セルジオ・ぺレス、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン:2021年F1フランスGP

マーティン・ブランドルが、フランスGPのコラムで、2021年F1タイトル争いが盛り上がる中、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの間で繰り広げられた魅力的なバトルを振り返り、レッドブルが再びメルセデスに勝つために役立った大きな戦略的判断に評価を下す。

今シーズンのF1レーシングは、喜びをもたらし飽きることがないようだ。フリー走行、予選、決勝と進むうちに、いつもマックス・フェルスタッペン対ルイス・ハミルトン、つまりレッドブル・ホンダ対メルセデス・ベンツという構図になっていく。

我々は、7年間のハイブリッドF1シーズンの間、これを待ち望んでいたし、待ったかいがあったようだ。スピード、一貫性、狡猾さ、レーステクニック、計算されたリスク、そして毎日のように結果を出すことが重要である。それを目の当たりにすることができて、わたしは本当に幸せだ。


ポール・リカールを再訪するたびに特別な気分になる。1980年代、陽光が降り注ぐコート・ダジュールの丘の上で開催されたこのイベントに、スポーツフェスティバルと夏休みのような雰囲気があったことを思い出すのだ。

このトラックは常に高速で、太陽で熱せられたグラベルでいっぱいの短くて恐ろしいランオフがある保守的なレイアウトであり、「キャッチフェンス」と呼ばれる金網と木製のポール棒は、利益よりも害をもたらす方が多かった。

3分の1世紀後の今でも、レイアウトはほぼ同じだが、今では非常に大きなランオフゾーンは目を欺くような赤と青のストライプの万華鏡で埋め尽くされている。このカラフルなペイントは、マシンがスピンしたときに減速させるべく非常にグリップが高いと言われているが、埃っぽいときにはタイヤに穴を開けて、マシンを障壁に追いやってしまうように見える。

そこは、どのカテゴリーのレーシングでも、どのタイヤメーカーでも、いつもタイヤを台無しにした。バクーにおけるフェルスタッペンとランス・ストロールのタイヤブローのあと、FIAは包括的な「技術指令」を発表し、タイヤ圧の管理とブランケット加熱に関して一連の新しいチェック項目を設定した。

明言はされなかったものの、レッドブルとアストンマーティンはトラック上でタイヤ圧を推奨値以下にしていたためタイヤ故障につながったと推測されたが、両チームはこれを強く否定した。パフォーマンスのためにドライバーやトラック作業員の安全が脅かされているとしたら、それは非常に深刻な問題である。

ピレリは、タイヤに強度とサポートを追加するタイヤ圧の増加を求めている。結局、チャンピオンシップの単独サプライヤーにとって、タイヤの故障は非常に悪い評判なのだ。いずれにせよ、彼らピレリには優勝が保証されている。

重量、空力学的ダウンフォース、1,000馬力のモーターは、すべてを路面に伝えるF1タイヤとその4つの接触面に多大な負荷をかけている。グリップと構造的な完全性を両立させるために、パフォーマンス・エンジニアとタイヤ・サプライヤーがいたちごっこをしているのは、何十年も前から変わっていない。

皮肉なことに、レッドブルとアストンマーティンは、フェラーリとは異なり比較的好調なレースを展開した。つまり、タイヤ圧の話題は、フレキシ・リアウィング論争のように、過大評価されていたのだろう。チームは常に、小さな改善を無数に求めているので、それが否定されても同じように小さいのだ。

また、メルセデスがドライバー間でシャシーを「ローテーション」させているという空騒ぎもあったが、これはローテーションというよりも交換のように聞こえる。すべてが解決したあとも、焦点はやはりハミルトンとフェルスタッペンのポールポジション争いだった。そして、先週末もまたフェルスタッペンが驚異的なラップで勝った。

サポート担当のヴァルテリ・ボタスとセルジオ・ペレスは、予選でまさにその通りの仕事をした。

ポール・リカール・サーキット:2021年F1フランスGP
ポール・リカール・サーキット:2021年F1フランスGP
フェルスタッペン、スタートしてターン1後にコースを外れ2位に:2021年F1フランスGP
フェルスタッペン、スタートしてターン1後にコースを外れ2位に

決勝レース日の朝、雨が降って、フリー走行中に熱心につけられたゴムが洗い流され、グリップが低下した。最初のコーナーまで、フェルスタッペンはマシンの感触がつかめず、右に寄せて左まわりのコーナーに向かうフル・レーシングラインをとることができなかった。そのため彼はかなり激しくターンインせざるを得ず、おまけに向かい風を受けた。リアエンドが横滑りし、ハミルトンが先頭に立った。

最初はメルセデスが優勢に見え、特にボタスは速そうに見えたので、上位3人はペレスや後続マシンを引き離していった。しかし、メルセデスはタイヤをより激しく使っており、ボタスはロックアップによる振動があったようだった。そのため、メルセデスは、17周目に、上位3人の中で彼を最初にピットインさせた。レッドブルは18周目にすぐにカバーしてフェルスタッペンをボタスの前で合流させた。そして、メルセデスは19周目に首位のハミルトンをピットインさせた。

メルセデスは、フェルスタッペンをボタスでアンダーカットし、ハミルトンを首位に留めておこうと考えていたようだった。しかし彼らはそうではなかったと言っているが、大きくロスをした。

ピットストップの合計時間は、渋滞を含む「インラップ」ペース、ピットレーン制限ラインまでのダッシュ、常識的かつ緊急のスピードでクルーを跳ね飛ばすことのないピットボックスへのアプローチ、正確な位置での停車で構成される。

その後、タイヤ交換があり、クラッチをつないで、ピットの高速レーンに出て、制限速度で走行し、ピット出口ラインでリミッター(ポール・リカールでは時速40マイル64km)を解除し、渋滞も含めて「アウトラップ」でスピードに乗る。

ライバルを抜くために、早めに新しいタイヤに交換することをアンダーカットと言うが、この日はアンダーカットが非常に強力だった。メルセデスは不意打ちをくらった。データはハミルトンは安全だと示唆しており、ハミルトンはレース後のインタビューでも、なぜ首位を失ったのかわからないと述べていた。

楕円内は52周目、フェルスタッペンがハミルトンを抜いてトップに、トト・ヴォルフ(メルセデスF1チーム代表)とクリスチャン・ホーナー(レッドブルF1チーム代表):2021年F1フランスGP
楕円内は52周目、フェルスタッペンがハミルトンを抜いてトップに、トト・ヴォルフ(メルセデスF1チーム代表)とクリスチャン・ホーナー(レッドブルF1チーム代表)

トップ3のドライバーは全員、攻め続けているペースでは、(レース周回数の)53周目まで走れないと無線で明言していた。レッドブルは今年、バルセロナで、フェルスタッペンを32周目にピットインさせて、トラック順位をあきらめ、2ストップ作戦に切り替えたお返しをした。今回、メルセデスは対応するのがあまりに遅すぎたため、対策はふたつしかなかった。つまり、新しいミディアムタイヤで追い上げてくるフェルスタッペンをボタスが抑えること、そしてハミルトンがこれまで何度もやってきたように古いタイヤで魔法のようにペースを上げることだった。

しかしどちらの対策も、フェルスタッペンが魅力的なレースで見事な優勝を果たすのを止めることができなかった。

わたしは、ハミルトンがフェルスタッペンに易々(やすやす)と首位を譲ったという意見には同意しない。彼のタイヤは寿命が尽きていたし、レッドブルの直線スピードとDRSのアシストを考えると、フィニッシュ前に追い抜かれることは不可避だった。ブダペストとバルセロナでも同様の状況で、ハミルトンはフェルスタッペンを抜くときはそれほど攻撃的ではなかった、つまり今回と同じように簡単に抜かれた。

チェスの試合で、自分のキングを倒すとき(投了)ようなものだ。必ず負けるとわかっているのなら、タイヤにフラットスポットをつくったり、フロント・ウィングを失ったりしてリタイヤするよりは、2位の18ポイントを獲得して捲土重来を期す方がよいだろう。

ボタスが、2ストップに関する彼の話にチームが耳を傾けなかったことに憤慨したのは当然だったし、さらに追い打ちをかけるように、ペレスが彼を抜いて3位になった。ペレスは24周目にピットインし、1ストップ作戦を見事に成功させた。ペレスは、ほぼ全開で曲がる高速コーナーのシーニュ・コーナーで膨らんだとして審議対象になっていたので、メルセデスはボタスに最速ラップ争いをさせるのは妥当ではないと感じた。そのおかげで、フェルスタッペンはポール・ポジション、優勝、最速ラップというハットトリックをF1で初めて達成した。

2021年06月20日
F1フランスGP決勝レース
44周目
フェルスタッペン、ボタスを抜いて2位に
フェルスタッペン、ボタスを抜いて2位に:2021年F1フランスGP

ボタス「僕が2ストップレースになるって言ったのに、どうして誰も耳を傾けてくれないんだ!」

全マシンがレースを完走したのは、F1史上10回目だった。マクラーレンは、ランド・ノリスが5位、ダニエル・リチャルドが6位、アストンマーティンはグリッド19番から10位フィニッシュのランス・ストロールと、9位フィッシュで6戦で4回目のポイントを獲得したフェルナンド・アロンソ、アルファタウリで非常に着実な仕事をしたピエール・ガスリー、このレースであまり見た覚えがないがウィリアムズのジョージ・ラッセルは12位と頑張った。彼らには特別賞をあげよう。

2021年06月21日
ジョージ・ラッセル:F1フランスGP決勝コメント
「トラック上で、角田を含めて2度オーバーテイクし、オコンとアルファロメオ2台より前にフィニッシュすることができた … 実力で12位フィニッシュは、素晴らしい結果だ。おそらくこのチームでの最高のレースだったと言えるだろう」

トリプルヘッダーの最後の2戦はオーストリアで行われる。オーストリアは、レッドブルとフェルスタッペンが今のスピードと信頼性を見つける前に、メルセデスに戦いを仕掛けたトラックである。

メルセデスは優位性を取り戻すことができるだろうか、それともフェルスタッペンとレッドブルが両チャンピオンシップでの主導権を拡大するのだろうか?

-Source: Sky Sports
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