッターの登場人物ドラコ・マルフォイ>
2年ぶりに再開された私のグリッドウォークは、オースティンではちょっと図々しかったかもしれないが、それでもとても楽しかった。実は、わたしの本当の自慢は、一度マーク・ノップラー*とスヌーカーをしたことだ。彼は本当に素敵な人だった。<* ギタリスト、音楽プロデューサー>
-Source: Sky Sports
2021年F1アメリカGP コラムとチーム分析