ロシアGPをひっくり返した6周とボタスがハミルトン優勝に重要な役割を紐解く

ロシアGPの結果は、レースの残り6周目に降った雨に、ランド・ノリス(マクラーレン)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が、どう対応したかにかかっていた。後から考えると、インターミディエイトに交換するためのピットインが正しい判断だったことがわかる。24秒というピットストップ時間のロスは、コンディションが悪化したときのタイヤグリップの差で十分埋め合わせることができたのだ。

しかし、それはすぐにはわからなかった。マクラーレンもメルセデスもドライバーにピットインを指示したが、ふたりとも最初はスリックタイヤで持ちこたえられると判断して、チームの要請を無視した。これは、最初に降った雨がおさまってきたときの判断だった。

メルセデスがその後の周回でハミルトンを説得してピットインさせることに成功したことが、結果の違いにつながった。その展開はこうだ。

チームが2回目要請をしたときにピットインしたハミルトンの決断が、最終的に彼にレース優勝をもたらした:2021年F1ロシアGP
チームが2回目要請をしたときにピットインしたハミルトンの決断が、最終的に彼にレース優勝をもたらした。

ヴァルテリ・ボタス

47周目に雨が降ってきたとき、メルセデスは、ペナルティを受けて16番からスタートし、ポイント圏外を走っていたヴァルテリ・ボタスを、モルモットとして使えるという余裕があった。ボタスは実際、46周目を走行中だったので、ターン5/6/7で雨につかまり、すぐにピットインを要請した。

しかし彼はレース後、次のように述べた。

「チームは準備ができていなかった。準備ができていれば、表彰台も可能だったと思う。ターン15を抜けているときにチームにピットインしたいと言ったのだが、チームは走り続けるように言った。だから、準備ができていないんだと思った。準備ができていれば表彰台に立っていたかもしれないが、もっと悪いことになったかもしれない」

マックス・フェルスタッペン

7位走行中のマックス・フェルスタッペンは、フロントタイヤのグレイニングに苦しみ、47周目にピットインを考えていた。

「でも、それは厄介だった。早くピットインしすぎると、トラックの3分の2がドライすぎていれば、その1~2周でタイヤを壊してしまうからだ」

インターは、ドライのコースを走ると見事にオーバーヒートしてしまい、一旦オーバーヒートが起きると、タイヤは終わってしまう。

フェルスタッペンの12秒ほど後ろを走っていたボタスにとっては、そのリスクは少なかった。ボタスが47周目に入った頃には、トラックの他の部分でも雨が降り始めていた。ボタスはピットインしてインターミディエイトに交換し、彼のラップタイムはすぐに、大幅に速いことを示した。

ボタスは最初にピットインする賭けに出たひとりで、他のドライバーのベンチマークになった:2021年F1ロシアGP
ボタスは最初にピットインする賭けに出たひとりで、他のドライバーのベンチマークになった。

ボタスのセクター・タイムを見て、ピットレーンのあちこちのチームがドライバーをピットインさせた。フェルスタッペンは言われるまでもなく、48周目の終わりには、カルロス・サインツやダニエル・リチャルドと同じように、自分で判断して49周目にピットインした。3番手のセルジオ・ペレスはそのまま走行を続けることを決めたので、レッドブルは選択肢をふたつに分けた。

ランド・ノリスとルイス・ハミルトン

ノリスとハミルトンはこのチームの要請を無視して、それぞれ49周目に入った。雨は弱まりつつあるようだった。マクラーレンは無線で、この雨はずっと続くと伝えた。これが念頭にあったノリスは、最悪の場所、つまりターン5/6/7でマシンを操ることができると考えた。しかし、激しい議論のなかで、雨の前線はふたつあり、ふたつ目の前線はひとつ目の前線から30分ほど遅れているということは、彼に説明されていなかった。

ノリスのストレスは、議論の過熱ぶりに表れていた。決定的な瞬間は、49周目の終り近く、何度もランオフ・エリアを走りながらもハミルトンをリードしていた彼が、ピットインをどう思うかと質問されたときだった。彼は断固として「ノー」と答えたのだ。

51周目:激しい雨の中、ノリスはまともに走れない、後ろはタイヤ交換後のハミルトン:2021年F1ロシアGP
51周目:激しい雨の中、ノリスはまともに走れない、後ろはタイヤ交換後のハミルトン

土砂降りの雨の中でノリスがコースアウトし、ハミルトンがレース首位に:2021年F1ロシアGP
土砂降りの雨の中でノリスがコースアウトし、ハミルトンがレース首位に

ハミルトンの無線での議論は、緊張感がありながらも冷静だった。48周目に彼が最初にチームの指示を無視したあと、さらに雨が降りそうだとの説明があった。要請が繰り返された。マクラーレンの時とは違い、彼は質問されなかった。メルセデスのアンドリュー・ショヴリンは「マックスがピットストップしたことで、我々は彼の行動をまねたかった。それによって、ランドが優勝することになっても構わなかった」と述べた。

メルセデスの手続きは、ドライバーは要請に反対することができるが、それでもチームが言い張る場合、チームオーダーを出す。しかし、今回はその必要はなかった。49周目に繰り返しピットインを要請されたハミルトンは、ピット確認ボタンを押した。これにより、チームは彼がピットに戻ってくることを知り、チームオーダーの必要はなくなった。

ノリスはレース後、悲嘆にくれていることを認めながらも負けても潔かった。レース直後のハミルトンとノリス:2021年F1ロシアGP
ノリスはレース後、悲嘆にくれていることを認めながらも負けても潔かった:レース直後のハミルトンとノリス。
その後、ノリスは当然ながら打ちひしがれた。

「(チームは)僕がピットインするべきだと考えていたが、僕が走り続けると決めた。僕の判断だった。そうするべきだと思ったんだ。チームが状況を教えてくれて、僕が判断を下した。僕が走り続けたいと言ったので、チームのミスではない」

「僕が判断を下すと、チームは最初の5周と同じくらいの小雨が降るだけだと教えてくれた。だが、実際にはもっと降った。どういうわけか僕らはそれを知らなかった。メルセデスはもっと雨が降ることを知っていたようだった。それについてはチームと話し合うことになるだろう」


49周目
マクラーレン、ノリスにピットインを進めている
ノリス「Shut up(黙れ)」

フェルスタッペン、サインツ、リチャルドがピットイン

マクラーレン「インターどうする」
ノリス「ノー」

メルセデス「もっと雨が降る、ボックス、ボックス」

50周目
ハミルトン、ピットイン
2021年F1GP 15

50周目 順位
50

ハミルトン、2位でコースに

マクラーレン「ルイス、タイヤ変えた」
ノリス「知っている」

51周目
雨が激しくなってきた

ノリス、まともに走れない、後ろはハミルトン
2021年F1GP 139

ノリスはコースを外れた、ハミルトンが1位に
2021年F1GP 140

フェルスタッペン、3位に

52周目 順位
2021年F1GP 10

ノリス、滑りながらスロー走行

ルクレールはスピン

ノリス、やっとピットレーンにたどり着いた

フェルスタッペン、2位に

ノリス、ピットイン
2021年F1GP 152
8位でコースに
ノリス、ピットレーン入口でスピンしかけて白線を2度越えたので、ペナルティかもしれない。

53周目 ファイナル・ラップ
1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位サインツ

トップ走行のハミルトン
2021年F1GP 141

ハミルトン、優勝!
2021年F1GP 142

2位フェルスタッペン、3位サインツ、ノリスは7位

レース終了

-Source: The Official Formula 1 Website
2021年F1ロシアGP コラムとチーム分析