ベネデット・ヴィーニャ、フェラーリCEO

フェラーリ、電気自動車時代のCEOにテクノロジー業界出身者

フェラーリは、咆哮するハイオクエンジンで知られる高級スポーツカーメーカーを、静かな電動パワートレインの新時代へと導くために、テクノロジー業界のリーダーであるベネデット・ヴィーニャ(52歳)に舵を委ねることにした。

イタリア人であるベネデット・ヴィーニャは、現在、半導体チップメーカー、STマイクロエレクトロニクスの最大部門を率いている。彼は1995年からこの職にあり、アップル製の初期のiPhoneで使用されたスクリーン技術の開発に貢献した。

前CEOのルイス・カミレリが、就任から約2年半後の昨年12月に一身上の都合で退任したため、フェラーリCEOは半年間不在だったが、今回の任命によってベネデット・ヴィーニャがその空席を埋める。

アニェッリ家の御曹司で、一族の投資会社エクソールを通じてフェラーリを支配しているジョン・エルカーン会長は声明のなかで、フェラーリはテクノロジー業界のリーダーを迎えることを嬉しく思うと述べた。

「彼は、我々の業界に多くの変化をもたらしているテクノロジーを深く理解しており、イノベーション、ビジネス構築、指導力の実績があるので、フェラーリと、そのユニークな情熱とパフォーマンスをさらに強化してくれるだろう」

すでにハイブリッド・モデルを提供しているフェラーリは、2025年までに最初の電気自動車を発売すると約束している。

"Bestinver" 社のアナリスト、ピエトロ・ソリドロは、ベネデット・ヴィーニャの就任は、フェラーリの将来と、最初の電気自動車への道のりに関する懸念を軽減するだろうと述べた。

ピエトロ・ソリドロは「自動車業界の中でも次世代のテクノロジーで時代を先取りするというフェラーリの能力を、彼はさらに加速させることができるだろう」と述べた。

ルイス・カミレリの退任以降、ジョン・エルカーン会長が暫定的にフェラーリを率いてきた。

4月、ジョン・エルカーン会長は、フェラーリの新CEOは「技術的能力を含む、あらゆる適切な資質」を備えているべきだと述べ、高級品や小売業の経歴を持つ人物が新CEOに就任する憶測を否定した。

ベネデット・ヴィーニャは現在、STマイクロエレクトロニクス社の、2020年時点で最大かつ最も収益性の高い事業であるアナログ、マイクロエレクトロニクス・システムおよびセンサーグループの社長を務めている。同社の声明によると、ヴィーニャは8月31日に退任するという。

彼は翌日からフェラーリで働き始める。

フェラーリは、コロナウイルスの流行により、2022年の財務目標を1年延期したにもかかわらず、昨年度は利益を計上しており、新モデルの展開計画も延期していない。

しかし、ベネデット・ヴィーニャは、電動モビリティの時代にフェラーリを導くことに加えて、いくつかの課題に直面することになる。

彼は、2020年、過去40年間で最悪のレースシーズンを終えたフェラーリのF1での運命を復活させなければならない。

また、プレミアム価格と利益を支えてきた独占性を損なうことなく、新しいブランド拡張戦略を管理しなければならないだろう。

-Source: Reuters.com