マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

ホンダは、F1の大規模なアップグレードを水面下で行った。F1最終年にメルセデスを抑えてチャンピオンになることを目指しているが、ベルギーGPに向けてパワーユニットの「重要な」アップデートと称して、新しいエネルギー貯蔵装置(ES)を導入したのだ。

ホンダは、F1最後のシーズンに、レッドブルの2013年以来のチャンピオンシップ・タイトル獲得を支援するために、2022年のエンジンを1年前倒しで開発した。ベルギーGPでレッドブルとアルファタウリのマシンに搭載されたESは、2021年のパワーユニットに向けた「最後の主要開発」だという。

ホンダF1のパワーユニット開発責任者、浅木泰昭(あさき やすあき)は「この新しいESは、エネルギー効率の向上と大幅な軽量化の両立を目指して、数年がかりのプロジェクトで開発された」と説明した。

「我が社のF1最終シーズンの後半戦の開幕に合わせて、ホンダF1は、軽量・低抵抗・高効率・超高出力のバッテリーセルを搭載した新型ESを導入することができた」

レッドブル・ホンダF1マシン、浅木泰昭、N-BOX
F1優勝の裏に、初代N-BOXを創った男がいた。|Honda Magazine
F1パワーユニット開発責任者 浅木泰昭は何を変えた?


MGU-H(モータージェネレーター熱ユニット)とMGU-K(モータージェネレーター運動ユニット)から回収した熱と運動エネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵装置(ES)| ホンダ・レーシング提供
MGU-H(モータージェネレーター熱ユニット)とMGU-K(モータージェネレーター運動ユニット)から回収した熱と運動エネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵装置(ES)| ホンダ・レーシング提供


彼は「2021年シーズン末にF1を去る前に、メルセデスを倒してチャンピオンになるという究極の目標を達成するためには、パフォーマンスを向上させる必要があると考えた。そのため、新型ESの開発計画は、当初目標としていた2022年から2021年シーズン中の導入へと大幅に前倒しされた」と続けた。

新しいESを得たマックス・フェルスタッペンは、ベルギーでポール・ポジションと優勝を果たし、次戦の地元ザントフォールトでも圧倒的なポール・トゥ・ウィンを飾った。しかし、モンツァでのルイス・ハミルトンとの接触により、この連勝は終わった。

ホンダは「しかし、性能と重量の両方を向上させるために膨大な作業を行った結果、後者がレッドブルの重量配分の最適化に貢献したことから、その兆候は有望だった」と述べた。ホンダは、このプロジェクトは、日本の乗用車用バッテリーチームがミルトン・キーンズのF1ファクトリーと協力したからこそ可能になった「大規模なプロジェクト」だったと評した。

その共同作業の結果、浅木はこの技術が乗用車でも使われるようになるだろうと語った。「ホンダがF1を去った後も、この新しいバッテリー技術は、カーボンニュートラルな社会を実現し、モビリティーの進化をリードし、世界中のあらゆる人々の日常生活を向上させるという、ホンダの未来技術に大きく貢献するだろう」

2022年以降、(ホンダの既存の知的財産を利用して)独自のエンジンを生産することになるレッドブルは、ロシアGPを前に、コンストラクターズ順位でメルセデスを18ポイント差で追いかけている。

-Source: The Official Formula 1 Website
2021年08月22日
レッドブル、2022年からのエンジンプログラム:ヘルムート・マルコと山本雅史