ルイス・ハミルトンは8度目のイギリスGP優勝を果たしたが、2021年のシルバーストンのレースは、ハミルトンとレッドブルのマックス・フェルスタッペンが1周目にクラッシュして物議を醸したことでも記憶されるだろう。このインシデントについてドライバー、チーム代表、コメンテーターたちの意見を聞いた。
フェルスタッペンは、クラッシュ後の検査を受けるために病院に運ばれた。ハミルトンは強烈な追い上げを見せ、残り3周でフェラーリのシャルル・ルクレールを抜いて、通算99回目の優勝を果たした。彼を含め、関係者数名がクラッシュについて述べた。
ルイス・ハミルトン
「彼にスペースを与えようとしたが、ターン9までのインサイドがかなり遠かった。僕らふたりとも譲らなかったので、こういう結果になった」
「フェイントをかけ、隙間を狙って右側に動き、彼とほぼ横並びになったが、彼が減速しそうにないことがわかり、コーナーに入って衝突した」
「攻撃的になりすぎるとこういうことが起きる。僕に言えることはあまりない。彼が無事であることを願っている。もちろんレースを通じて彼とホイール・トゥ・ホイールのバトルをしたかった。彼とのレーシングは楽しいし、楽しみにしている。でも僕は相手がだれであっても引き下がらないし、脅されても攻撃を緩めたりしない」
クリスチャン・ホーナー(レッドブルF1チーム代表)
「映像を何度も見返したが、それでも、このワールドチャンピオンシップで一番速いコーナーのひとつであるコプスのインサイドを走るのは、ルイスの判断ミスだった、両ドライバーに対して非常に大きなリスクになったと思わざるを得ない」
「ルイスの左フロントとマックスの右リアが接触したことからわかるように、彼はマックスとほぼ並んでいたわけではなかった。この仕掛けは成功しなかったし、マックスに対して51Gの衝撃を与える結果になった」
トト・ヴォルフ(メルセデスF1チーム代表)
「こういうことは見ていて嫌なものだが、明確な規約があり、書類上では白黒がはっきりしている… 自分の前車軸が、アウトサイドのマシンの中央を超えていたら、それは自分のコーナーだということだ。ではそのコーナーは他のコーナーと言えるだろうか? おそらく違うだろう。しかし繰り返しになるが、事故にはふたりのドライバーが関わっている」
「最終的に、ふたりは互いに激しく競り合っていた… レース中もあそこでオーバーテイクがあった。シャルルとルイスがその一例だ。互いに(スペースを)与える必要があるだけだと思う。これがわたしの意見だ」
ジョリオン・パーマー(元ルノーF1ドライバー)
「正直なところ、(ルイスは)実際にマックスとほぼ完全に並んでいた。そして、チャンピオンシップ争いをしているふたりがコプスのインサイド・ラインを狙っていたので、どちらかひとりが減速しなければならなかった」
「(ルイスは)完全に横に並んでいた。明らかに彼はわずかにアペックスを逃してマックスの方に動いたが、マックスもターンインを続けていた。そして、そうすることでコプス・コーナーで大きなリスクを冒していた」
「判断が難しい。本当に難しいインシデントだ。僕はレーシング・インシデントだと見なした。ふたりともとても激しく競り合っていた」
マックス・フェルスタッペン(Twitter)
無事でよかった。このような形でリタイヤしたのはとても残念だ。ペナルティも僕らの役には立たなかったし、ルイスのトラック上の危険な動きは正当化されない。病院でお祝いを見たが、敬意に欠けるし、スポーツマンらしくない行為だ。でも気持ちを切り替えよう。
Glad I’m ok. Very disappointed with being taken out like this. The penalty given does not help us and doesn’t do justice to the dangerous move Lewis made on track. Watching the celebrations while still in hospital is disrespectful and unsportsmanlike behavior but we move on pic.twitter.com/iCrgyYWYkm
— Max Verstappen (@Max33Verstappen) July 18, 2021
シャルル・ルクレール(フェラーリ、今回2位)
「マシンの中から判断するのはとても難しい。とても低い位置に座っているので、見えにくい。すべてがとても素早く起きた。僕の周りでかなりいろいろなことが起きていた。あれはレーシング・インシデントだと思う。どちらかに責任を負わせるのはとても難しい。」
「明らかに、インサイドにはスペースがあった。おそらくルイスは完全にアペックスにいなかったのだろう。でもマックスはアウトサイドでかなり攻撃だったことも事実だ。だからこういったことが起きても仕方がない。でも今日一番重要なことは、マックスに怪我がなく、無事だったことだ」
カルン・チャンドック(スカイ・スポーツF1でクラッシュを分析)
「マックスは相手にスペースを与えた。ハミルトンはインサイドで並んだが、どの時点でもマックス・フェルスタッペンの前には出ていない。マックスがターンインし、ルイスは、アペックスで膨らんでいるように見える。接触したとき、ルイスの軌道アペックスから膨らんでいる」
「(マックスは)ルイスにレーシングのスペースを与えたが、ルイスが減速すると期待したのだと思う。これが重要な点だ。ルイスはマックスが減速すると期待していたし、マックスはルイスが減速すると期待していた」
「マックスはルイスにもっとスペースを与えることができたが、ルイスも右側の縁石にもっと近づくことができた… 僕に言わせれば、ふたりとも、このインシデントを避けるために、できることがあったと思う。しかし、僕ならレーシング・インシデントだと判断するだろう」
カルン・チャンドックは、両ドライバーとも互いが譲るだろうという判断ミスをしたと感じた。
リプレイ映像
ヴァルテリ・ボタス(メルセデス、今回3位)
「1周目に、昨日とやや同じようにふたりがバトルしているのが見えた。何かが起きるだろうと感じた。明らかにふたりは激しく戦っていた。こういったことは起きるものだ。レーシングだからね。激しく戦い、あきらめないと、こういうことが起きる。大きなクラッシュだったので、マックスが無事でよかった。でも、今日のルイスは優勝する資格が十分にあったと本当に思う」
アレックス・アルボン(レッドブルのテスト・ドライバー)
「チャンピオンシップの1戦目から、こういうことが起きそうだった… 僕の一部は、マックスはルイスがこの位置に来れないよう(ドアを)占めることができたはずだと思っているが、同時に… ルイスがシャルルをオーバーテイクしたときは、同じような位置に見えたが、おそらく角度がやや違っていたのだろう」
カルロス・サインツJr.(フェラーリ、今回6位)
「もちろん見た。正直なところ、あの事故についてはやや複雑な気持ちだ。かなり大きなクラッシュだったと聞いたので、まず何よりもマックスがすぐに回復することを願っている」
「事故自体は、判断するのがとても難しいと思う。クラッシュを避けるために何ができたのかはふたりにしかわからない。とてもタイトだったし、ふたりとも優勝争いをしていたので、判断するのは控えたい」
-Source: The Official Formula 1 Website
アストンマーティン代表のオトマー・サフナウアー「ビデオを何回か見たが、レーシング・インシデントだと思う」「特に最初の1、2周は、ドライバーに自由にレースをさせることになっている」
デイモン・ヒル「レーシング・インシデントだと思うが、ひどい結果をもたらしたとしてペナルティを受けてもおかしくない」
ヘルムート・マルコ、ハミルトンのペナルティについて「1戦出走停止くらいの処分がふさわしい」
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