クリスチャン・ホーナー、マックス・フェルスタッペン、ヘルムート・マルコ:2021年F1アゼルバイジャンGP

ヘルムート・マルコがインタビューで、本人の責任ではないマックス・フェルスタッペンの事故、セルジオ・ペレスのリタイヤの可能性について語る。グラーツ出身のマルコ博士は、グランプリ6戦を総括し、ピエール・ガスリーのアルピーヌ移籍の噂を否定している。

Q:フェルスタッペンのクラッシュの請求書をピレリに送りましたか?

ヘルムート・マルコ:いや、送っていない。なぜなら、残念ながら理論的に不可能だからだ。

Q:自分たちの過失ではないこのような事故は、予算が限られていて1ドルでも惜しいような今、どれほどの痛手になるのでしょうか?

ヘルムート・マルコ:フェルスタッペンは、トラックが膨らんでいる場所にぶつかったので、幸いダメージは限定的だった。つまり、ランオフエリアがやや広い場所だった。しかし問題はそこではない。その時点で、レッドブルは1位と2位を走っていた。そしてガスリーと角田も上位だった。(あの事故がなければ)ハミルトンに対するマックスのリードは15ポイントに拡大していただろう。

Q:フェルスタッペンの無得点は、ハミルトンの無得点よりも痛手でしたね。

ヘルムート・マルコ:確かに痛手だった。我々のマシンとドライバーは最速の組み合わせだ。しかし(ハミルトンとの差は)4ポイントに過ぎない。これは我々の強さを反映していない。メルセデスは運がよいので、1ポイントでも引き離すことができれば喜ばなくてはならない。

赤旗後のリスタート:2021年F1アゼルバイジャンGP

Q:しかし、レッドブルにとって悲惨な結果になったかもしれません。ハミルトンが優勝することをどれくらい心配しましたか?

ヘルムート・マルコ:とても心配していたし、当然のことだった。ありがたいことに、ペレスがリスタートのときにホイール・スピンを起こした。彼がもっとうまくスタートしていたら、ハミルトンがペレスを抜いていただろう。不幸中の幸いだった。

Q:油圧トラブルを抱えたペレスがリタイヤする可能性は、正確にどのくらいあったのですか?

ヘルムート・マルコ:五分五分だった。彼のマシンは油圧オイルを失っていた。レース序盤に起きたんだ。赤旗中断中、マシンを停めていた時もオイルが滴っていた。

Q:彼はどこまで走れたのでしょう? フィニッシュラインに達した直後にマシンを停めましたね。

ヘルムート・マルコ:安全のために停止した。正確にいつ故障が起きたのかはわからない。ある時点で、パワーステアリングが使えなくなっていた。連鎖反応が起きる可能性もあった。

Q:ペレスはやっとレッドブルになじんだのでしょうか? 彼は週末中ずっと速かったですね。

ヘルムート・マルコ:彼はいつも上位にいた。しかし、モンテカルロでは実際に速かった。前が空くやいなや、フェルスタッペンよりも速いラップタイムを刻んだ。それでオーバーカットが可能になった。

マックス・フェルスタッペン、セルジオ・ペレス:2021年F1アゼルバイジャンGP

Q:フェルスタッペンがリタイヤするまで、レッドブルはどの程度レースを管理していたのでしょうか? 本当のペースを見せる必要があったのでしょうか?

ヘルムート・マルコ:我々は簡単にレースをコントロールしていたと言えるだろう。マックスはもっと速く走れたはずだ。

Q:レッドブルのアドバンテージは、メルセデスよりも優れた万能マシンを持っていることでしょうか?

ヘルムート・マルコ:バクーとモナコ、その他のトラックでは我々のマシンの方が速かった。バルセロナではそれほどよくなかったかもしれないが、これは主にタイヤ摩耗が原因だった。しかし全体的に我々の方が速いパッケージを持っている。そしてミスなどの話題もあまりないし、実際にほとんどミスをしない。

Q:パッケージの中で、最も対策の必要性があるのはどこでしょうか?

ヘルムート・マルコ:我々は速い。シンガポールGPはキャンセルされた。これは開発の面で非常に重要な段階だ。シンガポールは、それ以外のサーキットとは全く違うものが求められる。もうひとつの低速サーキットはブダペストだ。しかしブダペストはシンガポールほど極端に遅くない。ありがたいことに、早めにキャンセルが決まったので、それに合わせて開発を計画することができる。

Q:スケジュールの調整をするのですね。

ヘルムート・マルコ:もちろんだ。シンガポールはもちろん我々に合うトラックだが、仕方がない。

Q:ホンダは次に何をするのでしょう? バクーでは新しいエンジンを搭載しませんでした。

ヘルムート・マルコ:できるだけ長く最初のエンジンを使おうとしている。レッドブル・レーシングでは、疲労や馬力低下の兆候が全くない。このまま続けていくつもりだ。パワーを失ったガスリーのダメージについては、さくらで調査をしている。レッドブルのエンジンにも影響を与えるような何かがあれば、新しい発見になるだろうし、今後の計画にも影響するだろう。

Q:ホンダは安定性をさらに確保し、パフォーマンスをさらに引き出すために、エンジン交換を遅らせているのですね。

ヘルムート・マルコ:いい考えだよ。

Q:フランスに向けた展望は? 常設トラックに戻ります。

ヘルムート・マルコ:フランスも、他にはない路面と、特殊な連続コーナーを持つ、変則的なサーキットだ。我々はどこでも速くなくてはならないという姿勢で臨む。

ピエール・ガスリー、ヘルムート・マルコ:2021年F1アゼルバイジャンGP

Q:アルファタウリはどうやって速くなったのでしょう?

ヘルムート・マルコ:アルファタウリは、モナコやバクーだけでなく、イモラでも非常に速かった。唯一も問題は、スピードが必ずしも出ないことだ。全体的に、5位を維持できると期待している。ユウキはイタリア滞在を楽しんでいる。すでにそれがパフォーマンスに表れている。

Q:(角田裕毅が)イギリスからイタリアに引っ越してすぐに?

ヘルムート・マルコ:見ればわかるだろう。予選でのクラッシュは許そう。あのコースを知らないドライバーは彼ひとりだったのだからね。彼はレースで強かった。彼はノリスに追いつこうとしてアロンソを抜いた。レース全体でひとつもミスをしなかった。

Q:経験を積めば、どんどんよくなるでしょうね。

ヘルムート・マルコ:シーズン後半では、彼が定期的にポイントを獲得すると期待している。



Q:ピエール・ガスリーには今でも驚かされますか?

ヘルムート・マルコ:いや。彼はどんどん調子を上げていて、絶好調だ。アルファタウリでは、パッケージがぴったり合っている。この組み合わせがうまく行っている。彼とは、あと2年間契約がある。ルノーの話がどこから出てきたのかわからない、ピエールは、ちょっとおしゃれなフランス人として、アルファタウリにとって理想的なブランド大使だ。しかし何よりも、マシンの中でのパフォーマンスだ。彼はバクーのレース中に素晴らしいパフォーマンスを見せた。ルクレールを抑えたのは、本当に素晴らしかった。

Q:では、ガスリーが「2台目のレッドブルに乗りたい」と言ってきてもあなたは悩まないですね?

ヘルムート・マルコ:その質問は、現時点では出ていない。我々は素晴らしいドライバーを抱えている。「新人がいない」と記事に書かれたが、ビップス(ユーリ・ビップス)は、マシンがもてばF2で優勝する。ローソン(リアム・ローソン)は優勝候補だ。10秒ペナルティのせいで首位になっていないだけだ。だから、レッドブルで走りたがっている才能あるドライバーは組織内に大勢いる。

Q:ペレスはシートを手放さないのですね。

ヘルムート・マルコ:そう。そして何より。彼はチームにうまく溶け込んでいる。非常によいチームプレイヤーだ。

Q:期待通りですか?

ヘルムート・マルコ:彼のレーシング・スピードは予想していたが、予選は期待外れだった。しかし、徐々によくなりつつある。例えば、モンテカルロでは、もっとよいアタックができただろう。しかし我々のアプローチが間違っていた。最初のタイヤ・セットでは安全策をとり、ふたつ目のセットでアタックしたかったが、モンテカルロでもバクーでも赤旗が出た。逆の方法をとらなくてはならない。まずスーパーアタックをして、様子を見るのだ。Q3で事故が多いのは当然だ。増加傾向にある。

Q:セバスチャン・ベッテルについてひとことお願いします。かつての愛弟子はどうですか?

ヘルムート・マルコ:表彰台に駆け上がった様子は、我々が知るベッテルのままだ。しかし何よりオーバーテイクはそのままだった。そして(赤旗後の)1周目のガスリーとのバトル。比較的短期間でこの変化が現れたことをとても嬉しく思う。他のサーキットでもこうあってほしい、彼はストロールのチームのナンバーワン・ドライバーだが、彼のパパは気に入らないだろうね。

-Source: Auto Motor und Sport