ジェイムズ・アリソンとトト・ヴォルフ:メルセデスF1チーム

メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフはシュタイアーマルクGP後に、今年のメルセデスW12には積極的な開発は行わないだろうと述べた。しかし、まもなくメルセデスのチーフ・テクニカル・オフィサー(最高技術責任者)に就任するジェイムズ・アリソンによると、メルセデスのブラックリーとブリックスワースにある本社が、レッドブルに対抗するためのアップグレードが用意されていないわけではないという。

マックス・フェルスタッペンがシュタイアーマルクGPで圧勝した後、トト・ヴォルフはメディアに対して、レッドブルが現在パフォーマンス面で優位に立っている理由の一部は、(メルセデスが)今のマシンの開発をやめて2022年のマシンの開発に専念しているからだと示唆したように見えた。

トト・ヴォルフは「我々は来年を理解することが非常に重要だと考えているので、今年の開発をやめた。しかし彼ら(レッドブル)は(新パーツを)追加し続けている」と述べた。

だが、今週のポッドキャスト "F1 Nation" で独占的に語ったジェイムズ・アリソンによると、チーム代表は、ちょっとした駆け引きをしていたのかもしれないという。

アリソンは、ポッドキャストのホスト、トム・クラークソンとナタリー・ピンカムに「今後のレースでマシンを速くするものがそれなりにある。それらが有効であることを期待しよう」と述べた。

7月1日にメルセデスのチーフ・テクニカル・オフィサーに就任するアリソンは、「これ以上の開発はしない」というトト・ヴォルフの主張と自分の発言が矛盾しているのではないかと問われ、「そのふたつが矛盾しているとは思わない。トトが正確にそう言ったとは思わない」と答えた。

「トトは、来年の規約は大きく難しい問題なので集中する必要がある、だから、ファクトリーの焦点の大半は、来年に向けたパフォーマンス発見に切り替わったと指摘している。しかし、だからといって、焦点を切り替える前の食物連鎖に何も残っていないわけではない」

「さらに、そのファクトリーがすべてではない。我々(ブラックリー)は、ふたつあるファクトリーのひとつにすぎない。(ブリックスワースに)パワーユニット・ファクトリーもある。パワーユニットからもう少し(パフォーマンスが)得られるだろう。空力学的変更も予定されているし、パワーユニットにもう少し期待している。今シーズンは激しい争いをしているうちに、思っていたほど片付いていないいくつかのことを正しく理解する機会がある」

レッドブルは、モナコからシュタイアーマルクまで4連勝し、メルセデスはターボ・ハイブリッド時代に勝ちなしの期間が最も長くなった。アリソンは、チームの7度のワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンがチームの前進に重要な役割を果たしていると述べている。

ジェイムズ・アリソンは「タイヤを守るための空力学的規約変更が行われて以来、以前のようなパフォーマンスの向上率を得ることは非常に難しくなった」と語る。

「(ルイスは)自分のスキルを発揮できるようなマシンに乗りたがる。しかし、彼はこのような状況において、我々にとって本当に素晴らしい存在だ。なぜなら、彼は勝つこととチャンピオンシップにとても集中しているので、このような状況に対する彼の反応は、彼の貢献を倍増させる」

「先週、彼はファクトリーで何周もシミュレーション走行をした。そして、我々が必要とする優位性を見つけ、レッドブルにプレッシャーをかけられるよう、誰にも負けないくらいコミットしている。彼は最高の状態にあると思う」

-Source: The Official Formula 1 Website
2021年06月29日
フェルスタッペンのシュタイアーマルクでの見事な優勝を受け、F1タイトル争いの状況を評価する:ブランドルのコラム
メルセデスのトト・ヴォルフは、2022年マシンに対するリソースを最大限にするために、今シーズンの残りについてはマイナーなアップグレードしか計画していないと主張している。
2021年04月09日
メルセデス、マイク・エリオットが7月1日から技術責任者に:チーム公式発表
2021年7月1日から、ジェイムズ・アリソンは、新たに設置されたチーフ・テクニカル・オフィサー(最高技術責任者、CTO)に就任する。